ホロデザイン「ホログラフィック光学エンジン」を開発

株式会社ホロデザイン

ホロデザイン「ホログラフィック光学エンジン」を開発|研究領域=ホログラムで・ビームの形を設計/強み=光学エンジンを・加工機に挿入するだけ/将来性=金属加工への・応用が期待

企業紹介|株式会社ホロデザインとは?

ホログラム(光の波の記録)でビームの形を設計し、材料を一括で加工する技術「ホログラフィックレーザー加工」。株式会社ホロデザインは、その技術を製品化する宇都宮大学発のレーザー加工系ディープテック企業です。加工機に挿入するだけで実装できるホログラフィック光学エンジンの設計・製造・販売・保守と、クラウドで提供するホログラム設計ソフトウェアの開発を手がけています。

キーワード「ホログラフィックレーザー加工」

「ホログラフィックレーザー加工」は、空間光変調器(光の振幅や位相を2次元で変調する装置)に計算機ホログラム(光の回折を計算した画像データ)を表示してレーザーを照射し、設計したビームパターンで材料を一括で加工する技術です。宇都宮大学の研究グループが2005年に開発しました。同社は、この技術をモジュールとして提供します。

市場課題|レーザー加工に求められる高精度化と高速化

現状のレーザー加工の課題|現状は、現場の振動や温度変化で加工の精度を保ちにくい|加工の精度と速度が・性能と価格に直結/ビームの向きと・強度の安定が課題

精度と速度が性能と価格に直結

レーザー加工では、製品の性能と価格に直結する加工の高精度化と高速化が課題です。DX(デジタルトランスフォーメーション)やGX(グリーントランスフォーメーション)への流れを背景に、半導体や蓄電池では、精密微細加工のニーズが高まっています。スループット(単位時間あたりの処理量)を上げたい、特殊な形状を高精度に加工したい、という要望も出ています。

振動や温度変化にさらされる現場

レーザー加工機が設置される製造現場は、振動や温度変化にさらされ、安定した環境とは限りません。そのため、ビームの強度や向きを保ち、加工の精度を維持することが課題です。多品種少量生産が求められる将来のモノづくりでは、多様な加工形状への対応も必要とされています。

他にも、印字(マーキング)や、貫通孔径(貫通穴の直径)の制御、孔のアスペクト比(穴の深さと直径の比)の制御といった課題があるといわれています。

FrontJournalの解説
  • スループット一定の時間に処理できる量のことである。レーザー加工では、単位時間あたりに加工できる製品の数や面積が指標になり、加工機の生産性を左右する。

ホロデザインの強み|「ホログラフィック光学エンジン」を開発

ホロデザインが「ホログラフィック光学エンジン」を開発|現在は、ホログラムで高速化と高精度を提供|ホログラムで・一括加工し高速化/カメラの監視で・精度を安定

ホログラムで一括加工し高速化

従来のレーザー加工では、加工の高速化と高精度化を両立させることが課題でした。

同社のホログラフィック光学エンジンは、空間光変調器に表示した計算機ホログラムで、レーザーのビームの形を設計する装置です。多点集光ビーム(複数の点に光を集めるビーム)を作ると、複数の穴や二次元コードのような模様を一括で加工でき、加工が高速になります。ラインビームやリングビームといった成形ビーム(断面の形を整えたビーム)も作れる点が特徴です。ビームの形を切り替えられるため、多様な加工形状にも対応できます。

カメラの監視で精度を安定

従来は、振動や温度変化のある製造現場で、高精度な加工を保つことが難しい場合がありました。

同社の光学エンジンの方式は、カメラでビームを監視し、その結果をもとに計算機ホログラムを設計し直すフィードバック制御(結果を測って反映する制御)です。この制御で、ビームパターンの強度の均一化、収差(ビームの形のゆがみ)の補正、ビームの向きの安定化が実現されます。レンズやミラーなどの光学素子と、カメラ、空間光変調器を一体にしたモジュールは、同社が顧客の加工機に合わせて設計・組み立てします。そのため、導入する側に特別な専門知識は要りません。振動や温度変化のある製造現場でも、高精度な加工ができます。

FrontJournalの解説
  • 計算機ホログラム物体から回折された光の情報を記録した画像データである。空間光変調器に表示しレーザーを照射すると、設計した光パターンが得られる。

ホログラフィックレーザー加工の未来|金属加工への応用が期待される

ホログラムが変える未来|金属加工への応用に期待、持続可能な社会へ|金属の溶接や・切断へ応用を期待/多品種少量生産・へ対応/持続可能な・社会を目指す

金属の溶接や切断への応用

空間光変調器の耐光性が向上すると、金属の溶接や切断、積層造形(材料を重ねて形を作る加工)への応用が期待されます。これらは高出力のレーザーが必要なため、光に耐える耐光性が欠かせず、光学エンジンの搭載が難しい分野でした。近年は、液晶タイプの空間光変調器が市販化されました。その耐光性は、波長1マイクロメートルの連続波レーザー(途切れず光を出すレーザー)で700W、超短パルスレーザー(極めて短い時間だけ光るレーザー)で150Wです。

多品種少量生産への対応

同社の光学エンジンは、任意の成形ビームを作ってその形を切り替えられるため、多品種少量生産が求められる将来のモノづくりで、加工ごとに異なる形状のニーズに応えられます。ビームの形を決める計算機ホログラムの設計を支えるソフトウェアは、クラウド経由での提供です。利用者がビームパターンの情報をブラウザで送ると、計算機ホログラムが自動で計算されて返ってきます。光学の専門知識は不要です。

持続可能な社会を目指す

同社は、ホログラフィ(ホログラムで光を操る技術)によるレーザー加工のモノづくりの革新を通じて、豊かで持続可能な社会の実現への貢献を目指しています。目指す社会像は、Society 5.0(サイバー空間と現実空間を融合させた社会)やカーボンニュートラル(温室効果ガスの排出量を実質ゼロにすること)です。同社は、光学エンジンがレーザー加工の精度と速度を同時に高め、製品の高性能化と低コスト化に寄与するとしています。

会社概要|ホロデザインの事業内容・設立背景

宇都宮大学発ベンチャーの設立

同社は、2023年9月1日に設立された、宇都宮大学発ベンチャーです。所在地は、宇都宮大学オプティクス教育研究センター内(宇都宮市陽東)です。ホログラフィックレーザー加工の技術は、同センターの早崎教授、長谷川准教授らの研究グループが2005年に開発しました。メンバーは5名で、内訳は役員4名と事務員1名です。

4つの事業と役員の構成

事業は、レーザー微細加工機用装置の開発から保守まで、ホログラム設計ソフトウェアの開発・販売・保守、レーザー加工の技術コンサルティング、技術セミナーと研究会の企画運営の4つです。主な加工事例には、ガラス基板や半導体材料の穴あけと切断、レーザーマーキングがあります。役員は、代表取締役の長谷川智士、取締役の早崎芳夫(宇都宮大学卓越教授)と土内彰(株式会社レーザーシステム代表取締役社長)、監査役の斉藤睦です。社名の「ホロ」は、ギリシャ語で「全て」を意味します。

受賞と助成事業の採択

2024年2月に、光産業創成大学院大学が主催するPhotonics Challenge 2024(ビジネスプランコンテスト)で最優秀ビジネス賞を受賞しました。2025年2月には、常陽銀行・足利銀行が主催する第8回めぶきビジネスアワードで栃木県知事賞を受賞し、飯村平和記念財団のベンチャー企業助成事業にも採択されました。2025年3月には、第9回とちぎんビジネスプランコンテストで、最優秀賞にあたる羽ばたく起業家賞を受賞しています。

会社情報

会社名株式会社ホロデザイン(Holodesign, Inc.)
所在地栃木県宇都宮市陽東7丁目1番2号 宇都宮大学オプティクス教育研究センター内
設立2023年9月1日
代表代表取締役 長谷川 智士
資本金400万円
事業レーザー微細加工機用装置の開発・設計・製造・販売・保守、ホログラム設計ソフトウェアの開発・販売・保守、レーザー加工の技術コンサルティング、技術セミナー・研究会の企画運営
技術領域ホログラフィックレーザー加工。ホログラフィック光学エンジン
連携宇都宮大学(宇都宮大学発ベンチャー)
URLhttps://www.holodesign.jp/

編集後記|FrontJournal編集部より

レーザー加工は、光をどう当てるかで、加工の速さも仕上がりも変わります。ホログラフィックレーザー加工は、光の形そのものを計算で設計し、切り替えられる点に特徴があります。加工機の性能を、光の側から引き上げる発想です。

ホロデザインの特徴は、光学エンジンのモジュールと設計ソフトウェアを、ともに提供する点です。既存のレーザー加工機に挿入できる形にすることで、導入する側の負担を抑えます。研究室で磨かれた技術を製造現場へ橋渡しする役割は、目立ちにくいものの、技術の普及を左右します。

半導体や蓄電池など、精密な加工の需要が高まる分野では、速度と精度の両立が問われる局面です。ビームの形を計算で切り替えられる加工機が増えれば、多品種少量の生産にも対応しやすくなります。金属の溶接や切断への応用が進めば、技術の将来性はさらに広がるはずです。宇都宮大学で育った技術が、製造現場に広がる日を期待しています。

FrontJournal編集部

出典:経済産業省 大学発ベンチャーデータベース2026

出典:「Gビズインフォ」(経済産業省)(2026年9月28日に利用)を加工して作成

本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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