VEQTA「犬の遺伝子検査」を研究

株式会社VEQTA(ベクタ)

VEQTA「犬の遺伝子検査」を研究

企業紹介|株式会社VEQTAとは?

ペットの病気を、発症する前に遺伝子から知る手段として注目を集める「犬の遺伝子検査」。株式会社VEQTAは、その社会実装を目指す、愛媛大学発のライフサイエンス系ディープテック企業です。犬や猫の遺伝性疾患や、犬の腸内フローラを調べる、検査の受託を進めています。

キーワード「犬の遺伝子検査」

「犬の遺伝子検査」は、口腔粘膜(頬の内側の粘膜)から採った検体のDNAを調べ、遺伝性疾患(親から受け継いだ遺伝子の変異で起こる病気)の変異や発症リスクを知る検査です。症状が出る前に調べられるため、治療や生活環境の指針になるといわれています。同社は、検体を福岡市の検査ラボで受け付け、メールで結果を届けています。

市場課題|犬の遺伝性疾患は、気づいた時には進む

現状の遺伝性疾患の課題

症状が出てから気づく

犬の遺伝性疾患には、症状が出てから気づいても、進行が早いものがあります。例えば柴犬の緑内障は、痛みを伴う緊急疾患で、1〜2週間放置すると視覚を失うといわれています。見た目では発症リスクが分からないため、飼い主は事前に備えにくい状況です。

遺伝子の変異が次世代へ残る

遺伝性疾患は、原因となる変異遺伝子を持つ犬が、気づかれないまま繁殖に使われると、次の世代へ受け継がれます。犬の遅発性運動失調症は、2〜3歳から認知機能障害、3〜4歳から運動失調が現れ、通常5〜7歳で亡くなるといわれています。発症の前に遺伝子の状態を知る手段が、求められてきました。

他にも、犬種ごとに異なる遺伝性疾患のリスク、猫にも見られる遺伝性疾患、疾患ごとに異なる発症の時期、といった課題があるといわれています。

FrontJournalの解説
  • 遺伝性疾患親から子へ受け継がれる遺伝子の変異によって起こる病気を指す。発症前に変異を調べられる検査があり、治療や生活環境の見直しに生かせる。

VEQTAの強み|「犬の遺伝子検査」を研究

VEQTAが「犬の遺伝子検査」を研究

緑内障の関連遺伝子を調べる検査

見た目だけでは発症リスクが分からず、事前に把握しにくい状況でした。

同社は、柴犬の緑内障について、SRBD1遺伝子の2カ所のSNP(一塩基多型)を調べる検査を提供しています。柴犬では、眼病の4割を緑内障が占めるといわれることが、検査の背景です。検体は口腔粘膜から採取し、福岡市の検査ラボが試料を受け付けた後に、結果をメールで確認できます。検査は1項目から受けられる仕組みです。症状が出る前に発症リスクを知れるため、治療や生活環境を早めに見直せる点が、飼い主にとっての利点です。

繁殖前に遺伝子変異を知る検査

従来は、変異遺伝子を持つ犬を見た目や症状では見分けられず、繁殖の前に把握しにくい状況でした。

繁殖前に検査で変異の有無を確かめれば、変異遺伝子を次世代に残さない判断ができます。検査の対象は、神経・眼・泌尿器・血液といった分野の遺伝性疾患で、犬だけでなく猫の遺伝性疾患も受託しています。繁殖に使う犬の遺伝子の状態を、あらかじめ調べる使い方です。項目ごとに結果を確認できるため、繁殖に使う犬の候補を絞る前に変異の有無を確かめられます。変異を事前に把握できるため、次の世代へ受け継がせない判断ができるようになります。

FrontJournalの解説
  • SNPゲノム(全遺伝情報)の塩基配列のうち、個体の間で1塩基だけ異なる多様性(一塩基多型)を指す。犬の緑内障の検査では、SRBD1遺伝子の2カ所を調べる。

犬の遺伝子検査の未来|対象疾患と提供先の拡大

犬の遺伝子検査が変える未来

トイプードルの運動失調症検査

同社は2026年8月26日に、犬の遅発性運動失調症の発症リスクを調べる検査を発表し、開始は同年9月としています。対象はトイプードルで、鹿児島大学と理化学研究所の診断方法を用いる検査です。この病気は、遺伝形式がX染色体性顕性(X染色体上の原因変異を1コピー持てば発症する形式)とされています。発症前に遺伝子の状態を知ることで、飼育や繁殖の備えにつながります。

保険会社への検査提供と海外出展

2023年3月には、楽天ペット保険が、顧客へのサービスツールとして腸内フローラ検査「Wankinso」を導入しました。2023年8月には、中国・上海で開かれたペットフェアアジア2023に出展しました。中国の事業所は、唯可它(杭州)宠物科技有限公司です。保険会社への提供と海外への出展は、検査を飼い主へ届ける経路を増やす取り組みです。

愛犬を知る環境を目指す

同社の事業は、ペットだけでなく畜産の検査にも及びます。同社は2015年1月に、愛媛県から受託した遺伝子解析によるブランド牛の開発を報告しました。2024年4月には、犬の年齢判定検査と犬種判別検査の提供も始めています。飼い主が愛犬の疾患リスクや腸内の状態、犬種を検査で知り、病気や生活に備えられる環境を目指します。

会社概要|愛媛大学発の遺伝子検査企業VEQTA

愛媛大学発の検査企業

同社は、2014年8月に愛媛大学発ベンチャーとして創業した、大阪市中央区の企業です。社名のVEQTAは、Vet Ehime university Quality Technology Analysisの頭文字に由来します。事業内容は、ペット・畜産における検査およびメディカル事業と、BtoBにおける開発受託およびコンサルタントです。検査は、福岡市西区の福岡市産学連携交流センターにある検査ラボで受け付けています。代表取締役社長は黑田展弘氏、代表取締役会長は俵文利氏です。

沿革と採択

2015年4月に、愛媛県研究開発助成事業に採択されました。2016年5月には、犬猫の遺伝性疾患検査の受託を始めています。2016年9月と2017年9月には、テックプランター(リバネスが運営する起業支援プログラム)のファイナリストに選ばれました。2019年3月には、腸内フローラ検査「Wankinso」の受託を始めています。取締役には、獣医師で博士(獣医学)の津曲茂久氏が名を連ねます。

資本と株主

2022年2月に、資本金を1億600万円から3,000万円に減資しました。株主には、三菱UFJキャピタル、いよぎんキャピタル、MOONベンチャーズ、グローカリンクのほか、経営陣やエンジェル投資家が含まれます。

会社情報

会社名株式会社VEQTA
所在地大阪府大阪市中央区北浜1丁目9番10号 北浜宗田ビル201号
資本金3,000万円(2022年2月に1億600万円から減資)
調達株主は三菱UFJキャピタル、いよぎんキャピタル、MOONベンチャーズ、グローカリンクなど
事業ペット・畜産における検査およびメディカル事業、BtoBにおける開発受託およびコンサルタント
技術領域犬の遺伝子検査、腸内フローラ検査
連携楽天ペット保険が「Wankinso」を顧客向けに導入(2023年3月)
採択愛媛県研究開発助成事業(2015年4月)
URLhttps://www.veqta.jp/

編集後記|FrontJournal編集部より

犬の病気は、症状が出てからでは対応できる時間が限られます。VEQTAの取り組みは、発症前に遺伝子の状態を知る検査を軸に、腸内フローラや犬種、年齢の検査へ広げている点が特徴です。ペットの検査企業としての価値は、この広がりにあります。

大学の知見を、飼い主が使える検査に変える流れは、研究と暮らしをつなぐ現実的な道筋だと考えます。保険会社や海外への展開が進み、愛犬の遺伝子の状態を知ることが、ごく普通の健康管理になる日が近づくことを楽しみにしています。

FrontJournal編集部

出典:経済産業省 大学発ベンチャーデータベース2026

出典:「Gビズインフォ」(経済産業省)(2026年9月28日に利用)を加工して作成

本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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