2026.08.06
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理化学研究所
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元発表:2026.08.05
永久磁石の内部にある数千個の粒子の結晶方位を、壊さずに3次元で観察(FrontJournal解説)
ニュース紹介
「永久磁石内部の数千個の微小磁石粒子の結晶方位を非破壊3次元観察 - 高性能磁石の開発を加速する結晶方位イメージング技術を開発 -」
関西学院大学 工学部の鈴木基寛 教授、東北大学 多元物質科学研究所の岡本聡 教授、諏訪智巳 博士研究員(現 産業技術総合研究所)、理化学研究所 放射光科学研究センターのKim Jaemyung 研究員、林雄二郎 チームリーダー、矢橋牧名 グループディレクターらの研究グループは、大型放射光施設SPring-8で開発された3次元X線回折イメージング法(3D-XRD法)を用いて、永久磁石材料内部に存在する数千個の微小磁石粒子の結晶方位を、非破壊かつ3次元で可視化することに成功した。研究グループはこれを、高性能磁石の開発を加速する結晶方位イメージング技術と位置づけている。原論文のDOIは 10.1016/j.matdes.2026.116671。
出典:理化学研究所(関西学院大学・東北大学・理化学研究所 共同発表) 2026年8月5日 プレスリリース
https://www.riken.jp/press/2026/20260805_3/index.html
FrontJournalの解説
この研究分野について
永久磁石は、電気自動車の駆動モーターや風力発電機など、力を出す機械の中心にあります。なかでもネオジム磁石は日本で発明された強力な磁石で、モーターの小型化を支えてきました。この磁石は、微小な結晶の粒が多数集まってできています。粒がどちらを向いているか(結晶方位)が揃っているほど磁力は強くなり、揃っていないほど弱くなります。つまり磁石の性能は、内部の粒の向きの分布で決まる部分が大きいということです。ところが、この向きを内部まで確かめる作業が難しく、これまでは磁石を切って断面を調べる方法が中心でした。
①切らずに内部を見る手法
今回使われたのは、兵庫県にある大型放射光施設SPring-8で開発された3次元X線回折イメージング法(3D-XRD法)です。放射光は非常に明るいX線で、物質の内部を通り抜けながら結晶の情報を取り出せます。研究グループは、この手法で永久磁石材料の内部にある数千個の微小磁石粒子について、結晶方位を非破壊かつ3次元で可視化しました。試料を切らずに済むということは、同じ試料を測り続けられるという意味でもあります。粒の向きが場所ごとにどう分布しているかを、立体のまま把握できる点が今回の要点です。
②重希土類を減らす開発と結びつく
この技術が注目される背景には、材料側の事情があります。ネオジム磁石は温度が上がると磁力を保ちにくくなるため、自動車の駆動モーターのような高温環境では、ジスプロシウムやテルビウムといった重希土類を加えて耐えられるようにしてきました。ただしこれらは資源リスクの高い元素で、使用量を減らす研究が各所で進んでいます。プロテリアルは2025年に、重希土類を使わないEV駆動用のネオジム焼結磁石を開発したと発表しました。重希土類に頼らず性能を出すには、粒の大きさや向きといった内部構造を精密に制御する必要があります。内部を壊さずに観察できる手法は、その制御が狙いどおりに効いているかを確かめる手段になります。
編集部からひとこと
磁石の性能を上げる話は、新しい元素を足すか減らすかという材料の議論になりがちです。今回のニュースはそこではなく、できあがったものの中をどう確かめるかという計測側の話でした。粒の向きが揃っているかどうかは以前から重要だと分かっていた一方で、内部を切らずに数千個ぶん測る手段は限られていました。測れないものは制御しにくい、という順序で考えると、この技術が開発の速さに効いてくる理由も分かりやすくなります。SPring-8のような大型施設が産業材料の評価に使われている例としても読める発表でした。
本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。
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