2026.09.16 京都大学 元発表:2026.09.15

京都大学ら、液晶状態を使い方向で性質が変わる超分子材料を開発

ニュース紹介

「異方的な力学特性を示す超分子材料の開発に成功」

京都大学大学院工学研究科Cheng Chia-Hsin博士課程学生、渡邊雄一郎助教、杉安和憲教授、東京科学大学リサーチインフラ・マネジメント機構の梶谷孝上席技術専門員、物質・材料研究機構の佐光貞樹主幹研究員らの研究グループは、科学技術振興機構(JST)との共同発表として、異方的な力学特性を示す超分子材料の開発に成功したと発表しました。

従来の超分子材料の多くはアモルファス性であり、結晶構造や分子配向を利用した材料特性の制御は困難でした。研究グループは、コレステロール由来の結晶性超分子材料を開発し、液晶状態を利用した成形加工によって、センチメートルスケールの分子配向を実現しました。

研究グループは、低分子のみから成る超分子材料における高次構造と物性制御の新しい設計指針になるとし、持続可能な次世代材料の開発への貢献を挙げています。本成果は国際学術誌『Nature Communications』に2026年9月11日に掲載されました。

出典:科学技術振興機構(JST)・京都大学 2026年9月15日 プレスリリース
https://www.jst.go.jp/pr/announce/20260915-2/index.html

FrontJournalの解説

この研究分野について

超分子材料(小さな分子どうしが弱い力で集まってできる材料)は、分子どうしのつながりをほどいて元の分子へ戻せるため、分解性リサイクル性の面から研究が進んでいます。

一方で、材料の硬さや強さは、分子がどのように並んでいるかに左右されます。木材木目方向があるように、分子の並ぶ向きがそろうと、方向によって性質の異なる材料になります。

①分子の並びが不規則だった

従来の超分子材料の多くはアモルファス性(分子の並びが不規則な状態)でした。分子の並びがそろっていないため、結晶構造や分子の向きを利用して材料の特性を制御することが難しい状態にありました。

分解して戻せるという利点を保ちながら、構造から性質を設計するには、分子の並びをそろえる手立てが必要でした。

②液晶状態で分子の向きをそろえる

研究グループは、コレステロール由来の結晶性超分子材料を開発しました。加工の際に液晶状態(分子が流れながらも向きをそろえている状態)を経由させることで、センチメートルの大きさで分子の向きをそろえています。

その結果、材料は方向によって力学特性が異なる状態になりました。研究グループは、低分子だけからなる超分子材料について、分子の並びと物性を結び付ける設計指針になるとしています。

編集部からひとこと

分解して戻せる材料は、性能をどこまで作り込めるかが課題になりがちです。今回の成果は、分子の並びをそろえるという材料設計の基本を、超分子材料へ持ち込んだものといえます。持続可能な材料を実用の性能へ近づける道筋として、続報を追いたい研究です。

FrontJournal編集部

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