36ICT「見守り器」を開発

36ICT株式会社(サンロクアイシーティー)

36ICT「見守り器」を開発|研究領域=電池で動く・位置を報せる/強み=山奥でも・位置を取得する/将来性=地域から・世界を目指す

企業紹介|36ICT株式会社とは?

電池で動き、広い範囲の位置を離れた場所へ報せる装置「見守り器」。36ICT株式会社は、その開発に取り組む、公立諏訪東京理科大学発の無線通信系ディープテック企業です。屋外で使うセンサ用の送信機を提供し、位置を離れた場所へ報せる見守り器を開発しています。

キーワード「見守り器」

「見守り器」は、対象物に取り付け、位置などを離れた場所へ報せる装置です。同社が開発中の「汎用屋外見守り器」は、GPSで位置を取得し、紐で対象物に固定して使う装置で、マグネットスイッチが外れると報告を送ります。待機状態なら、屋外で約半年連続して使えます。

市場課題|山間部では、位置を伝える手段と電源が限られる

現状の位置情報の課題|現状は、山奥で位置を伝える手段と電源が限られる|通信手段が・届かない/電源と維持管理が・負担になる

山奥は通信手段が届きにくい

山奥など通信手段がない地域では、GPS(人工衛星の電波で位置を測る仕組み)で測った位置を届ける手段がなく、人や物の位置情報を取得しにくい状況です。登山客の安全見守りや、罠や柵といった獣害対策機器の監視は、こうした場所で必要とされています。位置を把握できなければ、登山者の異変や機器の状態を、離れた場所から確かめにくくなります。

電源と維持管理が負担

電源の確保が難しい山地では、設置した機器を長く動かし続けること自体が負担です。用水路の水門、消火器、街灯など、設置箇所が非常に多いインフラでは、状態を監視する対象も多くなります。山奥で位置情報を取得し続けるには、維持管理のコストを抑えることも課題になります。

他にも、山間部での罠や柵の状態の確認、電源を確保しにくい工事現場での機材や進捗の管理、設置箇所の多いインフラの状態の監視、といった課題があるといわれています。

FrontJournalの解説
  • GPS人工衛星から届く電波をもとに、受信機の緯度と経度を求める測位の仕組みを指す。位置は機器の側で分かるが、その情報を離れた場所へ伝えるには、別に通信手段が要る。

36ICTの強み|「見守り器」を開発

36ICTが「見守り器」を開発|現在は、電池で動く送信機を提供|LPWAとGPSで・位置を報せる/空向きの面で・受信を安定

電池で長く位置を報せる

通信手段も電源の確保も難しい山中では、機器の電池の持ちが、位置情報を取得できる期間を左右します。

同社は、小さな電力で駆動して広い範囲をカバーするLPWA(省電力広域無線通信)の無線通信に、GPSによる位置情報の取得を組み合わせた技術を使います。同社が提供する汎用屋外用センサ用送信機「SWB-36Nx01」は、単一乾電池8本(または4本)で動き、様々なセンサを接続できる送信機です。大きさは縦約200mm、横約310mm、高さ約160mmで、外箱を支柱に固定して屋外で長期間使えます。この技術により、通信手段がない山奥でも、位置情報を長期間取得できるようになります。

空向きの面で受信を安定

GPSの受信感度は、機器の向きや置き方に左右されます。

同社が開発中の「汎用屋外見守り器」は、GPSの受信感度を保つため、空を向く面を決めています。この面が空を向くと、消費電力の低下と安定した送信につながります。紐で対象物に固定でき、対象物が引っ張られるなどしてマグネットスイッチが外れると、報告が送られる仕組みです。各見守り器の状態は地図上のマークから確認でき、待機状態なら屋外で約半年の連続使用が可能です。広い範囲に置いた対象物の異常を、離れた場所から把握できるようになります。

FrontJournalの解説
  • 受信感度電波を受け取る機器が、弱い電波をどこまで捉えられるかを示す性能である。感度が高いほど、弱い電波からでも位置などの情報を取り出しやすい。

見守り器の未来|位置の把握を、山間部から広げる

見守り器が変える未来|位置の把握を山間部から広げる|公共交通の・位置を把握/専用情報網の・構築を支援/地域から・世界を目指す

公共交通の位置を把握

公共交通の位置情報管理は、同社が装置で支援する用途の1つです。長野県茅野市で実施される公共交通位置情報システムの実証(実際の環境で確かめること)には、技術協力することを2023年2月に公表しています。送迎車両の運行管理も、同社が挙げる用途です。車両の位置が分かれば、運行する側は各車両の走行状況を把握しやすくなります。

専用情報網の構築を支援

専用情報網の構築では、中・大規模の案件をワンストップで請け負います。電源の確保が難しい山地の工事現場では、工事機材の管理や工事の進捗管理に使えます。用水路の水門、消火器、街灯など、設置箇所の多いインフラでは、状態の監視が用途です。

地域から世界を目指す

同社は、北緯36°の山の麓で生まれた情報通信技術を、地域に、そして世界へ届けることを目指しています。高齢者や子どもの見守り、登山客の安全見守りは、人の居場所を知らせる用途です。罠や柵といった獣害対策機器の監視は、設置した物の状態を知らせる用途です。人だけでなく物の場所と状態も離れて確かめられる仕組みが広がれば、見守る側の安心が増します。

会社概要|36ICTの事業内容・設立背景

産学公連携事業を母体に設立

同社は、産学公連携事業を母体とする企業です。2018年度から3年間、公立諏訪東京理科大学が茅野市から委託を受け、内閣府の地方創生推進交付金を活用した「スワリカブランド」創造事業を実施しました。この事業でLPWA無線通信とその応用技術が開発され、2022年4月19日に同社が設立されています。大学の発表によると、同大学の渡辺毅特任准教授が同社を設立し、2022年7月に学内発ベンチャーに認定されました。

採択・参加・契約

2022年4月に、ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社の「ELTRES IoTネットワークサービス パートナープログラム」に参加しました。ELTRES(ソニー独自のLPWA通信規格)は、見通し100km以上の伝送性能、時速100km以上の高速移動体への対応、低消費電力を特長とします。2022年7月に長野県ソーシャルビジネス創業支援金の採択を受け、同年9月にはNECネッツエスアイ株式会社とELTRES IoTネットワークサービスの取扱店契約を結びました。

社名の由来と拠点

社名の「36ICT」は、サンロクアイシーティーと読みます。諏訪地方に北緯36°の緯線が走ることと、多くの山々の山麓を掛けて名付けられました。「北緯36°の山の麓で生まれた情報通信技術を地域に、そして世界へ」という思いが込められています。所在地は長野県上田市で、2025年2月に本店を移転しました。

会社情報

会社名36ICT株式会社(36ICT, Inc.)
所在地長野県上田市下之郷乙560-1 ロイヤルビル銀303
設立2022年4月19日
代表代表取締役 渡辺 毅
事業高齢者や子どもの見守り、登山客の安全見守り、公共交通等の位置情報管理、獣害対策機器の監視を支援する装置と、装置で得た情報の提供。中・大規模の専用情報網の構築
技術領域省電力広域(LPWA)無線通信。GPSによる位置情報の取得
連携公立諏訪東京理科大学の学内発ベンチャー(2022年7月認定)。ソニーネットワークコミュニケーションズの「ELTRES IoTネットワークサービス パートナープログラム」に参加
URLhttps://36ict.com/

編集後記|FrontJournal編集部より

位置を知らせる仕組みは、山間部ではまだ手が届きにくい分野です。36ICTの特徴は、電池で動く見守り器とGPSを組み合わせ、通信手段のない場所の位置情報を扱える点にあります。屋外に置く装置は、電池の持ちと維持管理の手間が、使われ続けるかどうかを分けます。

2022年7月の大学の発表では、茅野市、地元企業、大学の三者の協力で得られた成果が、同社を通じて社会に還元されることが期待されています。山麓から生まれた技術が、見守りや運行管理の現場に広がる日が楽しみです。人の居場所も物の状態も離れて分かる安心が、山の中にも広がることを望みます。

FrontJournal編集部

出典:経済産業省 大学発ベンチャーデータベース2026

出典:「Gビズインフォ」(経済産業省)(2026年9月28日に利用)を加工して作成

本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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