はままつメディカルソリューションズ「立体外視鏡」を開発|スタンド型の手術顕微鏡と光源装置のイラスト

株式会社はままつメディカルソリューションズ

はままつメディカルソリューションズ「立体外視鏡」を開発|研究領域=手術の映像を・立体で見る装置/強み=特殊メガネなしの・立体外視鏡/将来性=医療現場への・普及を目指す

企業紹介|株式会社はままつメディカルソリューションズとは?

手術の映像を立体で見る装置として、脳神経外科(脳や神経の手術の分野)などで使われる「立体外視鏡」。株式会社はままつメディカルソリューションズは、その社会実装を目指す、浜松医科大学発の医療機器系ディープテック企業です。手術顕微鏡「HM-1000MS」の受注を2022年に開始し、医療用鉗子「H型耳垢鉗子」も展開しています。

キーワード「立体外視鏡」

「立体外視鏡」は、カメラの映像をモニターに映し、立体で見ながら手術を行う道具です。従来の手術顕微鏡は、接眼レンズをのぞいて観察します。同社は、「手術顕微鏡(立体外視鏡)」として展示・発表しており、受注を開始した手術顕微鏡が「HM-1000MS」です。

市場課題|外視鏡の立体視に特殊なメガネが必要で、見る人ごとに準備が要る

現状の手術の映像の課題|現状は、立体視には見る人ごとに準備が必要|立体視には・特殊メガネが必要/見る人ごとに・メガネを準備

立体視に特殊メガネが必要

外視鏡で術野を立体的に見る方式には、3Dメガネをかけて大型モニターを見るものがあります。聖隷浜松病院の紹介では、この方式の手術は3Dメガネを使用して行うとされています。そのため、立体映像を見る人には、特殊なメガネの着用が前提です。

見る人ごとにメガネの準備が要る

手術室で立体映像を見る人が複数いれば、それぞれにメガネが必要です。メガネの着用が前提になるため、見る人ごとの準備が欠かせません。人数が増えるほど、用意するメガネの数も増えます。

他にも、3Dメガネを長時間かけることのストレス、画像から感じる奥行きと実際の患部の奥行きのずれ、といった課題があるといわれています。

FrontJournalの解説
  • 術野手術で医師が観察し、処置を行う体の部位とその周辺を指す。顕微鏡や外視鏡は、この術野を拡大して見るために使われる。

はままつメディカルソリューションズの強み|「立体外視鏡」を開発

はままつメディカルソリューションズが「立体外視鏡」を開発|現在は、特殊メガネなしの立体外視鏡を提供|特殊メガネなしの・立体視の方式/スタンドタイプで・ビューワーで観察

特殊メガネなしの立体視

立体視には左右の目へ別々の映像を届ける仕組みが要り、メガネ方式ではその役割をメガネが担います。

同社は、「2光路1カメラ式、平行法」と呼ぶ技術を用いた手術顕微鏡「HM-1000MS」を開発しました。同社の製品情報では、主に脳神経外科領域で使用する手術用顕微鏡とされています。本装置は、光源により患部などを照明し、液晶モニター付きのビューワー(映像を表示するモニター部分)により拡大観察するための装置です。同社は、この技術により、特殊なメガネ等を装着せず、実際の奥行き・距離を感じ取ることができるようになったとしています。

ビューワーとスタンドで観察

従来の手術顕微鏡は、術者が接眼レンズをのぞいて観察する構造です。「HM-1000MS」は、添付文書で、接眼レンズ系をカメラに置き換え、モニターを内蔵したビューワーをのぞいて観察するとされています。

「HM-1000MS」は、同社の製品情報で「天井または壁面等に固定しない顕微鏡装置」とされ、スタンドタイプを有しています。スイングアーム(支点を中心に振って位置を調整する腕)によって、顕微鏡を任意の位置に固定できます。同社の製品情報では、光源装置からの光は、ファイバーライトガイドケーブル(光を伝える光ファイバーのケーブル)を通して顕微鏡に送り、観察する部位を照明する構成です。観察は、液晶モニター付きのビューワーで行います。

FrontJournalの解説
  • スイングアーム支点を中心に振ることで、先端に取り付けた機器の位置を調整する腕状の部品を指す。固定した位置で保持する仕組みと組み合わせて使われる。

立体外視鏡の未来|脳神経外科の手術室から、国内外の医療現場へ

手術用の立体外視鏡が変える未来|受注開始から、国内外への普及を目指す|手術顕微鏡の・受注を開始/鉗子は受注開始・立体内視鏡は未承認品/医療機器産業の・核を目指す

HM-1000MSの受注を開始

2022年10月20日に、手術顕微鏡「HM-1000MS」の受注を開始しました。2021年10月の日本脳神経外科学会 第80回学術総会の併設展示会では、「手術顕微鏡(立体外視鏡)」を展示し、ハンズオンデモ(来場者が実機に触れる体験展示)で意見を得ています。2022年1月13日には、浜松医科大学とともに立体外視鏡システムを発表し、中日新聞と静岡新聞に掲載されました。

鉗子の受注と立体内視鏡の展示

外視鏡は体の外から、内視鏡は体内から観察する装置です。2025年2月13日に受注を開始した医療用鉗子「H型耳垢鉗子」(極小)は、浜松医科大学と有限会社岩倉溶接工業所との共同開発製品です。同年6月25日から27日のJapan Health2025(国際見本市)では、「立体内視鏡(薬事未承認品)」と鉗子を展示しました。立体内視鏡は、浜松医科大学と共同開発した硬性鏡装置(体内に挿入する細い棒状の観察装置)で、米国と日本で特許を取得しています。

医療機器産業の核を目指す

同社は、浜松地域に医療機器関連産業のクラスター(産業の集積)を形成する核となることを目指しています。申請部門としては、浜松医科大学や医工連携拠点(医療と工学の連携で医療機器開発を進める拠点)で開発された医療機器の、届出・承認・認証の申請(医療機器を市場に出すための国への手続き)を担います。経営理念は、浜松地域発の医療機器を国内外の医療現場へ普及させる社会貢献です。社是は「All for the patient」です。

会社概要|浜松医科大学発ベンチャーとして2019年に設立された医療機器企業

浜松医科大学発で設立

株式会社はままつメディカルソリューションズ(HaMS)は、2019年12月9日に設立されました。「浜松医科大学発ベンチャー」の称号を取得し、同大学が持つ知的財産と浜松地域の企業の技術を合わせた医療機器の開発を掲げています。代表取締役は折本正樹氏、取締役でチーフメディカルオフィサーは浜松医科大学名誉教授の山本清二氏です。

許可の取得と採択・受賞

同社は2021年6月7日に第一種医療機器製造販売業(医療機器を市場に送り出す事業者に必要な許可)を取得し、2026年5月14日に更新を完了しました。更新後の許可の有効期間は、2031年6月29日までです。許可番号は22B1X10006です。

2020年12月には、令和2年度の浜松市ファンドサポート事業(浜松市の交付金による支援事業)の採択事業者として公表されました。2021年7月24日の第4回静岡テックプラングランプリ(大学の研究者やベンチャー企業を発掘・育成する創業応援プログラム)では、浜松いわた信用金庫賞に選ばれました。テーマは「低侵襲(体への負担が小さい)微細手術が行える新型立体内視鏡・外視鏡の開発」でした。

特許の取得と学会での展示

同社と浜松医科大学は、共同開発した硬性鏡装置について、米国特許(US 12,329,359 B2)を2025年6月17日に、日本の特許(第7714171号)を同年7月18日に取得しました。発明者は山本清二氏と折本正樹氏です。日本脳神経外科学会の学術総会に併設する企業展示には、2023年の第82回から2025年の第84回まで、毎年出展しています。

会社情報

会社名株式会社はままつメディカルソリューションズ(Hamamatsu Medical Solutions)
所在地静岡県浜松市中央区半田山1-20-1 浜松医科大学 医工連携拠点棟501
設立2019年12月9日
代表代表取締役 折本正樹。取締役・チーフメディカルオフィサー 山本清二(浜松医科大学名誉教授)
資本金3,025万円
事業医療機器の設計・開発(ソフトウェアを含む)・研究・試験・検査・製造販売・修理、輸出入、届出・認証・承認の申請、市場調査、コンサルティング。製品は手術顕微鏡「HM-1000MS」(2022年10月に受注開始)と医療用鉗子「H型耳垢鉗子」(2025年2月に受注開始)。第一種医療機器製造販売業の許可番号は22B1X10006
技術領域「2光路1カメラ式、平行法」の立体外視鏡
連携浜松医科大学(硬性鏡装置の特許を共同取得)。有限会社岩倉溶接工業所(「H型耳垢鉗子」を共同開発)
採択浜松市ファンドサポート事業(令和2年度・2020年12月に公表)。第4回静岡テックプラングランプリ 浜松いわた信用金庫賞(2021年7月)
URLhttps://www.hmsol.co.jp/

編集後記|FrontJournal編集部より

手術の映像を立体で見る装置は、現場での使い勝手が問われる分野です。浜松医科大学発のベンチャーが、その分野で手術顕微鏡の受注を始めています。大学の知見が地域の医療機器づくりにつながるかどうか、今後の展開を見守りたいと思います。

同じく医療の現場で立体表示を扱う企業に、Holoeyes株式会社があります。同社は、CT・MRI画像を3D化し、VR/MR機器で立体表示する医用画像処理ソフトウェア「Holoeyes MD」を開発しています。はままつメディカルソリューションズは手術中の術野を立体で映す装置を開発しており、立体表示の対象と使う場面が異なる2社です。

浜松医科大学の知見と、浜松の地域企業の技術が合わさって生まれた医療機器が、各地の医療現場に届く日。浜松発の医療機器が国内外へ広がっていく未来を、楽しみに待ちたいと思います。

FrontJournal編集部

出典:経済産業省 大学発ベンチャーデータベース2026

本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。医療機器の効能・効果・安全性を示すものではありません。薬機法上の承認等の状況は、公式サイトに記載のある範囲のみ記載しています。

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