ケミカル・テクノロジー「防カビ光触媒コーティング」を開発

株式会社ケミカル・テクノロジー

ケミカル・テクノロジー「防カビ光触媒コーティング」を開発|研究領域=光触媒に銅と銀を加えた防カビ液/強み=刷毛やローラーで塗れる施工性/将来性=水まわりや海外で紹介が進む

企業紹介|株式会社ケミカル・テクノロジーとは?

浴室や外壁のカビを抑える材料として、同社が開発する「防カビ光触媒コーティング」。株式会社ケミカル・テクノロジーは、その普及を進める、ブルネイ大学発の素材系ディープテック(科学や技術の研究成果を事業の核にする分野)企業です。光触媒に金属の銅と銀を組み合わせたコーティング液を開発し、代理店を通じて販売しています。

キーワード「防カビ光触媒コーティング」

「防カビ光触媒コーティング」は、光触媒の膜に金属の銅や銀を加え、カビの発生を抑えるようにしたコーティング液を指します。光触媒そのものには防カビの機能がないとされ、同社は、これを補う成分として銅と銀の粉、Nafion(ナフィオン)を組み合わせています。浴室や外壁など、カビに悩む場所の対策を調べる読者に関わる技術です。

市場課題|浴室や外壁のカビは、従来の防カビ剤で抑えにくい

現状の防カビ対策の課題|光が弱い浴室はカビが生えやすい/有機系の薬剤は持続しにくい

光が弱い浴室はカビが生えやすい

浴室は、照明が弱く湿気もこもるため、カビが生えやすい場所とされています。閉じた空間で換気も限られるので、揮発する有機系の防カビ剤を使うと、そこにいる人も薬剤の成分にさらされます。そのため、効果と安全性を両立する防カビ対策が必要です。

有機系の薬剤は持続しにくい

風雨にさらされる屋外では、揮発性のある有機系の防カビ剤は長持ちしにくいといわれています。遮熱塗料の表面や、石材の手すり壁の天端(最上面)に出る黒い汚れは、カビが原因の場合があるとされます。そのため、屋外でも効果が続く防カビの方法が必要です。

他にも、光触媒そのものには防カビの機能がないこと、光触媒の反応には光に加えて水分も必要なこと、カビの色素が大量に堆積した面には事前の清掃が必要になること、といった課題があるといわれています。

FrontJournalの解説
  • 光触媒光が当たると表面で強い酸化の反応を起こし、有機物などを分解する材料を指す。酸化チタンが代表的で、防汚や消臭の用途に使われる。

株式会社ケミカル・テクノロジーの強み|「防カビ光触媒コーティング」を開発

ケミカル・テクノロジーが「防カビ光触媒コーティング」を開発|光触媒に銅と銀を組み合わせる/刷毛やローラーで塗れる施工性

光触媒に銅と銀を組み合わせる

光触媒そのものには、防カビの機能がないとされます。そのため、光触媒の膜だけでは、カビの発生を抑えにくいといわれています。

同社は、光触媒に、金属の銅と銀の粉、フッ素系のイオン交換樹脂であるNafionを組み合わせた防カビ液を開発しています。JIS(日本産業規格)R 1705:2008に準拠した抗かび試験で、抗かび活性が認められたといわれています。可視光に応答するタイプの光触媒を配合しているため、屋内でも反応が期待できる点が同社の製品の特徴です。成分は膜の外へ出ない設計のため、揮発する防カビ剤を使いにくい浴室や、人の出入りが多い施設でも、防カビ対策ができるようになります。

刷毛やローラーで塗れる施工性

水を主成分とする液は、撥水性の表面ではじかれ、均一な膜になりにくいといわれています。

同社の製品は、溶剤に水とエタノールを使い、水をはじきやすい撥水性の表面でも、はじかれにくい液にしています。4kgのボトルで、平滑な面なら約100㎡に塗布できる量が入っています。刷毛やローラーで塗布して乾かせば、作業は終わりです。製品は室内用と屋外用の2種類があり、光の届かない部位には暗所用も用意されています。施工の手間を抑えて、浴室の壁から屋外の外壁まで、場所に合わせた使い分けができるようになります。

FrontJournalの解説
  • Nafionスルホン酸基をもつフッ素系のイオン交換樹脂の商品名を指す。化学的に安定で、燃料電池の電解質膜などにも使われる。

防カビ光触媒コーティングの未来|水まわりと海外で紹介が進む

防カビ光触媒コーティングが変える未来|ブルネイの庁舎で施工/水まわりと海外で紹介/消臭ポーチなど用途の拡大

ブルネイの庁舎で施工

同社は、研究開発の大半をブルネイ大学で行っています。同社の公式サイトでは、ブルネイの政府系庁舎の一部に、コーティング液を施工した事例が紹介されています。対象は、石灰岩系の石材でできた手すり壁です。施工から1か月で、施工した面とそうでない面に差が出たといわれています。

水まわりと海外での紹介

2026年9月、タイのバンコクで開催された展示会で、同社の光触媒が、阪神高速と現地の高速道路メンテナンス会社の合弁企業であるASIAM社を通じて紹介されました。国内では、協業先のK-planning社が、温浴施設やプールサイドの床のヌメリによる転倒事故の防止を周知するフライヤーを更新しています。同社は、公的機関からレジオネラ菌の滅菌機能の証明書を得たとしています。

消臭など用途の拡大を目指す

同社は2026年8月に、アパレルメーカーの第一織物株式会社の協力を得て試作した、光触媒の消臭ポーチのモニター募集を始めました。ポーチは、窓ガラスに貼り付けて太陽光を使う製品です。光触媒の反応には光と水分が必要なため、光を効率よく得られる窓ガラスを想定しています。同社は、防カビに加えて、消臭などへの用途の拡大を目指します。

会社概要|ブルネイ大学発の防カビ光触媒コーティング企業ケミカル・テクノロジー

ブルネイ大学発のベンチャー

ケミカル・テクノロジーは、2017年7月に設立された、大阪府高石市のブルネイ大学発ベンチャーです。経済産業省の大学発ベンチャーデータベースでは、同大学との関係が技術移転ベンチャー(大学の研究成果を事業化する企業)に分類されています。代表の北村透氏は、大日本インキ化学工業(現DIC)でフッ素樹脂塗料の研究に従事し、1993年に独立した経歴の持ち主です。2015年にブルネイ大学の教授に就任し、2017年に新たに起業して現社名にしています。

協業先と用途を開発

事業は、材料の販売と技術の提供に特化しており、施工は対象外です。施工を希望する場合は、提携する施工業者を、依頼先として紹介しています。消臭ポーチは第一織物株式会社、温浴施設の床のヌメリ対策はK-planning社との取り組みです。代表の北村氏は、2019年から日本建築防黴協会の理事長も務めています。

投資家からの出資

出資元は、ベンチャーキャピタルのミライドア(旧社名フューチャーベンチャーキャピタル)です。公式サイトでは、3度の審査を経た出資と紹介されています。株主は、代表の北村氏とミライドアなどです。将来の株式上場に向けて取り組む方針も示しています。

会社情報

会社名株式会社ケミカル・テクノロジー
所在地大阪府高石市千代田5丁目20番16号
設立2017年7月
代表北村透
事業防カビ光触媒コーティング剤の開発・販売
技術領域光触媒、コーティング剤、コンクリート保護
連携第一織物、K-planningなどと用途を開発
URLhttps://www.chemical-tech.net

編集後記|FrontJournal編集部より

カビは、浴室や外壁など身近な場所に生えます。ケミカル・テクノロジーは、防カビの機能をもたない光触媒に、銅と銀を組み合わせることで、この課題に取り組んでいます。浴室から屋外まで使える防カビの手段として、今後の展開に注目したい技術です。

研究開発の大半を海外の大学で行う点も、同社の特徴です。ブルネイの庁舎での施工事例を、公式サイトで公開している点も注目されます。水まわりから海外の施設まで、実績がどう広がるかを今後も見ていきます。

FrontJournal編集部

出典:経済産業省 大学発ベンチャーデータベース2026

出典:「Gビズインフォ」(経済産業省)(2026年9月28日に利用)を加工して作成

本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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