X Cube Solutions|金沢大学発の「混紡繊維リサイクル」を研究するディープテック企業

X Cube Solutions株式会社(エックスキューブソリューションズ)

X Cube Solutions「混紡繊維リサイクル」を研究|研究領域=混紡繊維を再び繊維に戻す/強み=分子レベルで素材ごとに分離/将来性=衣類を資源として循環させる

企業紹介|X Cube Solutionsとは?

ポリエステルとコットンのように、複数の素材が混ざった繊維を分けて再び繊維に戻す「混紡繊維リサイクル」。X Cube Solutions株式会社は、その社会実装を目指す、金沢大学発の素材系ディープテック企業です。混紡繊維を分子レベルで分離する技術と、衣類の回収から再生までを記録するブロックチェーンの基盤を組み合わせ、衣類の資源循環に取り組んでいます。

キーワード「混紡繊維リサイクル」

混紡繊維リサイクルは、2種類以上の繊維を混ぜて紡いだ糸や生地を素材ごとに分け、新しい繊維の原料に戻す取り組みです。現在の衣類には、ポリエステルとコットンを混ぜた混紡素材が多く使われています。素材が混ざったままでは繊維の原料に戻しにくいため、素材を分ける工程が再生の鍵になります。

市場課題|混紡素材は分けにくく回収後の行方も見えにくい

現状の衣類リサイクルの課題|現状は、素材の分離が難しく回収後の行方も見えにくい/混紡素材は再生が困難/回収後の行方が見えにくい

混紡素材は再生が困難

繊維の複合化で素材の分離や分解が難しいことは、繊維to繊維リサイクルを妨げる主な要因の一つとされています。ポリエステルとコットンのような混紡素材は、素材を分けられないままでは再び衣類の原料にすることが困難です。国内では、2024年版の推計で、新たに供給された衣類約82万トンのうち約56万トン(約7割)が手放され、焼却などで処理されています。

回収後の行方が見えにくい

衣類の回収では、回収した衣類の再生先が見えにくい状態です。海外の規制強化で環境対応を迫られるアパレル企業には、取り組みの効果を数値で示す手段が限られています。消費者も手放した衣類の行方を確かめにくく、回収に参加し続ける動機を持ちにくい状況です。

他にも、衣類リサイクルには、回収した衣類の仕分けにかかる手間、捨てるほうがリサイクルより安く済む費用の構造、回収に応じる消費者の負担、といった課題があるといわれています。

FrontJournalの解説
  • 繊維to繊維リサイクル使い終わった衣類などの繊維製品から繊維の原料を取り出し、再び繊維製品に戻すリサイクル。断熱材や工業用の布などへの再利用と区別して使われる。

X Cube Solutionsの強み|「混紡繊維リサイクル」を研究

X Cube Solutionsが「混紡繊維リサイクル」を研究|今後は、分子レベルの分離で再生が可能に/ポリエステルとコットンを分離/回収後の行方を記録

ポリエステルとコットンを分離

従来のリサイクル技術では、ポリエステルとコットンの一方を分解すると他方も傷むため、質の高い再生原料を得にくい状態でした。

同社の「Green Material Technology」は、ポリエステルとコットンの混紡繊維を分子レベルで分離する技術です。一方の素材を取り出す工程で他方を傷めず、どちらの繊維も品質を保ったまま再生原料へ転換します。この分離で混紡素材も繊維to繊維リサイクルの対象になるとされ、製造工程もバージン素材(再生材を含まない新しい原料)の製造に対してコスト競争力を持つ設計です。実用化が進めば、混紡素材の衣類も新しい衣類の原料として使えるようになります。

回収後の行方を記録

これまでの衣類回収では、回収した衣類の再生先や環境への効果が、企業にも消費者にも見えにくい状態でした。

同社は、トレーサビリティ(製品の流れを後から追跡できること)の基盤「Musubi by +Tag」を開発しています。記録には、ブロックチェーン(取引の記録を複数のコンピューターで共有し、改ざんを難しくする仕組み)を使います。衣類の回収から再生までの全工程を記録し、CO2削減量や回収量を後から書き換えにくい形で残す仕組みです。回収に出した消費者にはインセンティブを付与します。アパレル企業は環境への貢献をデータで示せるようになり、消費者は手放した衣類の行方を確かめられるようになります。

FrontJournalの解説
  • トレーサビリティ製品が原料から製造、流通、回収を経てどこへ渡ったかを、後から追跡できる状態を指す。記録が残るため、リサイクルの量や環境への効果を第三者に示す材料になる。

未来|混紡繊維リサイクルが衣類の資源循環を広げる

衣類の混紡繊維リサイクルが変える未来|手放す衣類を資源循環へつなげる/大学の研究成果を事業化/回収から流通まで一体化/植物由来の素材開発を目指す

大学の研究成果を事業化

金沢大学の研究拠点で生まれた研究開発成果は、同社の設立によって事業として動き始めました。その拠点は、JST(科学技術振興機構)の「COI-NEXT」(共創の場形成支援プログラム)で髙橋憲司教授が率いる「再生可能多糖類植物由来プラスチックによる資源循環社会共創拠点」です。髙橋教授は同社の取締役CTO(最高技術責任者)として、素材開発の技術的な実現性を担う立場です。研究者が取締役に加わったことで、大学の研究室で育った素材の技術を、企業の事業として扱う体制ができました。

回収から流通まで一体化

衣類の回収から再生素材の流通までを、同社は一つの仕組みでつなぐ設計にしています。回収した衣類を素材ごとに分離して再生し、再生素材をアパレル企業へ届ける流れです。自治体には、衣類の処分にかかる負担を資源循環の事業で軽くする方法として、この仕組みを提案しています。仕組みが広がれば、衣類を手放すことがそのまま資源循環への参加につながります。

植物由来の素材開発を目指す

同社は、データ駆動型の植物由来素材開発を進め、世界規模の循環型サプライチェーンの確立を目指しています。事業には、吸水性ポリマーによる緑化支援や、熱可塑性シルク(熱で成形できる絹素材)などのアパレル原料開発も含まれます。セルロース樹脂製品の導入をもとに、GX(脱炭素社会への転換)やサステナビリティの活動を強めることも、同社の目標の一つです。石油由来の原料に頼らない素材が増えれば、衣類や樹脂製品を循環させやすくなります。

会社概要|X Cube Solutions株式会社

2025年2月に設立

X Cube Solutionsは、2025年2月25日に設立されました。代表取締役CEOの梶彩乃氏は、アマゾンと大手メーカーでマーケティングとビジネスデザインの経験を積んできた人物です。取締役COOの福留聖樹氏はブロックチェーンや欧州の製品規制への対応に詳しい人物で、取締役CTOは金沢大学理工研究域生命理工学系の髙橋憲司教授です。同社はこの3人の体制を、ビジネス、サイエンス、テックの三位一体のチームと位置づけています。

金沢大学認定ベンチャー

同社は2025年5月12日付で、金沢大学から「金沢大学認定ベンチャー」の認定を受けました。金沢大学認定ベンチャーとしては第6号です。5月16日の授与式では、和田隆志学長が同社に称号記を手渡しました。授与式には、同社の設立を支援した株式会社ビジョンインキュベイト(金沢大学が全額出資して設立したベンチャーキャピタル)の代表者も出席しています。FrontJournalでは、金沢大学のスタートアップを金沢大学発・関連スタートアップ8選でも取り上げています。

東京から事業を展開

本社は東京都台東区蔵前に置いています。同社が事業の相手として想定するのは、アパレル企業、素材メーカー、自治体です。共同研究や事業連携の相談を、これらの企業や自治体から受け付けています。

会社情報

会社名X Cube Solutions株式会社(X Cube Solutions, Inc.)
所在地東京都台東区蔵前3-7-4 901号
設立2025年2月25日
代表代表取締役CEO 梶彩乃
事業混紡繊維の分離リサイクル技術「Green Material Technology」、衣類のトレーサビリティ基盤「Musubi by +Tag」の開発
技術領域混紡繊維リサイクル、ブロックチェーンによるトレーサビリティ、植物由来素材
連携金沢大学(金沢大学認定ベンチャー、2025年5月認定)
URLhttps://x-cube-solutions.com/

編集後記|FrontJournal編集部より

X Cube Solutionsは、混紡繊維を分ける素材の技術と、衣類の流れを記録するデジタルの技術を、一つの事業にまとめようとしている企業です。衣類のリサイクルでは、素材を分ける難しさと、リサイクルの成果を数値で示しにくいことが壁になってきました。同社は前者に分離の技術で、後者に記録の基盤で、同時に取り組んでいます。

大学の研究者と、マーケティングやブロックチェーンの経験を持つ経営陣が組んだ体制も特徴です。混紡素材の分離がどこまで量産の段階に近づくのか、注目していきます。

FrontJournal編集部

出典:「Gビズインフォ」(経済産業省)(2026年10月3日に利用)を加工して作成

本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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