デジタルツインズ「デジタルツイン」を開発

株式会社デジタルツインズ

デジタルツインズ「自動車のデジタルツイン」を開発|研究領域=自動車の挙動を計算で再現/強み=国際標準の言語でモデルを記述/将来性=デジタル認証へ取り組む

企業紹介|デジタルツインズとは?

実車の挙動を計算で再現し、開発や試験を仮想空間で進める「自動車のデジタルツイン」。株式会社デジタルツインズは、その技術を開発する、モビリティ系ディープテック企業です。EV(電気自動車)とエンジン車の車両モデルを自社で開発し、自動車メーカーや部品メーカーの開発を支援しています。

キーワード「自動車のデジタルツイン」

自動車のデジタルツインとは、実車やエンジンの特性を、計算で動かせる仮想モデルとして再現する技術です。モデルに車両の仕様やバッテリーの特性を入れると、電費や動力性能を計算で見積もれます。同社は、この仮想モデルを使って設計や検証を進める、自動車を軸とした技術支援を事業としています。

市場課題|現物試験の限界と実機がない段階の性能見積もり

現状の現物試験の課題|現状は、認証試験の再現と実機なしの性能見積もりが難しい|現物の認証試験は再現が難しい/実機なしの性能見積もりが難しい

現物の認証試験は再現が難しい

現物を使う試験による認証には限界があると、同社は2026年の学会発表で指摘しています。再現性の面では同じ条件で試験を繰り返すことが難しく、条件の面では確かめるべき種類も多いためです。このままでは、条件を増やすほど現物の試験が重くなりかねません。

実機なしの性能見積もりが難しい

車両やエンジンの企画段階では、実機がまだなく、性能を確かめる材料が限られます。たとえばエンジンの振動は、実機があれば計測できますが、実機がない段階では車両の検討に使う数値を得にくい状態です。このままでは、振動や性能の検討が実機の完成まで後回しになりやすくなります。

他にも、自動車メーカーが手を付けにくい計測加工や評価、部品メーカーが自動車メーカー向けに行う製品開発、といった課題があるといわれています。

FrontJournalの解説
  • 再現性同じ条件で試験を繰り返したときに、同じ結果が得られる性質である。再現性が低いと、試験結果の比較や認証の根拠が成り立ちにくい。

デジタルツインズの強み|「自動車のデジタルツイン」を開発

デジタルツインズが「自動車のデジタルツイン」を開発|現在は、国際標準の記述でモデルを提供|国際標準の言語でモデルを記述/実機なしで制御や振動を検討

国際標準の言語でモデルを記述

自動車のモデルを計算機で動かすには、挙動を記述する言語が必要です。

同社の車両モデルは、国際電気標準会議(IEC)が定める国際標準のHDL(ハードウェア記述言語)「IEC 61691-6」を用いて作られています。EV(電気自動車)車両モデルでは、車両の諸元と、モーターやバッテリーの特性マップ(運転条件ごとの出力や効率をまとめた表)を差し替えるだけで、電費や動力性能の試算が簡単にできるとしています。エンジン車両のモデルも同様の仕組みで、燃費や動力性能の試算が可能です。このため、車両や部品の条件を変えた試算を、計算だけで繰り返せるようになります。

実機なしで制御や振動を検討

制御ソフトウェアの検証には、制御する対象が必要です。

エンジン簡易燃焼モデルは、エンジンの設計諸元から導出するモデルです。エンジンの仮想適合(制御の設定値を計算上で合わせ込む作業)と制御開発を、ある程度行えます。燃焼圧力を振動の発生源に使えば、車両企画時のプラットフォーム(車台などの基本構造)で、エンジンの振動の予測が可能です。車両モデルは、制御をC言語のコードやDLL(プログラムを部品として呼び出す仕組み)で直接実装でき、SILS(制御ソフトを模擬環境で検証する手法)にも使えます。

FrontJournalの解説
  • SILSSoftware In the Loop Simulationの略。制御ソフトウェアを、実機の代わりにパソコン上の模擬環境で動かして検証する手法である。

自動車のデジタルツインの未来|デジタル認証と環境技術への応用

仮想の車両モデルが変える未来|教育から認証へ、取り組みが広がる|海外大学の教育にEV車両モデル/計算上の試験でデジタル認証へ/開発の一部を仮想空間へ

EVモデルが海外大学で教育用に

公式サイトによると、EV車両モデルは、すでに海外の大学で教育用途に使われています。同社はこのモデルを販売しています。モデルは、車両の諸元(寸法や重量などの仕様)を変えて別の車両に仕上げることも可能です。解説コンテンツ「EV車両モデルをさわってみる」も公開されています。

デジタル認証への取り組みを発表

同社は、バーチャルテスト(実物でなく、計算で再現したモデルを使う試験)による認証「デジタル認証」への取り組みを、学会や国際会議で発表しています。2026年5月の自動車技術会 春季大会では、EV車両全体モデルを用いる取り組みを紹介しました。予稿集の抄録は、このモデルが車両性能の開発にも使えるとしています。2025年5月開催のEVTeC2025でも、バーチャルテストによるデジタル認証に向けたEV車両全体モデルを発表しています。

認証と開発の仮想化を目指す

自動車の開発や認証の一部を、仮想空間での計算に移すことが、同社の目指す方向です。2026年の予稿集の副題は「包括的CO2削減と新たなものづくりの仕組み」です。環境技術の支援としては、ソーラーパネルのモデルを事業内容に挙げています。

会社概要|デジタルツインズの事業内容・設立背景

半導体と自動車の経験者が設立

公式サイトによると、同社の設立者は大手半導体会社で5年、大手自動車会社で31年の研究開発を経験しています。設立は2019年10月で、所在地は静岡県裾野市です。代表取締役は辻公壽が務めます。経済産業省の大学発ベンチャーデータベースに掲載されており、自動車技術会の予稿集では同志社大学の研究者との共著で発表しています。

受託実績と学会発表

公式サイトの取引実績には、令和2年度の経済産業省「次世代自動車等の開発加速化に係るシミュレーション基盤構築事業」、理化学研究所の水素システムモデル開発、静岡県令和5年度新成長産業戦略的育成事業助成事業が挙がっています。令和2年度の事業では、EVモデルを同社が開発して提供しました。2024年10月には「技術を楽しむニッチ企業名鑑」に掲載され、自動車技術会のフォーラムや大会でも発表しています。

モデル開発と制御開発を提供

事業は、デジタルツイン化の支援(モデルベース開発支援)と、組み込み制御の支援です。モデルベース開発とは、計算で作ったモデルを使って設計や検証を進める手法です。計測加工やエンジン試作、車両改造は、連携する企業と進めます。実際の車両やエンジンがあれば、計測しながらモデルに反映することも可能としています。

会社情報

会社名株式会社デジタルツインズ
所在地静岡県裾野市千福が丘3丁目11番1
設立2019年10月
代表代表取締役 辻 公壽
事業デジタルツイン化支援事業(モデルベース開発支援)、組み込み制御支援
技術領域EV・エンジン車の車両モデル。国際標準のHDL(ハードウェア記述言語)規格IEC 61691-6を用いた記述
連携同志社大学(自動車技術会 2026年春季大会の予稿集で共著)
URLhttps://www.hp-digital-twins.com/

編集後記|FrontJournal編集部より

自動車の開発では、現物を使った試験の限界を、同社が指摘しています。そこで同社が目指すのは、その試験の一部を計算で補うことです。編集部は、設計や認証の進め方が変わる可能性のある分野と捉えています。

デジタルツインズの特徴は、国際標準の記述言語で組んだ車両モデルを自社で開発している点です。モデルの販売に加えて、実際の車両やエンジンの計測をモデルに反映することも可能としています。編集部は、この現物と仮想モデルの両方に対応する点を同社の特色と捉えています。

同社は学会発表を重ねながら、デジタル認証への取り組みを進めています。今後の発表が楽しみです。

FrontJournal編集部

出典:経済産業省 大学発ベンチャーデータベース2026

出典:「Gビズインフォ」(経済産業省)(2026年9月28日に利用)を加工して作成

本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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