アイセック「健診データ分析」を開発

株式会社アイセック

アイセック「健診データ分析」を開発|研究領域=健診や医療の記録で病気のリスクを把握/強み=新潟市民の約650万件を解析/将来性=企業と自治体の健康づくりを支援

企業紹介|株式会社アイセックとは?

健康診断の結果から病気のリスクを把握し、予防に生かす技術として、注目を集める「健診データ分析」。株式会社アイセックは、その社会実装を目指す、新潟大学発のヘルスケア系ディープテック企業です。健康管理プラットフォーム「Aivy」や健診・医療データの分析支援等を、企業や自治体へ提供しています。

キーワード「健診データ分析」

「健診データ分析」は、健康診断や医療の記録を集計し、病気のリスクや健康課題を明らかにする手法です。特徴は、多くの人のデータから、どのような生活を送る人が将来病気や要介護状態に至りやすいかを把握できる点にあります。職場の健康管理や自治体の健康施策の現場で、効果の見込める対策を選ぶ根拠として使えます。

市場課題|生活習慣病は気づかれずに進み、健診結果も予防に生かしにくい

現状の生活習慣病の予防の課題|現状は、自覚なく悪化し健診結果も予防に生かしにくい/自覚のないまま生活習慣病が悪化/健診結果の管理と分析が煩雑

自覚のないまま生活習慣病が悪化

糖尿病をはじめとする生活習慣病は、自覚症状のないまま進行しやすい病気です。血糖値の高い状態が続くと血管が傷つき、心筋梗塞や腎不全、脳卒中などの合併症(もとの病気が原因で起こる別の病気)を引き起こします。気づかないまま放置されると、健康寿命(健康上の問題で生活が制限されずに暮らせる期間)が縮み、治療の負担も重くなりかねません。

健診結果の管理と分析が煩雑

従業員の健診結果を予防に生かすには、管理と分析に手間がかかります。健診機関ごとに判定基準や書式が異なり、紙で保管される結果も多く、比較するには整理の作業が欠かせません。中小・中堅企業では産業医や保健師も不足しがちで、健診結果が予防の対策に生かされにくい状況です。

他にも、根拠に基づく健康教育を受ける機会の少なさ、医療へのアクセスの地域差、データに基づく施策づくりの自治体への定着、といった課題があるといわれています。

FrontJournalの解説
  • 健康寿命健康上の問題で生活が制限されることなく暮らせる期間を指す。平均寿命との差は、介護や治療を受けながら暮らす期間にあたり、男性で約9年、女性で約12年とされる。

アイセックの強み|「健診データ分析」を開発

アイセックが「健診データ分析」を開発|現在は、統一管理と解析で予防の根拠を提供/大規模データで予防の根拠を導く/健診機関ごとの書式を統一管理

大規模データで予防の根拠を導く

従来の予防の取り組みは、健診の数値が基準を超えた人へ保健指導を行うのが中心でした。

アイセックの健診データ分析は、健康診断・医療・介護の記録をまとめて解析し、将来の病気や介護のリスクが高い人の傾向を導く手法です。新潟市民の約650万件のデータを解析した例では、どのような生活を送る糖尿病患者が将来介護のリスクが高いのかを示しました。同社は解析結果を公的統計データと照らし合わせ、健康施策の資料として公開しました。この傾向を基準にすれば、自治体や企業は保健指導を優先する相手を選び、重症化する前に対策を届けられます。

健診機関ごとの書式を統一管理

従来の健康管理では、健診機関から届く結果を担当者が手作業で整理する必要がありました。

同社の健康管理プラットフォーム「Aivy」は、健診機関ごとに異なる判定基準や書式を統一して管理できます。データベースは各省庁のガイドラインに準拠し、予防医学(病気の発症や重症化を防ぐための医学)の視点を取り入れた構造です。経済産業省の健康経営度調査の指標に沿った健康サーベイ(従業員向けの健康アンケート)も備え、健診結果と合わせて分析できます。産業医や保健師が従業員の健康課題を把握しやすくなり、専門職の少ない企業でも健診結果を予防に生かせるようになります。

FrontJournalの解説
  • 予防医学病気になってから治すのではなく、病気の発症や重症化を防ぐことを目的とする医学の分野である。健診で危険因子を早く見つけ、生活習慣の改善や早期の受診につなげる取り組みが中心となる。

健診データ分析の未来|企業の健康経営から地域の健康づくりへ

健診データ分析が変える未来|企業の健康経営から、地域の健康づくりへ/自治体の健康施策に活用/中小企業の健康経営を後押し/健康寿命の延伸を目指す

自治体の健康施策に活用

健診データ分析は、すでに自治体の健康施策づくりに使われています。同社は新潟市での分析に続き、翌年度には新潟県内の全30市町村に規模を広げて医療健康データを分析しました。新潟県から受託した人材育成事業では、自治体職員がEBPM(根拠に基づく政策立案)を学ぶ研修も担っています。分析の結果は、自治体が地域ごとの健康課題を把握し、施策の根拠とするための資料になります。

中小企業の健康経営を後押し

同社は、中小企業でも導入しやすい健康管理の仕組みを広げようとしています。「Aivy」は、中小企業でも導入しやすい価格設計を強みとしています。まずは新潟県内で導入を広げてモデルケースを確立し、その成果をもとに他の地域へ順次展開する計画です。従業員の健康状態を把握する仕組みが手の届く費用になり、地方の中小企業でも健康経営(従業員の健康づくりを経営の課題として進める考え方)に取り組みやすくなります。

健康寿命の延伸を目指す

同社は、平均寿命と健康寿命の間にある差をなくすことを目指しています。そのための鍵とするのが、医療に関する大量のデータを集計・分析し、活用までつなげることです。生活する地域や世代、性別、習慣に応じた健康づくりの方法をデータから示すことで、一人ひとりに合った予防の手段を選べるようになります。実現すれば、病気になってから治すのではなく、発症や重症化を防ぐ取り組みが職場や地域に広がり、介護や治療を受けながら暮らす期間の短縮につながることが期待されます。

会社概要|新潟大学の研究成果を健康づくりに生かすアイセック

新潟大学医学部発として創業

株式会社アイセックは、2019年12月に新潟市で設立された新潟大学医学部発のベンチャーです。代表取締役CEOの木村大地氏は特定健診・特定保健指導(メタボリックシンドロームに着目した健康診断と保健指導)の厚生労働省システムの開発受託企業で統括マネージャーを務め、2011年には株式会社リンケージを創業しました。取締役CMOには、新潟大学大学院医歯学総合研究科の教授で、糖尿病を中心とする生活習慣病の予防と治療を専門とする曽根博仁氏が就いています。同社は、研究の成果を社会実装し、健康寿命を延ばすことを目的に設立されました。

大学認定第1号と国の実証採択

同社は、2020年7月に「新潟大学発ベンチャー称号認定制度」の第1号として認定されました。2026年には、一般社団法人新潟県労働衛生医学協会、株式会社新潟日報社との共同企業体として、経済産業省の「自治体と連携した健康経営支援実証」に採択されています。新潟県からは「にいがたヘルスケアEBPM人材育成事業」を受託しています。同社も「健康経営優良法人2023」で上位500法人の「ブライト500」に認定され、2026年8月時点で160社以上の企業の健康経営を支援してきました。

増資で5,000万円を調達

同社は、2026年2月に株式会社BSNメディアホールディングスと株式会社ブルボンを引受先とする第三者割当増資(特定の相手に新しい株式を引き受けてもらう資金調達)を実施し、総額5,000万円を調達しました。調達した資金は、健康管理プラットフォームの機能拡充や営業・マーケティング体制の強化、開発体制の構築に充てられます。

会社情報

会社名株式会社アイセック(iSEQ.inc)
所在地新潟県新潟市中央区学校町通2-5274-1 新潟大学ライフイノベーションハブ内
設立2019年12月
代表代表取締役CEO 木村大地。取締役CMO 曽根博仁(新潟大学大学院医歯学総合研究科 教授)
資本金1億7,358万8,000円(資本準備金を含む・2026年2月時点)
調達第三者割当増資で総額5,000万円(2026年2月)。引受先=株式会社BSNメディアホールディングス、株式会社ブルボン
事業健康医療データ分析EBPM支援。健康経営推進支援。健康管理プラットフォーム「Aivy」。健康教育(e-Learning)。オンライン健康相談
技術領域健診・医療データ分析、予防医学、健康管理データベース
連携新潟大学(新潟大学発ベンチャー称号認定 第1号・2020年7月)
採択経済産業省「自治体と連携した健康経営支援実証」(2026年・共同企業体として)。新潟県「にいがたヘルスケアEBPM人材育成事業」(令和8年度・受託)。健康経営優良法人2023(ブライト500)
URLhttps://iseq.co.jp/

編集後記|FrontJournal編集部より

健康診断は多くの人が毎年受けているのに、その結果は紙のまま保管され、予防に生かされないことが少なくありません。アイセックは、医学の研究で使われてきた大規模データの分析を、企業や自治体の健康づくりの現場へ持ち込んだ会社です。大学の研究者と、健康支援の現場を知る事業家が組んだ体制が、研究の成果と現場の課題を結ぶ役割を担っていると感じます。

同社の取り組みは、単なる健診結果の管理ではなく、どの人にどの対策を届けるべきかを決める根拠づくりにあります。新潟から始まったこの健康づくりのモデルが、全国の地方企業へ広がっていく未来に期待したいところです。新潟大学から生まれたほかの企業は、新潟大学発スタートアップ10選で紹介しています。

FrontJournal編集部

出典:「Gビズインフォ」(経済産業省)(2026年9月30日に利用)を加工して作成

本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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