Holoeyes株式会社|CT・MRI画像をVRで立体表示する神戸大学発の医療VR企業

Holoeyes株式会社(ホロアイズ)

Holoeyes「立体表示」を研究|研究領域=CT・MRI画像の3Dモデル化/強み=VR/MR機器で立体的に共有/将来性=手術や教育現場への普及

企業紹介|Holoeyesとは?

CT(コンピュータ断層撮影)やMRI(磁気共鳴画像)の画像データを、VR(仮想現実)機器で立体的に映し出し術者どうしで確認し合える「医用画像の立体表示」。Holoeyes株式会社は、その社会実装を目指す、神戸大学発の医療VR企業です。医用画像処理ソフトウェア「Holoeyes MD」を開発し、全国の医療機関へ提供しています。

キーワード「立体表示」

立体表示とは、CT・MRIの画像データを3次元のデジタルモデルに変換し、VRやMR(複合現実)のヘッドセットで奥行きを持って確認できるようにする技術です。平面画像では捉えにくい血管や臓器の位置関係を、術者が空間的に把握できます。市販の機器で閲覧でき、離れた医療者どうしが同じ模型を見ながら計画を検討できます。

医用画像の立体表示|手術前の情報共有という課題

現状の医用画像共有の課題|現状は、平面画像のため位置関係を把握しにくい/CT画像は平面表示に限られる/紙の説明図は伝わりにくい

CT画像は平面表示に限られる

CTやMRIで得られる画像は、本来断面ごとの平面画像です。医師はこの断面画像を何十枚も見比べながら、頭の中で血管や臓器の立体的な位置関係を組み立てる必要があります。特に肝臓や膵臓のように血管が複雑に入り組む臓器では、平面画像だけで術前に全体像をつかむことが難しくなります。

紙の説明図は伝わりにくい

手術前には、執刀医が看護師や他科の医師と手技の手順を共有する場面があります。これまでは印刷した画像や手描きの図を使って説明することが多く、奥行きや角度を紙の上で伝えるには限界がありました。口頭での補足に頼る部分が増えるほど、参加者どうしで理解の食い違いが生じやすくなります。

他にも、離れた病院間での症例相談、学生に立体的な解剖を教える教材の不足、医療機器の操作を体験する場の限られた機会、といった課題があるといわれています。

FrontJournalの解説
  • MR(複合現実)現実の空間に3Dのデジタル映像を重ねて表示する技術を指す。VRが視界を仮想空間に置き換えるのに対し、MRは手元の実物と映像を同時に見ながら作業できる。

Holoeyesの強み|「立体表示」を研究

Holoeyesが「立体表示」を研究|今後は、複数人で同時に確認・共有が可能に/CT画像を立体モデルに変換/複数人で同時に閲覧し共有

CT画像を立体モデルに変換

従来の画像処理ソフトの多くは、断面画像を単に並べて表示するだけにとどまっていました。

Holoeyes MDは、CT・MRIの断面画像から血管や臓器ごとの3Dモデルをクラウド上で自動的に生成する仕組みです。生成したモデルはMeta QuestやHoloLens 2などのVR/MRヘッドセットに転送され、実物大の立体として好きな角度から確認できます。血管が複雑に入り組む肝胆膵領域でも、術者が模型を手に取るように動かしながら手術の道筋を検討できる点が特徴です。断面画像を頭の中で組み立てる作業が減り、術前の検討にかけていた時間の圧縮が期待できます。

複数人で同時に閲覧し共有

紙や画面越しの説明では、参加者ごとに見えている角度がそろわず、話がかみ合いにくくなっていました。

Holoeyes VSは、複数の利用者が同じ3Dモデルを同じ空間で同時に閲覧できるサービスです。離れた病院にいる医師どうしがアバターの姿でカンファレンスに参加し、模型を指し示しながら手技の手順をすり合わせられます。教育向けのHoloeyes Eduでも、学生が講義中に解剖の立体構造を体験できる設計です。参加者全員が同じ角度から模型を見られるため、口頭の補足に頼る場面が減り、移動や紙資料の準備にかけていた時間も減らせると見込まれます。

FrontJournalの解説
  • 肝胆膵領域肝臓・胆道・膵臓とその周辺の血管をまとめて指す呼び方である。血管や胆管が複雑に入り組み、術前の立体的な把握が特に重要とされる領域である。

立体表示の未来|医療現場への応用

立体表示が変える医療の未来|手術支援から新しい機器対応まで広がる/手術支援ロボットですでに活用/新しい機器への対応が拡大/医療現場での定着を目指す

手術支援ロボットでも活用

立体表示は、すでに医療現場での臨床活用が始まっています。手術支援ロボット「da Vinci」を用いた泌尿器科の手術では、術前に作成した立体モデルを確認しながら手技が行われた例があります。これとは別に、経気管肺生検での位置情報表示という用途はすでに保険適用の対象です。医療現場での実装は、研究段階から臨床の現場へと少しずつ広がっています。

新しい機器への対応が進む

対応する機器の幅を広げながら、Holoeyes MDは進化を続けています。従来のMeta QuestやHoloLens 2に加え、Apple Vision Proへの対応も始まりました。2026年には、切り開いて内部の構造を確認できる「切開」機能も実装されました。使える機器や操作の幅が広がるほど、現場で立体表示を選ぶ医師は増えていくと考えられます。

医療現場での定着を目指す

2030年度をめどに社会実装の完成を目指す中期計画を、Holoeyesは掲げています。当面の2年間は、開発・臨床・教育のそれぞれで事業の規模を広げる期間と位置づけられました。立体表示が診療科を横断して当たり前の選択肢になれば、術前の説明や多職種での情報共有にかかる負担は今より軽くなっていくと考えられます。国内の主要な医療機関の多くで日常的に使われる技術になることが、将来の目標です。

会社概要|Holoeyesの事業内容・設立背景

医師が起業した医療VR企業

Holoeyesは、医師で医学博士の杉本真樹氏が2016年10月に設立した企業です。杉本氏は消化器外科医としての臨床経験を持ち、東京都港区南青山の本社で事業を展開しています。医用画像とVR・MRの技術を組み合わせる発想は、臨床現場で画像診断に携わってきた杉本氏自身の経験から生まれました。

神戸大学と帝京大学が認定

杉本氏が神戸大学大学院医学研究科で特務准教授・客員准教授を歴任した活動を経て、Holoeyesは2024年6月に神戸大学発ベンチャーとして認定されました。2025年6月には帝京大学発ベンチャーの認定も受けています。あわせて、Holoeyes MDは2020年2月に管理医療機器(クラスII)の認証を取得しました。2023年9月には、経気管肺生検での利用が診療報酬の区分A2(特定包括)として保険適用の対象になっています。

資金調達とビジネスモデル

事業の成長段階に応じた資金調達を、Holoeyesは重ねてきました。2023年8月にはシリーズBの延長ラウンドとして約4億円を、2025年6月にはシリーズBのエクステンションラウンドとして約2.3億円を調達しています。事業の柱は、医用画像処理ソフトウェアのライセンス提供と、複数人での閲覧を可能にする「Holoeyes VS」、医療教育向けの「Holoeyes Edu」の3つです。今後は国内外の医療機関への展開を進めていく方針です。

会社情報

会社名Holoeyes株式会社
所在地東京都港区南青山2-17-3
設立2016年10月
代表杉本 真樹
資本金1億円
調達2023年8月 約4億円(シリーズB延長/MEDIPALイノベーション、Japan Venture Capital 等)/2025年6月 約2.3億円(シリーズBエクステンション/帝京ナレッジ・イニシアティブ、ワコム 等)
事業Holoeyes MD(医用画像処理ソフトウェア)のライセンス提供、Holoeyes VS(複数人閲覧サービス)、Holoeyes Edu(医療教育アプリ)
技術領域医用画像処理、VR/MR、医療機器ソフトウェア
連携神戸大学、帝京大学
採択神戸大学発ベンチャー認定(2024年6月)、帝京大学発ベンチャー認定(2025年6月)
URLhttps://holoeyes.jp/

編集後記|FrontJournal編集部より

手術の説明を紙の図と口頭に頼ってきた現場に、立体で見て確かめる選択肢を持ち込んだ点に、Holoeyesの取り組みの意義があると感じます。医師自身が起業し、臨床の現場感覚をもとに医用画像の立体表示を製品として磨き上げてきた歩みは、医療とテクノロジーの距離を縮める好例といえるでしょう。管理医療機器としての認証や保険適用の取得を積み重ねてきた過程からも、臨床現場での実用性を重視する姿勢がうかがえます。

神戸大学・帝京大学という二つの大学発ベンチャー認定を持つ立ち位置は、アカデミアと臨床の橋渡し役としての性格の表れです。教育や遠隔でのカンファレンスといった用途にも裾野を広げていくことができれば、医療現場全体への波及効果はさらに大きくなっていくと考えられます。今後どこまで多くの医療現場に立体表示が広がっていくのか、注目したいと思います。

フロントジャーナル編集部

本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

この企業の方へ

内容に誤り・更新が必要な点があれば、可能な限り速やかに修正します。お気づきの点はお問い合わせまでご連絡ください。

掲載情報の修正・写真の追加・更新はこちら

この企業について、
もっと深く知りたい方へ

パートナーシップ・お問い合わせはこちらから。