市場課題|小型衛星の軌道と推進剤

小型衛星は軌道を変えにくい
小型衛星の多くは、打ち上げ後に自力で軌道を変えにくい構造です。打ち上げ機会はIsar Aerospace(ドイツの小型ロケット企業)など新興のロケット企業の登場で広がりましたが、投入先の軌道はロケット側が決めるため、任務に適した高度へ移るには推進系(衛星が自力で軌道を変えるためのエンジン)が必要です。推進系がないと、観測したい地域を通る時刻も、物体の回避も選びにくくなります。
推進剤の扱いに設備を要する
従来の推進剤を地上で扱うには、専用の設備と手順が必要です。化学推進で長く使われてきたヒドラジンは毒性が強く、充填には防護装備が欠かせません。電気推進で使うキセノンも希少な気体で、打ち上げ数が増えるほど調達が難しくなるといわれています。
他にも、充填設備の維持費、欧州で強まるヒドラジンの使用制限、推進系が搭載機器の容積を圧迫すること、といった課題があるといわれています。
- ヒドラジン窒素と水素からなる化合物で、宇宙機の化学推進剤として長く使われてきた。毒性が強く、充填には防護装備と専用の設備を要する。
- キセノン大気中にごくわずかしか含まれない希ガスで、電気推進の推進剤に用いられる。生産量が限られ、需要の増加が調達価格に影響しやすい。


