ノベリオンシステムズ「ECRプラズマ源」を開発

ノベリオンシステムズ株式会社

ノベリオンシステムズ「ECRプラズマ源」を開発|研究領域=磁場とマイクロ波で・プラズマを作る/強み=活性ガスにも・対応できる/将来性=核融合向けの・設計も受託

企業紹介|ノベリオンシステムズ株式会社とは?

マイクロ波と磁場で電子を共鳴させ、高密度のプラズマをつくる装置「ECRプラズマ源」。ノベリオンシステムズ株式会社は、その装置を開発する、エレクトロニクス系ディープテック企業です。核融合プラズマ加熱装置用の大電流負イオン源の技術を起源に、プラズマ源とイオンビーム源を開発しています。

キーワード「ECRプラズマ源」

「ECRプラズマ源」は、電子サイクロトロン共鳴(ECR、磁場の中で電子が回る周期にマイクロ波を合わせる現象)を使って、プラズマをつくる装置です。同社は、この放電方式を使う高密度のプラズマ源を開発しています。同社のECR系の製品は2.45GHzのマイクロ波で動き、酸素などの活性ガスにも使えます。

市場課題|微細加工に求められる、新材料への対応

現状の微細加工の課題|現状は、新材料の薄膜が従来装置で加工しにくい|新材料の薄膜が・加工しにくい/ミリングに・均一さと速さ

新材料の微細加工が難しい

圧電薄膜や磁性薄膜は、従来のシリコンプロセス装置では加工が難しい材料です。IoT(モノのインターネット)でセンサー素子や高周波回路素子の利用が広がり、これらの薄膜を微細に加工する装置が求められています。同社はこの需要に応える装置として、ECRプラズマ源とイオン源を開発しています。

ミリングに均一性と速さが必要

高速イオンビームミリング用のイオン源では、均一さと速さが、同社の製品ページで特長として示されています。大きな基板にも対応でき、ビームの分布は均一で、調整も速い、との説明です。イオンビームミリングは、イオンを材料に当てて削る方法で、MEMS(微小な機械構造をもつ素子)の構造体や磁気メモリの加工に使われる方法です。

他にも、金属の混入の防止、活性ガスへの対応、超高真空装置への対応、といった課題があるといわれています。

FrontJournalの解説
  • イオンビームミリングイオンを加速して材料の表面に当て、物理的にはじき飛ばして削り取る加工方法である。微細な構造をもつ素子の形を整えるときに使われる。

ノベリオンシステムズの強み|「ECRプラズマ源」を開発

ノベリオンシステムズが「ECRプラズマ源」を開発|現在は、プラズマ源とイオン源を提供|ECR放電で・活性ガスに対応/大電流ビームで・高速に加工

ECR放電で活性ガスに対応

シリコン向けに作られた従来のプロセス装置では、圧電薄膜や磁性薄膜といった材料の微細加工が難しくなります。

同社は、ECR放電を使うプラズマ源とイオン源を開発しています。酸素や各種の活性ガスを使えるプラズマ源も、開発しています。放電部の内側は誘電体(電気を通さない材料)で覆われ、金属の混入がないメタルコンタミフリーの構造です。ラインビームイオン源「ELBS-150」は、幅150mmの長尺ビームを出し、粒子のエネルギーは100〜2,000eV(エネルギーの単位)、電流密度(断面あたりの電流)は最大10mA/cm2です。MEMS構造体の高速ミリングや磁気ヘッドの加工、高周波回路の調整ができます。

大電流ビームで高速に加工

同社が高速ミリング向けに挙げる製品の一つが、熱陰極(加熱して電子を放出する電極)を使う大電流のDC放電型ラインビームイオン源「LBS-120HC」です。

ビームの大きさは120mm×10mmで、大型基板に対応できます。エネルギーは100〜2,000eV、電流密度は、ELBS-150と同じ最大10mA/cm2です。磁界の設計でビームの分布を均一にし、電源制御を全自動にしてビームの調整も速くしています。イオン化ガスは水素、窒素、希ガスなどで、冷却方式は水冷です。応用例として、MEMS構造体の高速ミリングや磁気メモリの微細ミリング、高周波素子の共鳴周波数調整ができます。

FrontJournalの解説
  • 電子サイクロトロン共鳴磁場の中で円を描く電子の回転の周波数に、マイクロ波の周波数が一致して、電子が効率よくエネルギーを受け取る現象である。この現象を利用した放電が、ECR放電である。

ECRプラズマ源の未来|複数装置への応用と核融合向け設計

ECR源と核融合向け設計が変える未来|現在は、核融合向けの設計受託を案内|複数の装置に・使える/核融合向けの・設計を受託/核融合への・貢献を目指す

ECR源は複数の装置に使える

ECRプラズマ源は、エッチングから成膜、ラジカル(反応しやすい状態の原子や分子)の供給まで、複数の装置に使える仕様です。「EPS-120」は最大2,000Wのマイクロ波で動くkW級のプラズマ源で、ドライエッチング装置やアッシング装置のプラズマ源に使えます。「ERS-35」は完全メタルシールで超高真空装置に対応した小型の原子ビーム源で、MBE(分子線エピタキシー)装置の窒素や酸素のラジカル源になります。

核融合向けの設計を受託

2026年4月の公式サイトのお知らせで、核融合プラズマ加熱の要となる中性粒子入射システム(高速に加速した粒子を電気的に中性にして打ち込み、核融合プラズマを加熱する装置)の開発・設計・技術コンサルティングの受託が案内されています。同社が保有する技術は、プラズマ分布解析、ビーム軌道解析、電磁界解析、RFプラズマ発生、高密度ビーム発生の5つです。設計できる装置は、イオン源、RFアプリケータ、中性化セル、電源システム、真空システムなどです。

核融合を第二の柱に掲げる

同社は公式サイトで、先進のイオンビーム技術でフュージョンエネルギーの未来を拓くことを第二の柱に掲げています。同社の起源は、核融合プラズマ加熱装置用の大電流負イオン源技術です。2025年9月には、核融合発電をテーマにした展示会「FUSION POWER WORLD」に出展しました。

会社概要|ノベリオンシステムズの事業内容・設立背景

核融合向けの技術が出発点

同社は、2006年8月に設立された、核融合プラズマ加熱装置用の大電流負イオン源技術を起源とする技術開発型ベンチャー企業です。掲げるビジョンは「先進のプラズマ技術で微細加工の未来を拓く!」で、代表取締役は前野修一が務めています。本社は大阪府豊能郡豊能町にあり、事業所は京都府木津川市のけいはんなオープンイノベーションセンター内にあります。

製品と加工受託の範囲

事業は、プラズマ応用装置の開発と製造販売、特殊成膜プロセスの加工受託の2つです。各種プラズマ応用装置の開発受託と技術コンサルティングも、装置の事業に含まれます。装置は、ECRラインビームイオン源(ELBSシリーズ)、モジュール型ECRプラズマ源(EPSシリーズ)、ミリング用の低エネルギー大電流イオン源、内径スパッタコーティング装置などです。加工受託には、核融合実験炉の炉壁にあたるCFC(炭素繊維強化炭素)ダイバータブロックへの接合界面処理(部品どうしを接合する面に施す処理)があります。装置のカスタムメイクにも対応しています。

展示会への出展

公式サイトのお知らせでは、半導体製造装置の展示会「SEMICON Japan」に2016年12月と2023年12月に出展しています。2016年は12月14日から16日、2023年は12月13日から15日で、いずれも東京ビッグサイトでの開催でした。「FUSION POWER WORLD」にも、2025年9月に幕張メッセ、11月にインテックス大阪で出展しています。

会社情報

会社名ノベリオンシステムズ株式会社(Novelion Systems Co., Ltd.)
所在地本社=大阪府豊能郡豊能町川尻304番地/事業所=京都府木津川市木津川台9丁目6番地 けいはんなオープンイノベーションセンター105
設立2006年8月
代表代表取締役 前野 修一
資本金600万円
事業プラズマ応用装置の開発と製造販売、特殊成膜プロセスの加工受託、各種プラズマ応用装置の開発受託と技術コンサルティング
技術領域ECRプラズマ源。イオンビーム源。中性粒子入射システムの設計
URLhttps://www.novelion-sys.com/

編集後記|FrontJournal編集部より

プラズマは、核融合から半導体の微細加工まで、まったく別の場面で使われます。ノベリオンシステムズは、核融合プラズマ加熱装置用の技術を起源に、微細加工用の装置も手がけている点が特徴です。この組み合わせは、同社の事業を読み解く手がかりになります。

同社は製品ごとに、ビームの幅や電流密度、使えるガスの種類といった、装置を選ぶための数値を示しています。仕様と応用例は、製品ごとの個別ページで確認できます。特長も、仕様の前に列記されている構成です。

同社が核融合プラズマ加熱の要となる中性粒子入射システムの設計を受け付けている点が目を引きます。同社が持つ専門性が、大きな装置を支える日を期待します。今後の展示会や受託の動向も注目点です。

FrontJournal編集部

出典:経済産業省 大学発ベンチャーデータベース2026

出典:「Gビズインフォ」(経済産業省)(2026年9月28日に利用)を加工して作成

本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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