GRIPS「ラボオートメーション」を開発

株式会社GRIPS(グリプス)

GRIPS「ラボオートメーション」を開発

企業紹介|株式会社GRIPSとは?

研究室の分注(試薬などの液体を一定量ずつ小分けにする作業)などを、ロボットで自動化する「ラボオートメーション」。株式会社GRIPSは、その分野に取り組む、ロボティクス系のディープテック企業です。同社は、Python(プログラミング言語)などのオープンソース(設計情報を公開し、誰でも使える技術)で、ロボットを動かす制御基盤の開発を進めています。

キーワード「ラボオートメーション」

「ラボオートメーション」は、研究室で人が行ってきた実験の作業を、機械やロボットに任せる取り組みです。分注や混合、重さの計測といった繰り返しの作業を、決めた手順どおりに実行させます。同社は、市販の産業用ロボットや実験装置をオープンソースのソフトで組み合わせ、この自動化を実現する技術を開発しています。

市場課題|研究室の自動化は高額な専用設備などが必要だった

現状の研究室自動化の課題

分注工程は高額になりがち

化学・バイオ・メディカルの研究室で行われる分注などの繰り返し作業は、自動化すると高額になりがちな工程です。これまでは、専用設備を用いる必要がありました。同社は、この分注工程の自動化に、オープンソースの技術で取り組んでいます。

個別に作り込むシステム構築

自動化の手段には、利用者ごとに作り込むシステムインテグレーション(個別の機器を組み合わせて一つの仕組みにすること)があります。これまでは、アプリケーションに特化したフルカスタムの構築が必要でした。この方法は、用途に特化した仕組みを作れる点が特徴です。

他にも、専用設備の費用、個別のシステム構築、といった課題があるといわれています。

FrontJournalの解説
  • システムインテグレーション個別の機器やソフトウェアを組み合わせ、利用者の目的に合う一つの仕組みとして構築する作業である。用途ごとに作り込む点が特徴である。

GRIPSの強み|「ラボオートメーション」を開発

GRIPSが「ラボオートメーション」を開発

ユーザー自身が拡張できる

オープンソースの制御なら、ユーザー自身がカスタマイズできます。

同社は、Pythonなどのオープンソース技術で、ロボットアームと分注装置を連動させる自動分注システムを開発しました。分注装置「OT-2」が96穴のマイクロタイタープレート(小さな穴が並ぶ試験用の板)で段階希釈(溶液を段階的に薄める作業)を行い、ロボットアームが蓋を載せ、電子天秤で重さを量るまでが一連の工程です。制御には、公開ソフトの「ROS2」(ロボット用ソフトの共通基盤)を使います。機能は、手順を書き換えて足せる仕組みです。

使い慣れた機器を生かす

同社は、研究室がすでに使っている機器を生かす構成を採っています。

同社の自動分注のデモでは、JAKA(協働ロボットのメーカー)の「MiniCobo」(人のそばで作業できる小型ロボット)と、8連ピペッタ(液体を8本同時に分注する器具)を組み合わせています。手先の道具(エンドエフェクタ)は、内蔵の小型モータがボタンを押して、液体の吐出とチップ(先端の使い捨て部品)の廃棄を行う仕組みです。制御は、Pythonのプログラムで統合しています。特定メーカーの専用設備に依存しない構成を目指しているため、研究室は機器の置き換えや追加にも対応できるようになります。

FrontJournalの解説
  • ROS2ロボットを動かすソフトウェアを作るための、公開された共通の基盤である。ロボットの種類が変わっても、同じ書き方で制御を記述しやすい。

ラボオートメーションの未来|実験フロー全体の自動化へ

GRIPSの自動化が変える未来

分注工程の自動化を実証

同社は、オープンソースによる分注工程の自動化を実証し、2024年4月に自動分注システムの開発と実証の完了を発表しました。実証では、96穴プレートの段階希釈から電子天秤での秤量までを、ロボットが一連の工程として実行しています。分注装置OT-2とロボットアームが連動するときの干渉は、シミュレーションツール「Gazebo」(動作を仮想空間で試す道具)による事前検証で、多くを回避できると確認されています。この自動分注システムの実証は、千葉県の補助金の採択事業です。

展示と制御基盤の開発

2026年7月には、ライトカフェ(東京都渋谷区)と共同で、LADEC2026に出展しました。会場では、「JAKA MiniCobo」と8連ピペッタによる自動分注の実演が中心でした。メーカーや機種の異なるロボットやラボ機器を共通の仕組みで制御する基盤「ROSSetter」の構想も紹介しています。ROSSetterは開発中です。同社は将来、これをRAG(外部の資料を検索して回答を作るAIの仕組み)とロボット制御をつなぐ基盤へ発展させる考えです。

実験フロー全体の自動化を目指す

同社が目指すのは、分注にとどまらず、実験フロー全体の自動化です。対象は、搬送、試料の投入と回収、キャップの扱い、識別、機器の操作、複数機器の連携、次の工程の選択、遠隔での実験です。食品、化学、医薬品、バイオの分野への展開も目指しています。実現すれば、研究者は繰り返しの作業から離れ、ほかの業務に時間を充てやすくなります。

会社概要|GRIPSの事業内容・沿革

2019年に設立

株式会社GRIPSは、2019年6月に設立された、千葉県流山市に本社を置くロボティクス企業です。代表取締役は森田康氏で、東京理科大学大学院を修了後、半導体メーカー、車載ソフトウェア関連会社、科学技術系ソフトウェア会社を経て、同社を設立しました。研究・開発の拠点は、柏市の柏の葉です。

事業内容

事業は、ロボットアームや自律移動ロボット(AMR)、シングルボードコンピュータ(小型の汎用コンピュータ)を使った工程自動化の支援と、STEM教育(科学・技術・工学・数学の教育)の人材育成です。同社は、ロボティクスとオープンソース技術を組み合わせる点を軸にしています。次世代のSTEM人材の育成にも、同じ技術を応用しています。

採択・連携

2024年4月に発表した自動分注システムの実証は、千葉県の「先進的デジタル技術活用実証プロジェクト補助金」の採択事業です。パートナーには、MTMシステムズのほか、Luominen Labと中鉢善樹氏が挙げられ、エンドエフェクタのバイオグリッパはGUTENBERGの柴田善広氏が提供しました。2026年には、ライトカフェとLADEC2026に共同出展しています。日本STEM教育学会、日本高専学会、ラボラトリーオートメーション協会、流山商工会議所、東葛テクノ会にも加盟しています。

会社情報

会社名株式会社GRIPS(グリプス)
所在地千葉県流山市後平井170番地(運102街区1)421(研究・開発拠点:千葉県柏市柏の葉5丁目4-6 612号室)
設立2019年6月
代表代表取締役 森田康
事業ロボットアーム等を使った工程自動化の支援/STEM人材育成
技術領域オープンソースによる自動分注・ロボット制御基盤(ラボオートメーション)
連携ライトカフェ、MTMシステムズ、Luominen Lab
URLhttps://grips.co.jp/

編集後記|FrontJournal編集部より

実験の作業を自動化する取り組みは、専用装置が中心でした。同社は、公開された技術で研究室がすでに使う機器とロボットを組み合わせ、利用者自身が機能を広げられる点を軸にしています。既存機器を生かす方向からの取り組みといえます。

とくに注目したのは、2024年に分注工程の実証を終え、2026年には別の機器の組み合わせへ展示を広げた点です。一方で、実験フロー全体の自動化とROSSetterは開発や構想の段階を含み、実用化はこれからです。今後の展開を見守りたい取り組みといえます。

FrontJournal編集部

出典:経済産業省 大学発ベンチャーデータベース2026

出典:「Gビズインフォ」(経済産業省)(2026年9月28日に利用)を加工して作成

本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

この企業の方へ

内容に誤り・更新が必要な点があれば、可能な限り速やかに修正します。お気づきの点はお問い合わせまでご連絡ください。

掲載情報の修正・写真の追加・更新はこちら

この企業について、
もっと深く知りたい方へ

パートナーシップ・お問い合わせはこちらから。