2026.08.08
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東京大学・科学技術振興機構(JST)
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元発表:2026.08.06
東大ら、AIが提案したたんぱく質を96個並列で試す自動化基盤を開発
ニュース紹介
「共同発表:たんぱく質高性能化研究をロボットで自動化~AIが提案した候補を迅速に試せる研究基盤を開発~」
東京大学物性研究所の永田崇 助教、今野雅恵 特任助教(現:東京大学大学院新領域創成科学研究科)、橋本大輔 大学院生(東京大学大学院理学研究科)、井上圭一 特任教授(東京大学物性研究所、兼:東京大学大学院新領域創成科学研究科教授)らの研究グループは、遺伝子改変からたんぱく質の製造・機能評価までの一連の操作を96個並列で扱える統合実験プラットフォーム「Rhobot-Screen」を開発した。ロボットによる自動化で、実験者の経験や技能による処理速度・データ品質のばらつきを抑え、AIが提案した候補たんぱく質を迅速に試せる研究基盤を構築した。光受容たんぱく質ロドプシンで動作を検証し、成果は英科学誌「BMC Biology」に2026年8月6日付で掲載された。
出典:科学技術振興機構(JST)・東京大学 共同発表 2026年8月6日 プレスリリース
https://www.jst.go.jp/pr/announce/20260806-2/index.html
FrontJournalの解説
この研究分野について
たんぱく質は、生体反応を担う分子で、医薬品や産業酵素、光遺伝学ツールなど幅広い用途で使われています。近年は、目的の性質を持つたんぱく質をAIで設計する研究が進んでいますが、実際に作って試すためには「遺伝子改変→たんぱく質の製造→機能の測定」を大量に回す必要があります。この工程は従来ほぼ手作業で、担当者の熟練度や体調によって処理速度とデータの質にばらつきが生じやすく、AIの学習用データを揃える上でのボトルネックになっていました。
AIが候補を出しても、それを実際に測って確かめるところが人手で追いつかないと設計サイクルが回らないという構造的な課題があり、実験の自動化が世界的に求められていました。
①遺伝子改変から性能評価まで96試料を並列で処理する
研究グループは、ロボットによる自動実験プラットフォームを導入し、遺伝子改変・たんぱく質の製造・機能評価までを一貫して96個並列で扱える統合ワークフローを構築しました。それぞれの工程を個別のロボットで動かすのではなく、「試料の受け渡し」を含めて一連の流れとしてまとめた点が特徴で、手作業を挟まずに大量の候補を同じ手順で処理できます。これにより、実験者の経験や技能に左右されずに、質のそろったデータを得られる仕組みができました。
②光受容たんぱく質ロドプシンで動作を検証した
開発したプラットフォームは、光を受け取ってイオンを動かす光受容たんぱく質ロドプシンで動作を検証しました。ロドプシンは光遺伝学ツールや光駆動プロトンポンプとして利用されており、アミノ酸を1つ変えただけでも性質が大きく変わるため、候補を大量に試して性質を比べる必要があるたんぱく質です。研究グループはこの検証を通じて、「AIが提案した候補たんぱく質を、迅速に実際に試して比較できる」研究基盤としてRhobot-Screenが機能することを示しました。JSTは、AI駆動型の自律的なたんぱく質開発への発展により、医療・産業・研究など幅広い分野で有用な高性能たんぱく質を、より迅速かつ効率的に開発できる基盤になると発表しています。
編集部からひとこと
AIが「こういうたんぱく質はどうか」と提案しても、実際に作って測るところが遅ければ、設計→検証のサイクルは思ったほど速く回りません。今回のニュースは、手作業だとどうしても揺らぐ「毎回同じ手順で96個を同時に処理する」という部分にロボットを入れて、AIの提案速度に実験の速度を合わせに行った研究として読めます。モデル対象がロドプシンという「変えるとよく変わる」たんぱく質だった点も、自動化の効き目を示すという意味で理にかなっています。ゼロから新規酵素を設計する研究や、光遺伝学の道具を増やしていく研究など、作って試すループがボトルネックになっている領域で影響が出そうな発表でした。
本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。
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