2026.10.14 │ 理化学研究所(理研) │ 元発表:2026.10.14

理研ら、X線ライトシート顕微鏡で細胞内部の3次元超解像イメージングに成功

ニュース紹介

「X線ライトシートを用いた3次元超解像顕微鏡-細胞内部の3次元構造を非破壊で解明-」

理化学研究所(理研)放射光科学研究センターの香村芳樹チームリーダーらの国際共同研究グループは、X線ライトシート顕微鏡を用いて、放射線損傷の影響を最小限にした非破壊計測データから、ナノメートルオーダーの3次元的位置決定精度を持つ超解像イメージングに成功したと発表した。大型放射光施設SPring-8の放射光X線を非常に薄く加工し、薄い断面での計測を繰り返すことで、ハムスターの卵巣細胞内部の短時間露光による3次元超解像イメージングを実現した。位置決定精度は面内方向7nm、深さ方向2nmで、いずれも微粒子マーカー(サイズ10〜20nmのシンチレーター)の大きさ以下だった。

出典:理化学研究所 2026年10月14日 プレスリリース(掲載誌:Optics Express/オンライン版 2026年10月12日付)
https://www.riken.jp/press/2026/20261014_1/index.html

FrontJournalの解説

この研究分野について

超解像蛍光顕微鏡は、可視光の顕微鏡で回折限界(光の波長の半分程度)を超える空間分解能を得る技術で、開発した研究者が2014年にノーベル化学賞を受賞しました。蛍光を出す状態と出さない状態を作り分けて、近接する分子が同時に光らないようにし、点像の重心位置を計算(重心演算)して、ナノメートルの空間分解能を得ます。

発表では、課題も挙げられています。蛍光の点滅を制御するため、1枚の画像を作る撮影時間が数秒から数分以上になること、また、試料の深さ方向の分解能が観察面内より低いため、観察対象が制約されることです。

①薄いX線のシートで、一つの面だけを光らせる

X線ライトシート顕微鏡は、2022年にSPring-8で開発された手法です。シート型に成形したX線を試料の横から当て、X線の光軸と直交する方向から、試料中の蛍光体の分布を観察します。試料には、X線を当てると可視光を発するシンチレーター(サイズ10〜20nmの微粒子マーカー)が導入されています。

X線が当たった非常に薄い平面の微粒子だけが光るため、蛍光の重なりを抑えられます。そのため、常に光る通常のシンチレーターを使えて、点滅の制御が要らず、短時間露光での3次元超解像が可能になります。今回のX線ライトシートの深さ方向の厚みは60nm程度です。

②精度の検証と、細胞の内部の観察

研究グループは、半径5.5μmのシリカ球の表面に量子ドット型の微粒子マーカーを1層つけた試料で、手法を検証しました。微粒子の位置決定精度は、面内方向で7nm、深さ方向で2nmでした。視野は100μm四方です。

次に、数μm厚のハムスター卵巣細胞の試料に、サイズ10nmの微粒子マーカーを導入して観察しました。マーカーは核膜孔(核孔)を透過せず、核の外にとどまる様子が捉えられました。これは、10nmは透過せず、6nm以下なら透過するという電子顕微鏡による既報と一致します。大気中で、細胞を壊さずに観察できることも確かめられました。

編集部からひとこと

今回の成果は、放射光のX線を薄いシート状にすることで、点滅制御に頼らずに3次元の超解像を得られることを示しました。理研は、今後は発光効率のより高い微粒子マーカーを開発し、動的な3次元超解像イメージングを発展させるとしています。電子顕微鏡で観察しにくい厚みのある試料や、破壊測定が好ましくない工業製品への展開も挙げられていますが、実用化の時期は発表では触れられていません。

FrontJournal編集部

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本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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