食機能探索研究所BABILON「脂肪酸バランス検査」を開発

株式会社食機能探索研究所BABILON(バビロン)

食機能探索研究所BABILON「脂肪酸バランス検査」を開発

企業紹介|株式会社食機能探索研究所BABILON(バビロン)とは?

自宅で採った数滴の血液から、赤血球の脂肪酸の割合を調べる「脂肪酸バランス検査」。株式会社食機能探索研究所BABILONは、その普及を目指す、麻布大学発のディープテック企業です。同社は、自己採血キット「食生活 あぶらの通信簿」を提供しています。

キーワード「脂肪酸バランス検査」

「脂肪酸バランス検査」は、血液中の脂肪酸の割合を調べ、食事で摂る油の傾向を数値で確かめる検査です。同社は、赤血球の膜に含まれる脂肪酸を測り、直近の食事に影響されにくい過去2〜3カ月の傾向を調べます。麻布大学名誉教授の守口徹氏が、脂質の研究をもとに起業しました。

市場課題|食生活の油の偏りは把握しにくい

現状の油の把握の課題

魚介類の消費量は減少傾向

食用魚介類の1人1年当たりの消費量(純食料ベース、食べられる部分だけの量)は、2001年度の40.2kgをピークに減り、2023年度は21.4kg(概算値)とされています。2011年度には、魚介類の消費量が肉類を下回りました。魚介類は、オメガ3脂肪酸の摂取源の一つであるため、消費量の減少は油の摂り方の変化につながります。

油を摂る習慣が定着しない

必要な油を積極的に摂る習慣は一般に定着していないとされています。EPA・DHA(オメガ3脂肪酸の代表的な成分)を含むサプリメントの普及で、「あぶら」の重要性は知られるようになりました。ただ、摂取の効果は実感しにくいとされています。

他にも、魚食離れによる肉食中心への移行、オメガ6脂肪酸(加工食品やサラダ油に多い脂肪酸)の摂取、オメガ3脂肪酸とのバランスの崩れ、といった課題があるといわれています。

FrontJournalの解説
  • オメガ3脂肪酸魚介類やえごま油に多く含まれる脂肪酸のグループである。EPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)が代表的な成分である。

BABILONの強み|「脂肪酸バランス検査」を開発

食機能探索研究所BABILONが「脂肪酸バランス検査」を開発

自宅で採血して返送する

体内の脂肪酸バランスは、自分では把握しにくいものでした。

同社の「食生活 あぶらの通信簿」は、赤血球の膜に含まれる脂肪酸の組成を測る、自己採血の検査キットです。円形のろ紙に血液を数滴つけて乾かし、脱酸素剤とともに袋に入れて返送します。検体が届いてから約10営業日で、結果をまとめたレポートが、PDFでメールに届く流れです。採血後は1週間以内の返送が目安で、キットの使用期限は3カ月と案内されています。通院せずに、体内の脂肪酸バランスを自宅での採血で確かめることができます。

直近の食事に左右されにくい

血漿(血液の液体成分)の脂肪酸は、直近の食事の影響を受けやすいとされます。

同社の検査は、血漿ではなく赤血球の脂肪酸を測ります。赤血球の寿命は約120日とされ、その膜の脂肪酸には数カ月分の食事が反映されます。このため、直近の食事に影響されにくい過去2〜3カ月の脂肪酸バランスが分かる仕組みです。レポートには、オメガ3指数(EPAとDHAの合計の割合)、オメガ6/3比(オメガ6とオメガ3の比)、ARA(アラキドン酸)とEPAの比などが載り、守口氏による見方と解説の資料も添付されます。測定結果は、普段の食生活を見直す材料にできます。

FrontJournalの解説
  • オメガ3指数赤血球膜の脂肪酸全体に対する、EPAとDHAの合計の割合(%)である。検査レポートの項目の一つである。

脂肪酸バランス検査の未来|油を選ぶ習慣へ

乾燥血液の脂肪酸分析が変える未来

研究者が起業へ進んだ経緯

守口徹氏は、脂質の研究者から起業へ進んだ人物です。1997年に米国国立衛生研究所(NIH)で脂肪酸と脳機能の研究を始め、2008年に麻布大学に着任しました。2024年まで脂質の機能性を中心に研究した後、同大学を退職し、簡易的に赤血球内の脂肪酸バランスを測れる方法を確立して、起業しました。同社の事業の一つが、乾燥血液を使う脂肪酸分析です。

人と動物の健康へ広げる

同社は、検査技術を応用し、愛玩動物を含む哺乳動物の採血検体も対象にしています。このうちイヌ用のキットは、すでに案内されています。社名のBABILONは、Blood、Animal、Behavior、Investigation、Lipid nutrition、Omega fatty acid、Nursing(Nurturing)の頭文字を並べたものです。ほかの事業の柱は、脂質栄養の基礎研究の技術提供や、天然物素材の機能性評価です。

オイルリテラシーの向上を目指す

同社の目的は、国民のオイルリテラシー(油について知り、選ぶ力)を高めることです。検査で人や動物の体内の脂肪酸バランスを把握し、食事の油を見直すきっかけにするのが狙いです。検査結果は、その習慣を始める手がかりになります。同社は、油を意識して選ぶ習慣を広げることを目指します。

会社概要|BABILONの事業内容・設立背景

2024年に設立

株式会社食機能探索研究所BABILONは、2024年4月に設立された麻布大学発のスタートアップです。代表取締役は、麻布大学名誉教授の守口徹氏。守口氏は、2008年から2024年にかけて麻布大学で脂質の機能性を研究し、日本脂質栄養学会の理事も務めています。本社は神奈川県相模原市緑区の西橋本にあり、資本金は1000万円です。

事業内容

現在提供している事業は三つあります。簡易乾燥血液の脂肪酸分析、脂質栄養の基礎研究の技術提供と特殊技術の支援、天然物素材の機能性評価と機能性食品の開発支援です。検査キットの「食生活 あぶらの通信簿」には、ヒト用とイヌ用があります。ヒト用は個人が自己採血し、イヌ用は獣医師が採血して、レポートは検査を依頼した動物病院へ返送される仕組みです。ほかに、幹細胞の培養とその培養液からの検体抽出・試験供給を、同社は調整中としています。

監修と研究協力

レポートの監修は、群馬大学大学院医学系研究科の浜崎景教授(公衆衛生学分野)です。キットの開発は、守口氏が担います。同社は2025年11月に、ヒト用キットの利用者を対象にした研究協力の募集を告知しました。この研究協力は、麻布大学の倫理審査委員会(人を対象とする生命科学・医学系研究)で承認されています(No.168)。

会社情報

会社名株式会社食機能探索研究所BABILON
所在地神奈川県相模原市緑区西橋本5-4-21 SIC-1210号室
設立2024年4月
代表代表取締役 守口徹
資本金1000万円
事業簡易乾燥血液の脂肪酸分析。脂質栄養の基礎研究の技術提供。天然物素材の機能性評価。検査キット「食生活 あぶらの通信簿」(ヒト用・イヌ用)
URLhttps://babilon.jp/

編集後記|FrontJournal編集部より

血液中の脂肪酸という、普段は見えない食生活の結果を、自宅で数滴の血液から数値にする発想です。魚介類の消費量が減るなかで、油の摂り方を数値で振り返れる点が特徴といえます。レポートに見方の解説が付くため、測定値を食事の見直しに結びつけやすい点も特徴です。

とくに注目したのは、2024年に大学の研究者が起業し、過去2〜3カ月の傾向を測る検査を、自己採血のキットとして提供し、結果に見方の解説も付けている点です。動物への応用を含め、今後の展開を見守りたい取り組みといえます。

FrontJournal編集部

出典:経済産業省 大学発ベンチャーデータベース2026

出典:「Gビズインフォ」(経済産業省)(2026年9月28日に利用)を加工して作成

本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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