花酵母factory「花酵母」を開発

株式会社花酵母factory(ハナコウボファクトリー)

花酵母factory「花酵母」を開発|研究領域=花から分離した・天然酵母/強み=米粉パンが・柔らかく仕上がる/将来性=地域の花から・発酵食品へ

企業紹介|株式会社花酵母factoryとは?

株式会社花酵母factoryが扱う、花から酵母菌だけを分離した天然酵母「花酵母」。同社は、その採取から製品化までを支える、名城大学発の食品向け企業です。パンや菓子、酒類などの食品事業者向けに、花酵母の採取と、それを使った商品づくりの支援を手がけています。

キーワード「花酵母」

「花酵母」は、花から採取した天然酵母のうち、食経験のある酵母菌だけを分離したものです。花の種類ごとに性質が異なり、パンや菓子の味わい、香り、食感が変わります。ドライイーストのような独特のイースト臭が出ないため、他の食材の香りが生きると、同社は説明しています。

市場課題|米粉パンと酵母に残る、膨らみと風味の壁

現状のパン作りの課題|現状は、米粉パンが膨らみにくく酵母にも課題|米粉パンは・膨らみにくく硬い/イースト臭と・発酵の不安定

米粉パンは膨らみにくく硬い

グルテンフリーの米粉パンは、膨らみにくく、硬くなりやすいパンです。グルテンは小麦などに含まれるたんぱく質で、グルテンフリーの米粉パンはこれを使いません。そのため、米粉パンでは柔らかさの確保が課題になります。

イースト臭と発酵の不安定

パン作りで広く使われるドライイーストには、独特のイースト臭が出る場合があります。一方、自家製酵母は、フルーツや花を糖液に漬け込んで起こす手作りの酵母です。酵母菌のみを分離した花酵母は、自家製酵母と異なり発酵が安定するといわれています。

他にも、冷凍後の食感の維持、賞味期限の延長、素材の香りの生かし方、といった課題があるといわれています。

FrontJournalの解説
  • グルテンフリー小麦などに含まれるたんぱく質のグルテンを使わない食品の考え方である。小麦を避けたい人向けに、米粉などを原料にする。

花酵母factoryの強み|「花酵母」を開発

花酵母factoryが「花酵母」を開発|現在は、花から分離した酵母菌を提供|花酵母で・米粉パンが柔らかく/酵母菌だけを・分離し安定発酵

花酵母で米粉パンが柔らかく

米粉パンは、生地が膨らみにくく、柔らかさを保つのが難しい傾向があります。

同社は、花から分離した酵母菌を、パンや菓子などの事業者に提供しています。花酵母で焼いたパンは、ドライイーストのパンと比べて、しっとり柔らかい仕上がりです。長期間ふわふわ・もちもちの食感が続き、冷凍しても食感が保たれます。これらの特徴は、愛知県食品工業技術センターの試験結果に基づく、同社が公表している内容です。賞味期限の延長も可能で、オンライン販売にも向くため、作り手は焼きたての食感を、時間がたった後や冷凍後も届けられるようになります。

酵母菌だけを分離し安定発酵

自家製酵母は、フルーツや花を糖液に漬け込んで起こす手作りの酵母です。

同社が扱う花酵母は、自然界の花から、食経験のある(食品として使われてきた実績のある)酵母菌だけを分離したものです。酵母菌のみを分離した花酵母は、発酵が安定し、独特のイースト臭も出ません。酵母菌の種類は、Saccharomyces cerevisiaeなどです。花の種類によって味わいも変わり、カーネーションの酵母ははちみつのような味わい、桜の酵母はすっきりとした甘みと説明されています。作り手は、素材の香りを生かした商品を、安定した発酵で焼くことができます。

FrontJournalの解説
  • 自家製酵母果実や花を糖液に漬け込み、発酵を起こして作る手作りの酵母である。同社は、酵母菌だけを分離した花酵母と区別している。

花酵母の未来|地域の花から生まれる発酵食品へ

地域の花酵母が変える未来|花の採取から発酵食品づくりを広げる|菊酵母ベーグルが・返礼品に/採取の依頼を・受け付ける/発酵食品の開発を・目指す

菊酵母ベーグルが返礼品に

高浜市の市花である菊から採った酵母を使うベーグルが、2026年10月1日から、同市のふるさと納税の返礼品に加わりました。高浜市のES cafe(エスカフェ)が、同社の培養した菊の花酵母と古代小麦のスペルト小麦を使い、「菊酵母ベーグル」を開発しています。酵母特有のイースト臭がなく、素材の香りとしっとり感、ほどよい甘みが特徴です。

採取の依頼を受け付ける

同社は、花の種類や採取場所を指定した花酵母の採取依頼について、相談を受け付けています。花の種類や採取場所によって、性質の異なる花酵母が得られると、同社は説明しています。採取した酵母は、店独自のブランドや町おこしの名産品づくりへの活用が可能です。花酵母パンは、同社の公式サイトで静岡県と愛知県の3店が紹介されており、仕入れの相談にも応じています。

発酵食品の開発を目指す

同社は、パンや洋菓子に加えて、酒類や味噌、醤油などの発酵食品の開発にも取り組んでいます。高浜市の菊のように、その土地の花から採った酵母は、地域の商品づくりに生かせます。花の種類や採取地域によって、酵母の個性が異なるのが特徴です。同社は、パンに限らない発酵食品での活用を目指しています。

会社概要|花酵母factoryの事業内容・設立背景

名城大学の研究室から設立

同社は、名城大学の研究室の協力を得て花酵母を扱う、名城大学発の企業です。名城大学の加藤雅士教授と志水元亨准教授の研究グループが「花酵母パンの素」を開発し、研究室の卒業生である金子優平が、設立の中心を担いました。金子は代表を務め、加藤教授は技術顧問です。拠点は愛知県碧南市にあります。2018年6月の名城大学農学部のフォーラムで、高浜市の前市長が市独自の商品開発を希望し、加藤教授が菊の花から酵母を分離する案を示したことが、菊の花酵母の始まりです。

採択とコンテストの受賞

2023年度に、東海地区の大学コンソーシアム「Tongali」の「GAPファンドプログラム『ステップ1』」に、「花酵母パンの素」の事業開発が採択されました。2024年12月には、花酵母を使った米粉パン「花酵母のカンパーニュ」(碧南市のBakeshop SolSolが製造)が、「第2回おいしい米粉パンコンテストinやまがた」で全国111点の中からグランプリを受賞しています。グルテンフリー賞とマイ米粉パン賞も同時に受賞しました。

事業内容と提供先

事業は、花酵母の採取と、パンや菓子などの製品開発の支援です。名城大学農学部応用微生物学研究室の協力を得て、食経験のある酵母菌だけを自然界から分離し、酵母として届けています。花から酵母を分離して提供し、店ごと、地域ごとの商品づくりを支えます。花酵母パンが楽しめるお店として公式サイトに掲載されているのは、静岡県掛川市の「パンの郷」、碧南市の「Bakeshop SolSol」、半田市の「つくし堂」の3店です。

会社情報

会社名株式会社花酵母factory(flower yeast factory Inc.)
所在地愛知県碧南市
代表金子 優平
事業花酵母の採取、パンや菓子などの製品開発の支援
技術領域花酵母(花から分離した天然酵母)
連携名城大学農学部応用微生物学研究室の協力を得て花酵母を分離
URLhttps://www.fy-factory.jp/

編集後記|FrontJournal編集部より

パンの香りや食感は、小麦粉や水だけでなく、発酵を担う酵母にも左右されます。花酵母は、その酵母を花ごとに選べるようにした素材です。選べる幅が広がるほど、作り手の表現も広がります。

花酵母factoryの特徴は、花の種類ごとに違う酵母を、食品に使える形で分離して届ける点です。花も採取場所も無数にあるため、組み合わせの数だけ、新しい風味の候補が生まれます。素材の違いが、そのまま商品の個性になります。

菊酵母ベーグルのように、地域の花が地域の食品になる例が増えれば、どの町にもその土地の味が生まれます。身近な花から新しい味が育つ日を期待します。

FrontJournal編集部

出典:経済産業省 大学発ベンチャーデータベース2026

出典:「Gビズインフォ」(経済産業省)(2026年9月28日に利用)を加工して作成

本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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