CollaWind「魚うろこコラーゲン」を研究|ティラピアとうろこからコラーゲンのシートを作るイラスト

株式会社CollaWind(コラワインド)

CollaWind「魚うろこコラーゲン」を研究|研究領域=魚のうろこの・コラーゲン/強み=歯ぐき内側の・波状構造をまねる/将来性=口の傷を治す・移植材を目指す

企業紹介|株式会社CollaWindとは?

口の中の傷を、体の別の場所から組織を採らずに治す移植材の材料として研究が進む「魚うろこコラーゲン」。株式会社CollaWindは、その社会実装を目指す、新潟大学発のバイオ系ディープテック企業です。歯ぐきの内側の凹凸をまねた表面を持つシート「CollaWind Sheet」を開発し、研究用の細胞培養用シートとして販売しています。

キーワード「魚うろこコラーゲン」

「魚うろこコラーゲン」は、魚のうろこから取り出したコラーゲン(皮膚や骨を構成するタンパク質の一種)です。ウシやブタなど哺乳類のコラーゲンに比べて感染症のリスクが少ない素材として、移植材の研究に使われています。同社は、ティラピアのうろこから得たこのコラーゲンを膜状に加工し、移植材や培養の基材に用いています。

市場課題|口腔組織再建で、患者に新たな傷と負担が生じる

現状の口の傷の治療の課題|現状は、自分の組織を採る移植で別の傷ができ負担が大きい|組織の採取で・新たな傷が生じる/ウシやブタ由来の・材料に感染懸念

組織の採取で新たな傷が生じる

口腔がんの切除後の再建、インプラント手術の前処置、歯周病の外科治療では、患者自身の健康な組織を採って移植する自家組織移植が主流です。組織を採った部分には新たな傷ができるため、患者は治療のためにもう一つ傷を負うことになります。採取と移植の2か所に傷を抱えるため、患者の負担は大きくなります。

ウシやブタ由来の材料に感染懸念

組織を採らずに済む市販の人工移植材は、主にウシやブタから抽出したコラーゲンで作られています。哺乳類に由来する材料では、牛海綿状脳症(BSE)に代表されるような、動物からヒトへうつる感染症のリスクがゼロではありません。動物由来のコラーゲンには、安全性の面で課題が残ります。

他にも、医薬品や化粧品の評価で続く動物実験への依存、ヒトの組織に近い培養モデルの不足、通常は廃棄される魚のうろこの有効活用、といった課題があるといわれています。

FrontJournalの解説
  • 自家組織移植患者自身の体の健康な部分から組織を採り、治療が必要な部分へ移す治療法である。拒絶反応が起きにくい一方、組織を採った部分にも新たな傷ができる。

CollaWindの強み|「魚うろこコラーゲン」を研究

CollaWindが「魚うろこコラーゲン」を研究|現在は、波状の膜で細胞培養用シートを提供|波状の境目で・歯ぐきを再現/魚うろこで・安全かつ安価に

波状の境目で歯ぐきを再現

現在市販されている生体移植材料のほとんどは表面が平らで、移植後に上皮組織を育てる足場には向いていません。

ヒトの歯ぐきや皮膚は、上皮(表面を覆う細胞の層)と内側の結合組織(上皮を下で支える組織)の2層でできており、その境目は波状の凹凸です。CollaWindは、生体模倣(生物の構造をまねる考え方)に基づき、この凹凸を膜の上で再現しています。レーザ加工でミクロン単位に整えたステンレスの金型の凹凸を、膜の表面へ転写する方法です。この面に歯ぐきの細胞を播種(まいて付着させること)して培養すると、歯ぐきによく似た組織ができます。実用化されれば、健康な組織を採らずに傷を覆え、患者の負担が軽くなります。

魚うろこで安全かつ安価に

ウシやブタのコラーゲンから作る従来の移植材は、脆く柔軟性に乏しいため、複雑な形をした口の中では扱いにくい材料でした。

同社は、ティラピアのうろこから取り出したコラーゲンを材料に使い、口の中でも縫合しやすい膜状のシートに加工しています。魚のコラーゲンは、哺乳類由来の感染症のリスクが少なく、化粧品や機能性食品にも使われている素材です。原料には通常は廃棄されるうろこを使うため、材料を安価に確保でき、資源の有効活用にもつながります。実用化されれば、医療現場は感染症のリスクが少ない移植材を、周囲の組織と縫い合わせやすい形で安価に使えるようになります。

FrontJournalの解説
  • 生体模倣生物が進化の中で獲得してきた構造や機能をまね、ものづくりに生かす技術の考え方である。面ファスナーがオナモミの実から着想された例が知られる。

魚うろこコラーゲンの未来|研究用の培養シートから口の傷の治療へ

治療と研究の魚うろこコラーゲンが変える未来|培養シートから口の傷の治療へ広がる|細胞培養用の・シートを販売/動物実験に代わる・薬の試験へ/口の傷の治療への・実用化を目指す

細胞培養用シートを販売

同社は2025年から、「CollaWind Sheet」を研究用の細胞培養用シートとして販売しています。シートの凹凸面にヒトの上皮細胞を播種すると、3次元培養(細胞を立体的に育てる方法)によって、歯ぐきや皮膚に近い、2層性の上皮に似た組織ができます。標準の仕様は、24ウェルの培養プレートに合う直径約16mmで、厚さは1mmです。再生医療や薬剤評価、皮膚の老化研究で、ヒトの組織に近い試料を用意しやすくなると期待されます。

動物実験に代わる薬の試験へ

CollaWindは、このシートで作る組織を、動物実験に代わる評価の材料として広げようとしています。体の外でヒトの組織に近い構造を再現できるため、想定する用途は医薬品の効果の検証や毒性試験などの薬の試験です。化粧品の安全性試験では、動物実験に代わってヒトの細胞を培養して作るモデルが用いられており、こうした用途への応用も期待されています。研究者や企業にとっては、動物に頼らずに成分を評価する新たな選択肢です。

口の傷の治療への実用化を目指す

口の中の傷を治す移植材としての実用化が、同社の目標です。ヒトへの臨床応用には越えるべき壁がいくつもあり、それらを一つずつ乗り越えていく段階です。凹凸の形と大きさを組織ごとに最適化すれば、皮膚など口の外の傷を治す移植材にも応用できる可能性があります。実現すれば、口腔がんや歯周病の患者が健康な組織を採らずに治療を受けられるようになり、傷の治りを待つ負担も軽くなることが期待されます。

会社概要|新潟大学の口腔再生研究から生まれたCollaWind

新潟大学の教授が設立

株式会社CollaWindは、2023年6月に設立された新潟大学発のベンチャー企業です。代表取締役の泉健次氏は、新潟大学大学院医歯学総合研究科の教授として、口腔粘膜の再生に関する研究を続けてきました。同社は研究成果を社会に還元するために設立され、同年9月には「新潟大学発ベンチャー称号認定制度」の第8号に認定されました。本社は新潟市西区に置いています。

歯工連携で技術を確立

同社の技術は、歯学と工学の研究者が組む「歯工連携」から生まれました。2020年には、泉氏らの研究グループが早稲田大学の水野潤研究院教授(当時)や多木化学株式会社と連携し、魚コラーゲンの移植材に波状の構造を付ける技術を確立したと発表しています。水野氏は現在、同社の取締役(CTO)を務めています。2023年には「メドテックグランプリKOBE2023」で企業賞を受け、2026年には「第11回日本アントレプレナー大賞」のサイエンス部門でファイナリスト8社に選ばれました。

国内外の展示会へ出展

同社は国内外の展示会で、研究者や企業との接点を広げています。2025年には医療分野の国際展示会「MEDICA 2025」のジャパン・パビリオンに出展し、化粧品開発の展示会「COSME WEEK」にも東京と大阪で出展しました。2026年10月には、バイオテクノロジーの展示会「BioJapan2026」への出展を予定しています。

会社情報

会社名株式会社CollaWind(コラワインド)
所在地新潟県新潟市西区五十嵐二の町8050
設立2023年6月27日
代表代表取締役 泉健次(新潟大学大学院医歯学総合研究科 教授)
資本金300万円(公式サイト掲載)
事業コラーゲンを活用したバイオマテリアル製品の研究・開発及び関連商品の製造・販売。製造時に必要な金型の開発。魚うろこ由来のコラーゲンシート「CollaWind Sheet」(研究用の標準仕様:24ウェルプレート向け・直径約16mm・厚さ1mm・コラーゲン濃度1%、2025年販売開始の発表時点)
技術領域魚うろこコラーゲン(ティラピア由来)。生体模倣のマイクロパターン(歯ぐき・皮膚の内側の波状構造)を付けた生体移植材料・3次元培養の基材
連携新潟大学(新潟大学発ベンチャー称号認定 第8号・2023年9月)。多木化学株式会社・株式会社小松精機工作所(関連会社)
採択メドテックグランプリKOBE2023 企業賞(2023年)。第11回日本アントレプレナー大賞 サイエンス部門ファイナリスト(2026年)
URLhttps://www.collawind.com/home

編集後記|FrontJournal編集部より

歯ぐきの内側にある小さな波の形を、魚のうろこから作った膜に写し取る。CollaWindの技術は、ヒトの体がもともと持つ形をそのまま手本にする発想から生まれています。歯学の研究者と、工学の微細加工の研究者が組んだことで、この形を材料の上で再現できた点に面白さを感じました。同じシートが、ある場面では傷を覆う移植材を目指し、別の場面では動物実験に代わる評価の土台になります。一つの材料から、治療と研究の両方へ用途を広げている点に、この会社らしさがあると思います。

捨てられていた魚のうろこが、口の傷に悩む患者を支える材料になる日を楽しみに待ちたいと思います。新潟大学から生まれたほかの企業は、新潟大学発スタートアップ10選で紹介しています。

FrontJournal編集部

出典:経済産業省 大学発ベンチャーデータベース2026

出典:「Gビズインフォ」(経済産業省)(2026年9月28日に利用)を加工して作成

本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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