除草剤と手作業を減らすレーザー除草ロボットを実用化した Carbon Robotics(米国発)

除草剤と手作業を減らす「レーザー除草ロボット」を実用化【Carbon Robotics|米国発】

雑草対策は、除草剤が効かない雑草の広がりと、手作業を担う人手の不足が課題になっています。この課題に挑むのが、米国のカーボン・ロボティクス(以下Carbon Robotics)です。AIがカメラの画像から雑草を見分け、レーザーで焼く「レーザー除草ロボット」を実用化し、北米や欧州、オーストラリアの100以上の生産者が導入しています。2024年10月には、シリーズDで7,000万ドル(約105億円)の資金調達を発表しました。

雑草対策の課題

Carbon Roboticsの紹介と、除草剤が効かない雑草の増加と手作業の除草を担う人手の不足という雑草対策の課題を示す図

除草剤が効かない雑草が増加

除草剤に頼る雑草対策は、薬剤が効かない雑草の広がりによって難しくなっています。国際的な調査「International Herbicide-Resistant Weed Database」によると、除草剤への抵抗性を持つ雑草は2026年10月時点で275種に上り、76か国の102作物で確認されています。このままでは、薬剤の種類や散布の回数を増やしても雑草を抑えにくい畑が増え続けます。

手作業の除草に人手が足りない

除草剤を減らした畑では、雑草を取り除く作業に多くの人手がかかります。米国農務省によると、2017年の農業センサスで、人件費と請負労働費は果物・ナッツ農家の生産費の39%、温室・苗木の農家では43%を占めています。このままでは、働き手の平均年齢が上がるなかで、除草にかかる費用と人手の確保が農家の負担になり続けます。

FrontJournalの解説
  • 抵抗性同じ除草剤を使い続けるうちに、その薬剤が効きにくい性質を持つ雑草が生き残って増え、薬剤で枯れにくくなること。
  • 農業センサス国が農家や農地の数、生産費などを数年ごとに全数で調べる統計調査。米国では5年ごとに行われる。

Carbon Roboticsが「レーザー除草ロボット」を実用化

レーザー除草ロボットの実用化を示す図。AIがカメラの画像から雑草を見分け、薬剤を使わずにレーザーで雑草だけを焼く

課題解決に挑むCarbon Robotics

Carbon Roboticsは、AIで雑草を見分けてレーザーで焼く「レーザー除草ロボット」を実用化した米国の企業です。2018年に創業し、本社はワシントン州シアトルにあります。創業者でCEOのポール・マイクセル氏が率い、北米や欧州、オーストラリアの100以上の生産者が同社の機体を導入しています。

薬剤を使わず雑草だけを焼く

同社の「LaserWeeder」は、トラクターに引かれて畑を進みながら、カメラの画像からAIが雑草を見分け、レーザーで雑草の成長点を焼きます。現行のLaserWeederは150Wのダイオードレーザー30本と42台のカメラを備え、1分間に5,000本以上の雑草を1ミリ未満の精度で狙い、最大99%の雑草を取り除くと同社は公表しています。薬剤を使わず、土も掘り返さずに雑草を取り除く方式です。コーネル大学とラトガース大学の査読付き研究では、除草剤の代わりにレーザー除草を使うと、作物のバイオマスが30%以上増えたと報告されています。

新型機と植物AIで作物を選ばず除草

2025年2月に発表した第2世代の「LaserWeeder G2」は240Wのレーザーを使い、作業の速さは従来機の最大2倍です。モジュール式で、同社は除草コストを最大80%減らせるとしています。2026年2月には、1億5,000万本のラベル付きの植物で学習した「Large Plant Model」を発表し、新しい作物でも数分で除草を始められると説明しています。国内でも、東北大学らが機械学習でトマトの生育を促す微生物群集を設計しました。

FrontJournalの解説
  • 成長点植物の茎や根の先端にある、細胞が盛んに分かれて新しい組織が生まれる部分。ここを傷めると植物は伸びられなくなる。
  • ダイオードレーザー半導体に電気を流して光を出すレーザー。小型で効率が高く、加工や通信など幅広い用途で使われる。
  • バイオマスここでは、育った作物の量を重さで表したもの。

「レーザー除草ロボット」の未来

レーザー除草ロボットの未来を示す図。既存のトラクターを無人で走らせる技術を発表し、除草剤に頼らない農業を目指し、シリーズDで資金を調達した

トラクターの無人運転が可能に

Carbon Roboticsは2025年3月、既存のトラクターを無人で走らせる「Carbon AutoTractor」を発表しました。ジョン・ディアの6R・8Rシリーズに、恒久的な改造をせずに取り付けられます。走行は衛星通信を通じて遠隔で監督し、運転席に人が乗らなくても作業機を引いて畑を進めます。化学肥料に頼りすぎない農業では、国内でも理化学研究所と京都大学らが光合成細菌の菌体を有機質窒素肥料として実証しました。

除草剤に頼らない農業を目指す

同社は2026年3月、2026年1月期の年間売上が1億ドル(約150億円)を超えたと発表しました。製品は15か国の生産者に使われています。米国と欧州に自社の製造拠点を持ち、除草剤や手作業に頼らない雑草対策をより多くの畑に広げようとしています。農業とは別の分野でも、担い手不足を背景に、京都市で四足歩行ロボットによる森林巡視の実証が行われました。

約105億円を調達し製造を拡大

Carbon Roboticsは2024年10月、シリーズDで7,000万ドル(約105億円)を調達したと発表しました。米国の投資会社BONDが主導し、これまでの調達額の合計は1億5,700万ドル(約236億円)になりました。同年5月には、NVIDIA(エヌビディア)の投資部門NVenturesからの出資も発表しています。この資金はワシントン州東部での製造の拡大に使われ、LaserWeederをより多くの農家に届ける土台になります。

FrontJournalの解説
  • 衛星通信人工衛星を中継して行う通信。携帯電話の電波が届きにくい広い畑でも、遠隔から機械の状態を見守れる。
  • シリーズDスタートアップの資金調達の段階を表す呼び名の1つ。事業が軌道に乗った後の、規模の拡大に向けた調達を指すことが多い。

まとめ

雑草対策は除草剤が効かない雑草と人手不足が壁になっており、Carbon Roboticsは「レーザー除草ロボット」で薬剤と手作業を減らそうとしています。第2世代機と植物を学んだAI、トラクターの無人運転は、その方式を多くの作物と畑へ広げる手段になります。雑草を見分ける技術の土台はカメラと画像処理で、2026年12月2日からパシフィコ横浜で開かれる国際画像機器展2026では、マシンビジョンの機器や技術が展示されます。FrontJournal編集部は、「レーザー除草ロボット」が日本の畑でも雑草対策の選択肢になることに期待しています。

※ 本記事は各社の公式発表・主要報道をもとに、FrontJournal編集部が再構成したものです。数値は各社・各機関の公表値です。ドルの円換算は1ドル=約150円で概算しています。
主な出典:Carbon Robotics 公式(会社概要・製品ページ・シリーズD・CFO就任の発表)、International Herbicide-Resistant Weed Database、米国農務省経済研究局(ERS)。

この記事の作者

FrontJournal編集部

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本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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