セッション概要:日本と欧州の投資家が語る世界展開
セミナー概要・登壇者
タイトル シリコンバレーの、その先へ:日本と欧州は、次なる世界的テック企業を生み出せるか? ~日欧の資本・技術・市場をつなぎ、さらなるグローバル展開を加速する~
日時・会場 2026年10月7日 10:50〜11:35/ナレッジキャピタル コングレコンベンションセンター
登壇者 Jean Schmitt氏(Jolt Capital) Luca Eisenstecken氏(Atomico パートナー) 久村 俊幸氏(株式会社産業革新投資機構 取締役CIO) 司会:河田 美緒氏(日本貿易振興機構(JETRO) 理事)
出典:Global Startup EXPO 2026 公式セッションページ
内容
セッションは2026年10月7日、大阪のナレッジキャピタル コングレコンベンションセンターで行われました。欧州で成長段階のディープテックに投資するJolt CapitalのJean Schmitt氏、ロンドンを拠点に成長段階の企業へ投資するAtomicoのLuca Eisenstecken氏、産業革新投資機構(JIC)の久村 俊幸氏の3人が登壇し、JETROの河田 美緒氏が司会を務めました。
議論の軸は、優れた技術がいつ、どうすれば大きな事業になるか です。日本と欧州はどちらも技術力が高い一方で、事業を大きく育てる段階の資金が足りないという共通の課題 を抱えています。スタートアップで資金調達や海外展開に関わる人、ディープテックへの投資に関心がある人にとって、海外の投資家の考え方 を知る手がかりになる内容でした。
【POINT①】日欧に共通する課題は、成長段階の資金不足
日本と欧州では、創業期のスタートアップへの資金はそろってきた一方で、事業を大きくする段階の資金が足りていません 。久村氏は、日本では政府と民間のファンドによってディープテックやライフサイエンスの初期の資金が改善したと説明しました。そのうえで、シリーズAとシリーズBの間 に資金の空白が残っていると指摘しました。
Eisenstecken氏は、欧州も初期の資金の差は縮まったものの、成長段階の資金は大きく不足していると語りました。海外の資金に頼らないためにも、域内の成長資金を増やす必要がある という指摘です。Schmitt氏は、日本も欧州と同じく技術に強い半面、株主が細かく分散した会社が多く、後の段階の投資家が入りにくいと述べました。久村氏は、売上1億ドル規模から10億ドル規模へ事業を育てた経験を持つ経営人材がまだ少なく、育つまでに3〜5年かかるという見通しを示しました。
【POINT②】投資家が見るのは、技術と実績と「どこまで大きくするか」
投資を決める基準は、投資家の立場によって異なります。Schmitt氏は、成長後期の投資家として、強い知的財産、動く製品、満足している顧客 がそろっていることを重視すると語りました。売上がない段階の製品のリスクは取らず、現実的な計画で約5年のうちに大きな売上に届く道筋があるかを見るといいます。
Eisenstecken氏は、世界の投資家は日本の会社にも同じ基準を当てはめると述べました。重視するのは、ファンド全体の成果を左右するほど大きく育つ可能性 と、困難があっても挑み続ける野心です。海外の売上は投資の時点で必須ではなく 、国内市場が大きく、世界で通用する製品と計画があればよいと語りました。2人とも、投資家の助言に耳を傾け、ともに歩むパートナー になれる経営者かどうかを大切にしていました。
【POINT③】海外の投資家を迎えるには、株主の組み方から準備する
海外の投資家を呼び込むには、国内の段階から株主の組み方を整えておく必要があります。久村氏は、高すぎる企業価値での資金調達を追いかけると、後から入る海外の投資家を遠ざける と指摘しました。追加で出資できる力と、その会社や技術への深い理解を持つ国内の投資家を加えておくことで、海外の投資家からの信頼 につながるといいます。大きな追加の資金調達の段階では、海外の投資家が欠かせなくなると述べました。
最後に、日欧の強みを組み合わせる方法として、Schmitt氏は国をまたいだ企業の統合 で規模を得ることを挙げました。Eisenstecken氏は、小さく自分で持ち続けるか、投資を受けて大きく育てるかという野心の大きさを決め、その道を貫くことを勧めました。久村氏は、世界でその分野を代表する企業を目指してほしいと呼びかけました。