メロディ・インターナショナル「周産期遠隔医療」を開発|胎児の心拍を遠隔の医師へ届ける携帯型の分娩監視装置を描いたイラスト

メロディ・インターナショナル株式会社

メロディ・インターナショナル「周産期遠隔医療」を開発|研究領域=妊婦の状態を・離れて見守る/強み=持ち運べて・遠隔で診断/将来性=国内から海外の・母子保健へ

企業紹介|メロディ・インターナショナル株式会社とは?

妊婦と医師が離れていても、胎児の状態を見守る「周産期遠隔医療」。メロディ・インターナショナル株式会社は、その社会実装を目指す、香川大学発のディープテック企業です。胎児の心拍と子宮収縮を測る携帯型の分娩監視装置「iCTG」と、測定結果を共有するクラウドサービス「Melody i」を開発し、国内の産科施設や海外の医療機関へ提供しています。

キーワード「周産期遠隔医療」

「周産期遠隔医療」は、出産の前後の期間(周産期)に、離れた場所にいる妊婦の状態を通信で医師へ届けて診る医療です。従来は医師のいる施設で測る必要がありましたが、妊婦が自宅などで測ったデータを、医師が別の場所から確認できるようになります。同社は、この仕組みを分娩監視装置とクラウドサービスの組み合わせで実現しています。

市場課題|分娩を扱う施設が減り、産科のない地域も生じている

現状の周産期の課題|現状は、分娩を扱う施設が減り産科のない地域も生じている|分娩を扱う・施設が減少/産科のない・医療圏が残る

分娩を扱う施設が減っている

分娩を扱う医療施設は、全国で減り続けています。日本産婦人科医会の調査では、2006年に3,098あった分娩取扱施設が、2025年には1,856となり、40%減りました。近くに出産できる施設が少なくなると、妊婦は遠くまで通う負担を負いやすくなります。

産科のない医療圏が残る

産科施設のない地域も、すでに生じています。全国335の二次医療圏(入院医療を地域ごとにまとめた区分)のうち、11の医療圏には産科施設がありません。こうした地域の妊婦は、異常の兆しがあっても専門医に診てもらうまでに時間がかかりやすくなります。

他にも、世界で年に約26万人にのぼる妊産婦死亡の9割超が低所得国と低中所得国に集中していること、少子化で分娩を扱う診療所の収入が減っていること、医師の高齢化や診療所の継承が難しいこと、といった課題があるといわれています。

FrontJournalの解説
  • 二次医療圏都道府県が、入院を要する一般的な医療を地域の中でまとめて提供できるよう定める区域。全国に335ある。

メロディ・インターナショナルの強み|「周産期遠隔医療」を開発

メロディ・インターナショナルが「周産期遠隔医療」を開発|現在は、携帯型の装置とクラウドを提供|携帯型で自宅・でも測れる/測定結果を・遠隔で共有

携帯型で自宅でも測れる

従来の分娩監視装置は、複数の妊婦の心拍を院内のナースステーションで見る据え置き型が中心で、測定は施設の中に限られていました。

「iCTG」は、胎児の心拍を測る超音波トランスデューサ(超音波を送受信する探触子)と、子宮収縮を測る陣痛トランスデューサの2つで構成されます。心拍の検出には超音波ドプラ法、子宮収縮の検出にはストレインゲージ(ひずみで抵抗値が変わる素子)を用いる方式です。Bluetoothでタブレットとつながります。内蔵電池での動作時間は約8時間(添付文書)です。コードがなく持ち運べるため、妊婦は自宅など施設の外でも測定可能です。

測定結果を遠隔で共有できる

従来の装置は、測定の記録を確認できる場所が院内に限られていました。

測定データはインターネットを通じてクラウドへ保存され、周産期遠隔医療プラットフォーム「Melody i」から確認できます。産科専門医は、離れた場所からそのデータを診断し、オンラインで診療できます。病院の間でもデータを共有でき、健診を担う施設と分娩を担う施設が、同じデータを見ながら連携することも可能です。近くに産科施設がない地域の妊婦にとって、通院の負担を抑えながら測定データを専門医が確認しやすくなる点が利点です。

FrontJournalの解説
  • 超音波ドプラ法超音波を体に当て、動いている対象から返る反射波の周波数の変化をとらえる方法。胎児の心臓の動きから、心拍を検出できる。

未来・導入事例|国内の産科施設から世界の母子保健へ

遠隔での見守りが変える未来|国内の施設から世界の母子保健へ広げる|国内の産科施設へ・導入が進む/地域の産科を・遠隔で支援/世界の母子保健・向上を目指す

国内の産科施設へ導入が進む

iCTGは、すでに国内の病院や助産院で使われています。2018年7月には保険適用となりました。2025年11月には、広島県神石高原町の神石のたまご産婦人科と助産院が、開院にともなって導入しています。同社は、山間部や離島などでも柔軟に使えるとしています。

地域の産科を遠隔で支援

地域で産科を続ける取り組みにも、遠隔の仕組みが使われています。同社の事例紹介では、岡山県の笠岡市民病院が2025年7月に7年ぶりに産科診療を再開し、妊婦健診を担うとされています。分娩は広島県の福山市民病院などが担う体制です。Melody iは、病院の間で胎児の心拍数などのデータを共有する役割を果たし、妊婦は住み慣れた地域で健診を続けられます。

世界の母子保健の向上を目指す

同社は、日本発の技術で世界の母子保健の向上を目指しています。ブータンでは、国連開発計画(UNDP)とJICA(国際協力機構)の主導で、2020年に全土へ55台のiCTGが導入されました。タイのチェンマイでは、JICAの草の根技術協力事業を通じて、県内の全公共病院などに遠隔妊婦健診システムが広がっています。2025年8月には、ブータンでのAIによる自動診断の実証が、経済産業省の補助金事業に採択されました。

会社概要|メロディ・インターナショナル株式会社

香川大学発の医療機器企業

メロディ・インターナショナル株式会社は、2015年7月に設立された香川県高松市の企業で、2018年6月に香川大学発ベンチャーに認定されました。代表取締役は松原一郎氏です。技術顧問の原量宏氏と竹内康人氏は、分娩監視装置の基本原理の発明者とされています。事業は、遠隔医療サービスにかかるプラットフォームと、医療機器の製造、開発、販売です。

認証と受賞の歩み

2018年5月に分娩監視装置「iCTG」の認証を取得し、同年7月に保険適用となりました。2020年7月には、医療機器の品質マネジメントの国際規格であるISO13485を取得しています。2022年7月には、WHOの推奨機器要覧に掲載されました。2026年1月には、原量宏氏(香川大学名誉教授)と同社CCOの尾形優子氏が、JICA国際協力賞(第2回)を受賞しています。

資金調達とグループ入り

2019年6月には、HAホールディングスとイノベーションディスカバリー1号投資事業有限責任組合を引受先とする、合計8,000万円の第三者割当増資を発表しました。2023年11月には、京都イノベーションキャピタルをリードとする投資家から、総額1.1億円の資金調達を実施しています。2025年10月15日付で、アトムメディカル株式会社が全株式を取得し、同社はアトムメディカルグループの一員になりました。

会社情報

会社名メロディ・インターナショナル株式会社
所在地〒761-0301 香川県高松市林町2217-44 ネクスト香川304
設立2015年7月
代表松原 一郎(代表取締役)。技術顧問に原 量宏氏、竹内 康人氏(分娩監視装置の基本原理の発明者)
調達第三者割当増資 合計8,000万円(2019年6月発表)。総額1.1億円の資金調達(2023年11月)
事業遠隔医療サービスにかかるプラットフォームと医療機器の製造、開発、販売。分娩監視装置「iCTG」、周産期遠隔医療プラットフォーム「Melody i」
技術領域周産期遠隔医療、胎児心拍と子宮収縮のモバイル測定、クラウドによるデータ共有
連携アトムメディカル株式会社(2025年10月に全株式を取得)。JICA・UNDP(ブータンへの導入)。チェンマイ大学・香川県・香川大学(JICA草の根技術協力事業)
採択JICA国際協力賞(第2回):原量宏氏・尾形優子氏が受賞(2026年1月)/経済産業省 令和6年度補正グローバルサウス未来志向型共創等事業費補助金(小規模実証・FS事業)(2025年8月)/WHO 推奨機器要覧 掲載(2022年7月)/香川大学発ベンチャー認定(2018年6月)
URLhttps://melody.international/

編集後記|FrontJournal編集部より

出産の前後は、離れた場所にいると医師の目が届きにくい時期です。その時期の妊婦の状態を、通信で専門医へつなぐという発想が印象に残りました。分娩を扱う施設が減る中で、こうした仕組みの役割は大きくなりそうです。

iCTGは、コードのない携帯型で、自宅でも測れる点が特徴です。測ったデータはクラウドで共有されるため、産科のない地域でも測定データを専門医が確認できます。国内の産科施設から海外まで、取り組みが広がっています。

安全な出産を、住む場所にかかわらず届けようとする取り組みとして、今後の展開に注目したいと思います。

FrontJournal編集部

出典:経済産業省 大学発ベンチャーデータベース2026

出典:「Gビズインフォ」(経済産業省)(2026年9月28日に利用)を加工して作成

本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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