出島リサーチ&コンサルツ|長崎大学発の「EBPM」を研究するコンサルティング企業

株式会社出島リサーチ&コンサルツ

出島リサーチ&コンサルツ「EBPM」を研究|研究領域=自治体が根拠で施策を選ぶ/強み=統計で政策の根拠を示す/将来性=データを生かす地域の施策へ

企業紹介|出島リサーチ&コンサルツとは?

統計データをもとに自治体が施策を選ぶ方法として、注目を集める「EBPM」。株式会社出島リサーチ&コンサルツは、その実践を自治体とともに進める、長崎大学発のコンサルティング企業です。アンケートの設計から統計分析までを受託し、長崎県の人口減少対策に向けた調査を担ってきました。

キーワード「EBPM」

EBPMは、Evidence Based Policy Making(証拠に基づく政策立案)の略で、統計データや合理的な根拠をもとに政策を企画する考え方です。その場の経験や印象に頼らず、政策の目的を明確にしたうえで、効果の見込める施策を選びます。国の省庁に加えて、自治体でも取り組みが求められています。

市場課題|人口減少の要因をつかみ難い自治体

現状の人口減少対策の課題|現状は、要因が複雑で分析の専門家も不足/人口減少の要因をつかみ難い/分析を担う専門家が不足

人口減少の要因をつかみ難い

長崎県の人口は1960年の176万人をピークに2015年の国勢調査では138万人まで減りましたが、何が減少を招いているのかを把握するのは容易ではありません。離島が多く地理的な条件も多様なため、減少の要因は他県より複雑といわれています。2020年度の時点で、このままでは2060年に78万人まで減少する見込みとされています。

分析を担う専門家が不足

自治体が職員だけで統計分析を進めるのは難しいといわれています。調査票の設計や統計手法の選択には心理学などの専門知識が必要で、大学に委ねても参加できる教員は学内に限られがちです。専門家を集められなければ、施策の根拠となるデータを得られない恐れがあります。

他にも、進学や就職を機に若者が県外へ移る人口の流出、統計を扱える職員の育成、自治体の課題と大学教員の専門分野をすり合わせる手間、といった課題があるといわれています。

FrontJournalの解説
  • 国勢調査日本に住むすべての人と世帯を対象に、国が5年ごとに行う統計調査である。人口や世帯の構成、就業の状況を把握し、国や自治体が政策を立てる際の基礎資料として用いられる。

出島リサーチ&コンサルツの強み|「EBPM」を研究

出島リサーチ&コンサルツが「EBPM」を研究|現在は、調査と統計分析で施策の根拠を提供/意識調査と統計で要因を分析/課題に合う専門家へ分析を委託

意識調査と統計で要因を分析

自治体が単独で行う調査では、質問の設計や分析の手法を専門家の視点で詰めにくく、集めたデータを施策の根拠に生かしきれない面があります。

同社は2019年度から長崎県統計課とともに、大学生の就職意識を尋ねるアンケートを設計し、統計分析までを担ってきました。質問の設計には心理学の専門家が加わり、回答の分析では対象に適した統計手法を選びます。同じ連携の中で、女性の県外転出についても、システム思考(要因どうしのつながりを全体として捉える考え方)に基づいて、どの要因がどう絡み合うかを分析しました。県は、県庁だけでは難しかった専門的な調査と分析を実施できるようになりました。

課題に合う専門家へ分析を委託

大学が調査を受託すると、参加できる教員が学内に限られ、国立大学法人の予算の決まりから支出の項目も自由に組みにくくなります。

同社は大学発ベンチャーとして調査を受託し、課題に合う専門分野の大学教員へ分析を委託する方式を取っています。委託先は長崎大学の教員に限らず東京の教員も含むため、課題ごとに適した専門家を集められる体制です。大学の予算の決まりに縛られないため、たとえば調査に参加する学生への支出も組み込めます。参加した研究者は、調査の成果を学会で報告できる体制です。自治体は、職員だけでは担いにくい専門的な分析を課題に合った研究者に任せ、施策の根拠となるデータを確保できます。

FrontJournalの解説
  • システム思考物事を個々の要因に切り分けて見るのではなく、要因どうしのつながりや影響の循環を全体として捉える考え方である。人口移動のように複数の要因が絡み合う問題の分析に用いられる。

EBPMの未来|データを生かした地域の施策づくり

地域のEBPMが変える未来|調査と人材育成で長崎のデータ活用を後押し/意識調査を福岡の学生へ拡大/データ活用を学ぶ講座を開講/ICTで地方の活性化を目指す

意識調査を福岡の学生へ拡大

長崎県統計課と同社による学生の意識調査は、2020年度に福岡の大学に在籍する学生へ対象を広げました。調査は2019年度に県内の大学を中心に始まり、2021年度も継続して実施されました。この取り組みは、総務省統計局のサイト「Data StaRt(データ・スタート)」で大学との連携事例として紹介されています。調査は、若者の県内就職を促す施策の立案に向けたデータ収集です。

データ活用を学ぶ講座を開講

同社は2023年2月、社会人向けの「データ活用基礎講座」を長崎市で開き、データを仕事に生かす人材の育成に取り組みました。長崎県から、統計人材の育成に関する研修を受託した実績もあります。講座には税理士や高校の教員、企業の社員が参加し、データの重要性と活用の方法を基礎から学びました。受講者は、学んだ内容をそれぞれの職場でデータを扱う際の土台にできます。

ICTで地方の活性化を目指す

同社は、ICT(情報通信技術)やAIを活用したまちづくりを通じて、長崎をはじめとする地方都市の活性化を目指しています。大企業とのネットワークを持つスタッフが在籍し、地方都市と大都市圏を結び付ける役割を担います。2021年1月には「長崎STEAMセンター」(STEAMは科学・技術・工学・リベラルアーツ・数学の頭文字)を開き、プログラミング教育などでコンピュータに親しむ場を設けました。データと技術を扱える人材が地域で育てば、長崎の自治体や企業は、データを生かした取り組みを地元で進めやすくなります。

会社概要|株式会社出島リサーチ&コンサルツの事業内容・設立背景

経済学部の教授らが設立

長崎大学経済学部の教授を中心に、同社は2018年7月5日に設立されました。経済学を学問にとどめず、地域の課題解決に役立つ手法であることを、実践を通して示すことが設立の目的です。代表取締役社長の岡田裕正氏は、2011年から2019年まで長崎大学経済学部の学部長を務め、2026年4月に同大学の名誉教授となりました。共同創業者で取締役の須齋正幸氏は、長崎大学の理事・副学長を務めた経歴を持ちます。

長崎県統計課と連携

同社は2019年度から長崎県統計課と連携し、EBPMに取り組んできました。長崎県からの委託内容は、EBPMのモデルケースの構築や、統計人材の育成に関する研修です。長崎県は、総務省の委託事業「統計データ利活用推進事業」の一環として、大学生へのアンケートの設計や専門的な統計分析も同社に再委託しました。長崎県は2018年度に「長崎県EBPM・データ利活用推進プラン」を策定しており、同社との連携はその推進の中で始まりました。

調査受託と講座が事業の柱

事業の中心は、企業や自治体からの調査・研究の受託と、経営戦略の策定や業務改善、DX(デジタル技術を使った業務や事業の変革)の推進に関するコンサルティングです。経済や経営に関わる講演会やセミナーへの専門家の斡旋に加え、科学研究費などの外部資金を得るための申請書の作成も支援します。主席研究員には、銀行で法人融資や事業再生を担当した人材や、新聞社で医療・科学担当の記者を務めた人材が加わっています。

会社情報

会社名株式会社出島リサーチ&コンサルツ(Dejima Research & Consults Co. Ltd./登記上の表記は株式会社出島リサーチ&コンサルツ)
所在地長崎県長崎市昭和3丁目1番16-305号
設立2018年7月5日
代表代表取締役社長 岡田裕正
事業企業や自治体からの調査・研究の受託、経営戦略の策定・業務改善・DX推進に関するコンサルティング、講演会・セミナー等への専門家の斡旋、外部資金の獲得支援、長崎STEAMセンター(長崎市古川町・2021年1月開設)の運営
技術領域アンケートの設計と統計分析、システム思考に基づく要因分析によるEBPM(証拠に基づく政策立案)の支援
連携長崎県統計課(2019年〜・EBPMのモデルケース構築、統計人材育成の研修、大学生の就職意識調査)
URLhttps://www.dejimarc.com/

編集後記|FrontJournal編集部より

出島リサーチ&コンサルツは、大学の経済学を自治体の政策づくりに直接つなげる役割を担っています。人口減少という大きな課題に対して、学生の意識をアンケートで確かめ、統計で読み解くという地道な手順を踏んでいる点が、同社の特徴といえます。分析の結果は、県が若者の県内就職を促す施策を立案するための材料です。

大学発ベンチャーが調査を受ける形にしたことで、学外の専門家も加えた体制を組めるようになりました。須齋氏は、県と議論を重ねて課題を共有したことが、事業が進んだ背景にあると述べています。データに基づく地域の施策づくりがどこまで広がるのか、今後の展開に注目していきます。

FrontJournal編集部

出典:「Gビズインフォ」(経済産業省)(2026年9月30日に利用)を加工して作成

本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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