2026.09.20 理化学研究所 元発表:2026.09.19

理化学研究所、500%以上伸びて通気する導電フィルムを開発

ニュース紹介

「肌や電子素子に負担をかけない伸縮・通気導電フィルム」

理化学研究所創発物性科学研究センターの李成薫研究員と染谷隆夫チームディレクターらの共同研究グループは、熱や圧力を加えずに接合でき、500%以上の伸縮性と高い通気性を併せ持つナノスケールの異方性導電フィルムを開発したと発表しました。銀ナノワイヤを規則的な円盤状パターンで配置し、スチレン・エチレン・ブチレン・スチレン共重合体(SEBS)を含浸させた膜厚約300ナノメートルのフィルムです。水蒸気透過率は1,200g/m²/dayで、1,000回の繰り返し伸縮後も導通を維持し、200マイクロメートルの配線間隔で絶縁性を保ちました。成果は科学誌Science Advancesに掲載されています(DOI: 10.1126/sciadv.aeh6203)。

出典:理化学研究所 2026年9月19日 プレスリリース(掲載誌:Science Advances/発表日:2026年9月18日[日本時間9月19日])
https://www.riken.jp/press/2026/20260919_1/index.html

FrontJournalの解説

異方性導電フィルムとは

異方性導電フィルム(ACF)は、電子部品と配線を貼り合わせる際に、厚み方向にだけ電気を通し、面方向には絶縁を保つフィルムです。従来のACFは厚さが数マイクロメートル以上で硬く、接合に熱・圧力・紫外線が必要で、通気性も低いという課題がありました。皮膚に貼るセンサーや柔らかいロボットでは、伸び縮みへの追従と蒸れにくさが求められます。

①銀ナノワイヤを円盤状に並べた構造

今回のフィルムは、銀ナノワイヤを規則的な円盤状パターンで配置し、SEBSと呼ばれるゴム状の高分子を含浸させた構造で、膜厚は約300ナノメートルです。500%以上の引張ひずみに耐え、水蒸気透過率は1,200g/m²/dayと高い通気性を示し、1,000回の繰り返し伸縮後も導通が保たれました。配線間隔200マイクロメートルでも絶縁性を維持しています。

②常温・無加圧で貼り合わせる接合

接合にはエタノール揮発を利用し、大気中・常温・無加圧で行います。熱や圧力に弱い皮膚や生体組織、柔らかい素子への負担を抑えられる点が従来との違いです。研究グループは、応用先としてウェアラブルなバイオモニタリングデバイス、ソフトロボット、人工皮膚、生体に埋め込む医療デバイスを挙げています。

編集部からひとこと

今回の成果は材料開発の段階であり、製品化の時期や量産方法への言及はありません。伸縮性と通気性を両立しつつ、常温で貼り合わせられるフィルムは、ウェアラブル機器実装工程を見直す手がかりになる可能性があります。詳細な実験データは理化学研究所の公式発表およびScience Advances掲載論文をご参照ください。

FrontJournal編集部

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本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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