2026.09.20 北海道大学 元発表:2026.09.18

北海道大学、約220Kまで局在するクーパー対を発見

ニュース紹介

「220 Kまで局在するクーパー対を発見~高温超伝導の理解につながるボースグラス状態を実証~」

北海道大学大学院理学研究院の延兼啓純助教は、ルテニウム酸化物Ca₂RuO₄のナノ薄膜で、電子のペアであるクーパー対が局在した状態で存在する「ボースグラス状態」が、約220 Kという高温まで観測されることを明らかにしたと発表しました。膜厚を精密に制御した試料の電気輸送測定と、β関数スケーリング解析によって確認しています。ボースグラス状態はこれまで主に極低温で研究されてきましたが、強い電子相関を持つ酸化物で高温まで存在することが示されました。成果は科学誌Communications Materialsに掲載されています(DOI: 10.1038/s43246-026-01325-4)。

出典:北海道大学 2026年9月18日 プレスリリース(掲載誌:Communications Materials/論文公開:2026年9月16日)
https://www.hokudai.ac.jp/news/2026/09/220-k.html

FrontJournalの解説

超伝導とクーパー対

超伝導は、特定の温度以下で電気抵抗がゼロになる現象で、その担い手は電子2個が組になった「クーパー対」です。銅酸化物ニッケル酸化物など、比較的高い温度で超伝導になる物質では、超伝導になる手前の状態でクーパー対がどのように振る舞うかが、発現機構を解く手がかりとして注目されています。

①膜厚を精密に制御したナノ薄膜

今回の研究では、ルテニウム酸化物のCa₂RuO₄ナノスケールの薄膜にし、膜厚を精密に制御した試料を作製しました。この試料で電気輸送測定を行い、温度による電気抵抗の変化を調べています。厚みの異なる試料を比べることで、電子の振る舞いが膜厚とともにどう変わるかを追える点が特徴です。

②電子の局在とペアの局在を見分ける

電子そのものが局在する状態は「フェルミグラス」、クーパー対が局在する状態は「ボースグラス」と呼ばれます。研究では、β関数スケーリング解析を用いて両者を識別し、約220 Kまでクーパー対が局在するボースグラス状態が存在することを示しました。従来の研究より高い温度域での確認となります。

編集部からひとこと

今回の成果は基礎物性の解明であり、超伝導の応用や実用化の時期への言及はありません。高温で局在するクーパー対という新しい知見は、高温超伝導の発現機構の理解や、新しい量子材料を設計する指針につながることが期待されています。詳細は北海道大学の公式発表およびCommunications Materials掲載論文をご参照ください。

FrontJournal編集部

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本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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