アーカイラス「偽造防止ナノタグ」を開発

アーカイラス株式会社

アーカイラス「偽造防止ナノタグ」を開発|研究領域=見えない目印で・真贋を判定/強み=印刷できて・複製しにくい/将来性=錠剤の工程と・印刷に広げる

企業紹介|アーカイラス株式会社とは?

錠剤や製品に目に見えない目印を付け、本物かどうかを判定する「偽造防止ナノタグ」。アーカイラス株式会社は、その社会実装を目指す、京都大学発のディープテック企業です。金ナノ粒子が自然に集まった構造を使うナノタグ「ステルスナノビーコン」を開発しています。

キーワード「偽造防止ナノタグ」

「偽造防止ナノタグ」は、金ナノ粒子(金の微小な粒)を集合させた、錠剤や製品に付けて本物かどうかを判定するための目印です。インクのように錠剤や製品の表面へ印刷でき、目では見えません。レーザーを当てると特有の光の信号が出るため、その信号の有無で真正品と偽造品を区別できます。

市場課題|目で確かめる偽造対策の限界

現状の偽造対策の課題|現状は、目で見る識別が模倣されやすい|鍵の原理が・解析されやすい/ラベルは・剥がされやすい

目で見る識別の限界

目で見て識別する手法には、原理が解析されると模倣される恐れがあるという限界があります。商品や錠剤に付ける識別用の微小な目印(マイクロタガント)でも、判定の手がかりが外から分かる方式では、この問題が残る点も課題です。医薬品の錠剤は面積が小さく、長期間保管されるため、目印にも小ささと長期の安定性が求められます。

偽造品の識別には、体への影響が小さいこと(生体適合性)も前提になります。また、製造や流通の工程に組み込める手軽さも欠かせません。この限界を超えるには、目では確かめられない目印が必要です。

ラベルの剥離と流用

物流や流通の管理に使うラベルやタグは、剥がされたり流用されたりする恐れがあります。別の商品に貼り替えられると判定が崩れるため、ラベルだけでは商品そのものの真贋を保証できません。

他にも、実際の保管環境で信号を検出できるか、現場で読み取る検出機をどう整えるか、錠剤の製造工程にどう組み込むか、といった課題があるといわれています。国の研究開発機関であるNEDOの実証実験は保管環境での信号検出を確かめる取り組みで、総務省の研究開発課題は検出機の試作に取り組むものです。

FrontJournalの解説
  • マイクロタガント商品や錠剤などに付ける、識別用の微小な粒子のこと。真正品と偽造品を区別するための目印として使われる。

アーカイラスの強み|「偽造防止ナノタグ」を開発

アーカイラスが「偽造防止ナノタグ」を開発|今後は、光の信号で真贋判定が可能に|金ナノ粒子を・見えず印刷/光の信号で・真贋を判定

見えない目印を印刷

ラベルやタグは、剥がされたり流用されたりすることがあります。商品そのものに目印を付ける方法が、この弱点を補います。

京都大学の福岡隆夫氏(当時は研究員)が開発した「ステルスナノビーコン」は、金ナノ粒子を集合させたナノタグです。液体のインクのように、医薬品の錠剤などへ直接印刷できます。必要な量はナノグラム(10億分の1グラム)単位です。特有のレーザーを0.2秒照射するだけで、商品管理に必要な情報を得られます。商品の外観を損ねずに目印を付けられるため、流通の過程でも、真正品かどうかを確かめることができるようになります。

複製しにくい光の信号

目で見て識別する手法は、見えている情報が解析の手がかりになるため、模倣されやすい面があります。手がかりが外から見えない方式が、この弱点を補います。

ナノタグは、レーザーを当てると、金属のナノ構造で光の信号が強まる、表面増強ラマン散乱(SERS)による特有の信号を出します。光の波長、ナノ構造、分子の種類、物理現象などを組み合わせて暗号鍵とするため、電子顕微鏡でナノタグの構造を解析しても、信号を予測することは困難です。金を原料にしても、必要な量が少ないため安価になる利点があるとNEDOは説明しています。信号の有無を読み取れば、商品の真贋を確かめることができるようになります。

FrontJournalの解説
  • 表面増強ラマン散乱金属ナノ構造の近くにある分子に光を当てたとき、その分子が出す微弱な光の信号が著しく強まる現象。SERSと略される。

偽造防止ナノタグの未来|製造工程から供給網へ

偽造防止ナノタグが変える未来|錠剤の製造工程から供給網の安全へ|錠剤の工程に・混ぜて検出/印刷の確認と・検出機の試作支援/供給網の・保護を目指す

錠剤の製造工程へ

福岡氏を含む研究チームは、2024年に、錠剤のコーティング液にナノタグを混ぜる方法を報告しました。通常のコーティング液と混ぜるだけで、レーザーを0.1秒当てると、はっきりした信号を確認できます。コーティングの時間が長いほど信号が強まるため、膜の厚さを監視する目印にも使えます。色の測定では、ナノタグ入りの錠剤と入っていない錠剤の間に、差は見られませんでした。

印刷と検出機の開発

2025年には、ナノタグを混ぜたインクをインクジェットプリンターで印刷できることを、福岡氏を含む研究チームが確認しました。水や既存のインクと混ぜるだけで、インクにできます。また、アーカイラスの「ステルスタグ検出ベータ機の試作」は、令和6年度の総務省「スタートアップ創出型萌芽的研究開発支援事業」の研究開発課題として採択されました。同社は、検出機の試作支援を受けています。

サプライチェーン保護を目指す

アーカイラスは、流通の現場で使える形を目指しています。2020年には、国の研究開発機関であるNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)が、病院などの医薬品保管庫にナノタグを印刷した商品を置き、実際の環境で信号を検出できるかを確かめる実証実験を、2月から約6か月の予定で実施すると発表しました。

会社概要|アーカイラスの事業内容・設立背景

京都大学の研究から設立

アーカイラスは、京都大学の福岡隆夫氏の研究成果をもとに、2022年4月18日に京都で設立されました。「ステルスナノビーコン」は、福岡氏が研究員だった当時の2019年に、開発を発表した技術です。福岡氏は、京都大学の工学研究科に所属し、金ナノ粒子の自己集合体を使うナノタグを開発しました。代表取締役は福岡隆夫で、本店は京都市下京区の京都高度技術研究所にあります。

支援事業と論文発表

福岡氏は、NEDOの「NEDO Entrepreneurs Program(NEP)」の支援を受けて、ナノタグを開発しました。2023年には、錠剤用のナノタグに関する論文が「Advanced Materials Interfaces」に掲載されました。約10ナノグラムのナノタグで、保管から8年を超えた錠剤を、1秒の照射で判定できたとしています。

学会発表と展示

福岡氏らは、2019年11月上旬の国際学会「OKINAWA Colloids 2019」で、ステルスナノビーコンを発表しました。京都大学の2020年1月の発表によると、東京国際展示場で1月29日から開かれる「nano tech 2020」の、NEDOのブースで展示される予定でした。同大学は、京大オリジナル株式会社と連携して、サプライチェーンのセキュリティ高度化を検証する社会実装実験を行う予定だとしていました。

会社情報

会社名アーカイラス株式会社(Archilys Corporation)
所在地京都府京都市下京区中堂寺南町134番地 京都高度技術研究所8F
設立2022年4月
代表福岡 隆夫
技術領域偽造防止ナノタグ(ステルスナノビーコン)
URLhttps://www.archilys.com/

編集後記|FrontJournal編集部より

偽造品対策では、本物かどうかを、誰がどこで判定できるかが問われます。目で見て確かめる手法は手軽な反面、仕組みが外から分かると模倣されやすくなります。目に見えない目印を、光の信号で判定する方法は、その弱点を補う考え方です。

アーカイラスの特徴は、京都大学での研究を、錠剤の製造工程やインクジェット印刷といった具体的な使い方へ広げている点です。研究チームは論文で、保管から8年たった錠剤でも判定できたことを示しています。検出機の試作課題にも採択されており、現場で使える形になるかが今後の焦点です。

FrontJournal編集部

出典:経済産業省 大学発ベンチャーデータベース2026

出典:「Gビズインフォ」(経済産業省)(2026年9月28日に利用)を加工して作成

本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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