千葉エコ・エネルギー|千葉大学発の「ソーラーシェアリング」を研究するエネルギー系ディープテック企業

千葉エコ・エネルギー株式会社

千葉エコ・エネルギー「ソーラーシェアリング」を研究|研究領域=農地の上で発電と農業を両立/強み=設計から運営まで一貫して支援/将来性=農地で発電し農業の脱炭素へ

企業紹介|千葉エコ・エネルギーとは?

農地の上で発電と農業を両立させる方法として、注目を集める「ソーラーシェアリング」。千葉エコ・エネルギーは、その社会実装を目指す、千葉大学発のエネルギー系ディープテック企業です。事業計画の策定から許可申請、設備の設計監修、運転開始後の運営までを一貫して支援し、自社でも発電設備と農場を運営しています。

キーワード「ソーラーシェアリング」

ソーラーシェアリングは、農地に支柱を立てて上部に太陽光パネルを並べ、下の農地で作物を育てながら発電する仕組みです。正式には営農型太陽光発電と呼ばれ、パネルの間に隙間を空けて作物に日光を届けます。設置には、農地を一定の期間だけ農業以外にも使うための許可が必要です。

市場課題|ソーラーシェアリングは営農と発電の両立が難しい

現状のソーラーシェアリングの課題|現状は、発電優先の設備や架台で農作業が滞りやすい/発電優先で営農が滞る例/架台が農作業の妨げに

発電優先で営農が滞る例

ソーラーシェアリングの設備の中には、発電に重きを置き、下の農地での営農がおろそかになる例があります。農林水産省は、こうした例が見られることを受け、2024年に許可の取り扱いを定めたガイドラインを制定しました。営農が続かなければ、農地を守りながら発電するという本来の狙いが損なわれます。

架台が農作業の妨げに

支柱や架台(パネルを支える骨組み)は、ソーラーシェアリングの下の農地で、農作業の妨げになりやすい設備です。農林水産省は、農業機械を効率よく使えるよう、パネルの最低地上高を2m以上とする基準を設けています。支柱の配置が農業機械に合わない設備では作業の手間が増え、広い農地や傾斜地へ導入を広げにくくなります。

他にも、一時転用許可を得るための煩雑な手続き、毎年求められる営農状況の報告、農業で使うエネルギーのほぼすべてを化石燃料が占める状況、といった課題があるといわれています。

FrontJournalの解説
  • 一時転用許可農地を一定の期間に限って農業以外の用途にも使うための、農地法に基づく許可である。ソーラーシェアリングでは、この許可を受けて農地に支柱を立て、下の農地で営農を続けることが条件になる。

千葉エコ・エネルギーの強み|「ソーラーシェアリング」を研究

千葉エコ・エネルギーが「ソーラーシェアリング」を研究|現在は、作物と農機に合う架台設計を提供/作物に合わせて設備を設計/1本足の支柱で大型農機に対応

作物に合わせて設備を設計

下の作物に届く日照量が足りなければ、ソーラーシェアリングの設備では営農を続けにくくなります。

同社は、栽培する作物の選定と営農計画の策定から、営農に適した架台設計の提案までを一体で支援しています。架台は、作物が必要とする日照量と、農業機械の作業に要る高さや幅をもとに設計します。自社で運営する千葉市緑区大木戸町の約1haの設備は、遮光率(パネルが日光を遮る割合)が48%で、日光の半分ほどが作物に届く設計です。作物に必要な日照量を保てるよう架台を設計し、同じ農地で収穫と発電の両立を図っています。

1本足の支柱で大型農機に対応

藤棚式(棚のように上を覆う型)など、架台全体が一体となる従来の構造は、支柱の配置を変える自由度が低く、大型の農業機械が使いにくいうえ、傾斜地にも設置しにくい点が課題です。

同社が株式会社クリーンエナジージャパンと共同で開発した架台は、支柱を1本足にして、設置の自由度を高めた構造です。支柱が1本のため農業機械の入れない空間が少なくなり、設備の下で大型農機やドローン、自動農機を使えるようになります。果樹園や牧草地のような傾斜地にも設置でき、一般的なアレイ式架台(パネルを列に並べる架台)に近い構造のため、資材や施工の費用を抑える効果も期待されています。大規模な農地でも、効率よく設置しやすい設備です。

FrontJournalの解説
  • 遮光率太陽光パネルが、下の農地に届くはずの日光をどれだけ遮るかを示す割合である。値が大きいほどパネルが覆う面積が増えて発電量は増えるが、作物に届く日光は減るため、育てる作物に合わせて決める必要がある。

未来|ソーラーシェアリングの電気で農業を動かす

農地のソーラーシェアリングが変える未来|ソーラーシェアリングの電気で農業を動かす/発電した電気で農機を動かす/東北の農地へ導入を広げる/農村のエネルギー自給を目指す

発電した電気で農機を動かす

同社は、発電した電気を農作業に使う「電化農業」を、自社の農場で実証しています。令和2年度(2020年度)には、農林水産省の「営農型太陽光発電システムフル活用事業」に採択され、蓄電池を併設した設備の電気で電動の農機具を動かす実証に取り組みました。実証では燃料費や労働時間、収穫量を従来の栽培と比べ、その結果を2021年に実施報告書として公表しました。実証栽培の作物には、ニンニクやショウガ、サツマイモなどが選ばれています。

東北の農地へ導入を広げる

東北地方でも、同社は導入拡大に関わっています。2024年9月に環境省の脱炭素先行地域に選ばれた岩手県陸前高田市の事業には、共同提案者として参画しています。この事業では、津波被害を受けた農地の再生を含め、合計8MW以上のソーラーシェアリング設備を導入する計画です。2025年8月には、東北電力株式会社、Cyrinx株式会社と、ソーラーシェアリング事業の業務提携契約を結びました。

農村のエネルギー自給を目指す

地域で使うエネルギーをその地域の自然エネルギーで賄う農村が、同社の目指す姿です。同社の馬上氏も協働実施者として加わる千葉大学の研究では、自動操縦の農機を含む電動農機をソーラーシェアリングの電気で動かす「脱炭素スマート農地」の確立を目指しています。日本の農業に投入されるエネルギーは、ほぼすべてが化石燃料といわれる状況です。農地で発電した電気で農作業ができれば、農業の脱炭素とエネルギー自給率の向上につながります。

会社概要|千葉エコ・エネルギー株式会社

千葉大学の講師と学生が創業

千葉エコ・エネルギーは、当時千葉大学の講師だった馬上丈司氏と、学生のメンバーを中心に2012年10月に設立された企業です。馬上氏は千葉大学大学院で日本初の博士(公共学)の学位を取得し、エネルギー政策や地域政策を専門としています。創業に加わった蘒𠩤領(はぎわら・りょう)氏は当時千葉大学工学部の学生で、2026年に代表取締役社長に就任しました。馬上氏は現在、取締役会長を務めています。同社は2014年から全国でソーラーシェアリングの事業化を支援し、その実績は累計500件以上です。

国の研究事業と表彰

同社は、国の研究事業や補助事業に採択されてきました。2021年には、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の先導研究プログラムに、農山漁村地域のエネルギー管理システムの開発で採択されています。2022年度には、JST(科学技術振興機構)の「Solve for SDGs」に採択された千葉大学との共同研究に、馬上氏が協働実施者として加わりました。2025年には、グループ会社の株式会社つなぐファームとともに、第13回プラチナ大賞の「大賞・個別テーマ賞」を受賞しています。

自社で発電所と農場を運営

同社は支援だけでなく、自ら設備と農場を運営しています。2016年3月に自社初の設備「匝瑳飯塚 Sola Share1号機」を千葉県匝瑳市で完成させ、2018年3月には千葉市で「千葉市大木戸アグリ・エナジー1号機」を完成させました。2018年2月には農業法人の株式会社つなぐファームを設立し、2025年10月末時点で両社あわせて約11.2ha(約112,000㎡)の農地を管理しています。

会社情報

会社名千葉エコ・エネルギー株式会社(Chiba Ecological Energy Inc.)
所在地千葉県千葉市稲毛区弥生町2-15 西千葉浪花ビル3F
設立2012年10月
代表蘒𠩤 領(代表取締役社長)。馬上 丈司(取締役会長)
資本金1,000万円
事業ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)の事業開発・営農計画の策定・一時転用許可の申請支援・運営支援。自然エネルギー発電事業の第三者事業性評価・事業開発。グループ会社の株式会社つなぐファームと連携した自社グループ農場での農業生産。研究・調査事業
技術領域ソーラーシェアリングの設備設計・架台開発、電化農業、自然エネルギーの地域活用
連携千葉大学(JST「Solve for SDGs」令和4年度(2022年度)採択の共同研究)。東北電力株式会社・Cyrinx株式会社(業務提携・2025年8月)。岩手県陸前高田市の脱炭素先行地域事業(共同提案者・同市は2024年9月選定)
採択農林水産省 営農型太陽光発電システムフル活用事業(令和2年度)。NEDO先導研究プログラム(2021年3月)。第13回プラチナ大賞 大賞・個別テーマ賞(2025年11月)
URLhttps://www.chiba-eco.co.jp/

編集後記|FrontJournal編集部より

太陽光発電と農業は、同じ土地の使い方をめぐって両立しにくい関係として語られることがあります。千葉エコ・エネルギーは、その2つを同じ農地の上下に重ね、どちらも続けられる形を現場で積み上げてきました。営農計画から設備の設計、運営までを一続きで考えてきた点に、この会社の特徴があります。

興味深いのは、支援する側でありながら、自ら設備を持ち、畑を耕している点です。作物の育ち方と発電設備の両方を知っているからこそ、発電した電気で農機を動かすという次の一歩にも踏み出せていると感じます。千葉大学からは、千葉大学発スタートアップ10選で紹介したように、分野の異なる企業が生まれています。

農地が電気の産地にもなる風景がどこまで広がるのか、引き続き注目していきたいと思います。

FrontJournal編集部

出典:経済産業省 大学発ベンチャーデータベース2026

出典:「Gビズインフォ」(経済産業省)(2026年9月28日に利用)を加工して作成

本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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