PLANT CASE「CO2の流出」を解決

PLANT CASE株式会社(プラントケース)

PLANT CASE「CO2の流出」を解決|研究領域=CO2濃度を保ち・光合成を促進/強み=光合成を計測し・環境を制御/将来性=焼却施設CO2の・農業利用を研究

企業紹介|PLANT CASE株式会社とは?

ハウス内のCO2濃度を保ち、作物の光合成を促す技術として、研究と実証が進む「セミクローズド温室」。PLANT CASE株式会社は、その社会実装を目指す、豊橋技術科学大学発のアグリテック系ディープテック企業です。農業生産に必要な資材として、「SPAセミクローズド・パイプハウス」(SPAは植物の状態を見て環境を制御する方式)の製造・販売を事業に掲げています。

キーワード「セミクローズド温室」

「セミクローズド温室」は、高い気密性と換気の制御により、ハウス内のCO2濃度を保てる温室です。特徴は、日射と換気に合わせてCO2濃度を調整し、作物の光合成を効率よく促せる点にあります。施設園芸(ハウスなどの施設で作物を育てる農業)の現場で、収量の向上と化石燃料由来CO2の削減を両立する手段として、研究と実証が進められています。

市場課題|施設園芸に残る、暖房のCO2とCO2が逃げる換気

現状の施設園芸の課題|現状は、換気で光合成の原料が逃げ増収しにくい|暖房の化石燃料が・CO2を排出/換気でCO2が逃げ・増収しにくい

化石燃料の暖房がCO2を排出

施設園芸では、暖房に化石燃料を使うと、CO2が発生します。環境省の事業が掲げる目標は、2050年までに園芸施設で化石燃料由来のCO2を発生させないことです。この目標に向けて、環境省の事業は、電気ヒートポンプによる冷暖房を手段の1つに掲げました。

換気でCO2が逃げ増収しにくい

ハウスの換気をすると、与えたCO2が外へ逃げ、濃度を保つのが難しくなります。光合成の原料であるCO2を人為的に与える方法は、CO2施用(シーオーツーせよう)と呼ばれます。濃度を保てないと、光合成が進みにくく、増収しにくい状態です。

他にも、害虫の侵入、農薬の使用、温度や湿度の管理、といった課題があるといわれています。

FrontJournalの解説
  • CO2施用光合成を促進するために、CO2を人為的に作物へ与えることである。ハウス内のCO2濃度を高めて、収量の増加をねらう栽培技術を指す。

PLANT CASEの強み|「CO2の流出」を解決

PLANT CASEが「CO2の流出」を解決|現在は、光合成の計測で環境制御を提供|高い気密性で・CO2濃度を保持/光合成を計測し・環境を制御

高い気密性でCO2濃度を保つ

環境省の事業は、パイプハウスの気密性の向上と、換気の高精度な制御を、開発の目標に掲げました。

同社のセミクローズド・パイプハウスは、高い気密性と、換気の高精度な制御を組み合わせたパイプハウスです。循環と空調により、温度や湿度、CO2濃度を管理しやすい栽培空間に整えます。もとになった環境省プロジェクトの技術開発には、空気を循環させる換気・循環空調ユニットに加え、電気ヒートポンプによる冷暖房も含まれる内容です。気密性が高いほど、ハウスの内外で空気の出入りが少なくなり、与えたCO2が外へ逃げにくく、光合成に効率よく使えるようになる仕組みです。その結果、増収が見込めます。

光合成を計測して環境を制御

環境省の事業は、作物全体の光合成速度などの植物自身の情報を計測し、環境制御に使う方式も、開発の目標に掲げました。

製品は、SPA(Speaking Plant Approach)の考え方を取り入れています。SPAは、植物の生体情報に基づいて、栽培環境を最適に制御する方式です。製品には、ハウス全体の光合成速度をリアルタイムで計測する機能が標準で付いており、生育状態を見える化することも可能です。計測した結果をもとにハウス内の環境を制御し、収量の向上が見込めます。さらにハウス内の気圧を制御して害虫の侵入を抑え、農薬の使用量を減らすことが目標です。

FrontJournalの解説
  • 気密性ハウスなどの内部と外部の間で、空気が出入りしにくい度合いのことである。気密性が高いほど、与えたCO2が外へ逃げにくい。

セミクローズド温室の未来|放置ハウスの再生と焼却施設CO2の活用へ

セミクローズド温室が変える未来|増収の達成から、放置ハウスの再生へ|増収と資源効率の・向上を達成/放置ハウスを・改修して再生/焼却施設CO2の・農業利用を研究

増収と資源効率の向上を達成

「SPAセミクローズド・パイプハウス」のもとになった環境省のプロジェクトでは、当初目標の従来比20%以上の増収を達成したと公表されています。この増収は、一般的なトマトの栽植密度(1平方メートルあたりの株数)である2.5株を用いた計算値です。光と水の利用効率は、従来比で10%向上したとされています。プロジェクトでは、導入コストを従来比1.2倍以内に収める仕様も確定したとされています。

放置ハウスの再生

環境省プロジェクトの成果概要には、既存のハウスを改修して再生するリノベーション(既存の施設を改修して再利用すること)が示されています。リノベーションの利点の1つは、工期の短縮です。対象は、未利用や放置されたハウスです。リノベーションにより、コストを50%超削減できる試算も示されています。

焼却施設CO2の農業利用を研究

豊橋技術科学大学とマルシメ株式会社は、焼却施設のCO2を作物の栽培に生かす共同研究を行っています。研究では、焼却施設が出すCO2と熱を、「SPAセミクローズド電化温室」(電気ヒートポンプ(電気で熱を移して暖める機器)で冷暖房する、環境省プロジェクトで開発された温室)に直接活用します。研究期間は2025年4月から2027年3月までで、設置場所は豊橋市の株式会社マルサワ内です。この研究は、収穫量の増加とコスト低減を両立し、農業収益の向上を目指します。

会社概要|PLANT CASEの事業内容・設立背景

大学の研究成果を事業化

PLANT CASEは、豊橋技術科学大学の研究成果をもとにした企業で、2025年3月に設立されました。同社は、経済産業省の大学発ベンチャーデータベースに掲載されています。代表取締役は稲葉一惠で、資本金は95万円です。製品の「SPAセミクローズド・パイプハウス」は、環境省のプロジェクトの成果をもとにした製品です。

環境省事業で開発された温室

環境省の「地域共創・セクター横断型カーボンニュートラル技術開発・実証事業」では、テーマ枠「気候変動×農業」で、「スピーキング・プラント・アプローチ型環境制御を組み込んだセミクローズド・電化パイプハウスの開発」が実施されました。実施年度は令和4〜6年度(2022〜2024年度)で、代表事業者は豊橋技術科学大学です。共同実施者には、渡辺パイプ、愛媛大学、協和、凸版印刷、PLANT DATAが名を連ねます。

資材の製造・販売と研究

PLANT CASEの事業は、農業生産に必要な資材の製造と販売、学術研究、経営コンサルタント、技術コンサルタントです。拠点は、公式サイトの会社概要によると、愛知県豊橋市の豊橋サイエンスコア内に置かれています。Gビズインフォに登録された所在地は、同市豊清町です。

会社情報

会社名PLANT CASE株式会社
所在地愛知県豊橋市豊清町字茶屋ノ下2番地558(Gビズインフォ登録)。公式サイトの会社概要では、愛知県豊橋市西幸町字浜池333-9 豊橋サイエンスコア109(サードオフィス内)
設立2025年3月
代表代表取締役 稲葉 一惠
資本金95万円
事業農業生産に必要な資材の製造、販売。学術研究。経営コンサルタント。技術コンサルタント。製品は「SPAセミクローズド・パイプハウス」
技術領域セミクローズド温室。環境制御。CO2施用
連携豊橋技術科学大学(経済産業省 大学発ベンチャーデータベースの関連大学)
URLhttps://plantcase.org/plantcase-v1

編集後記|FrontJournal編集部より

施設園芸では、収量を高めることと、化石燃料由来のCO2を減らすことの両立が求められます。セミクローズド温室は、ハウスの気密性を高めてCO2濃度を保つ方式です。PLANT CASEは、その仕組みをパイプハウスの製品にしています。

特徴は、ハウス全体の光合成速度をリアルタイムで計測する機能を備える点です。計測値は、環境制御の判断材料になります。増収と化石燃料由来CO2の削減を両立させる手段として、今後の導入の広がりが期待されます。

施設園芸の分野には、植物工場向けの授粉・収穫ロボットを開発するHarvestXなどもあります。PLANT CASEが、環境制御の側から収量と化石燃料由来CO2の削減の両立を支える存在になれるのか、今後も注目していきます。

FrontJournal編集部

出典:環境省 地域共創・セクター横断型カーボンニュートラル技術開発・実証事業 成果概要

出典:豊橋技術科学大学 プレスリリース(2026年2月12日)

出典:PLANT CASE株式会社 公式サイト

出典:経済産業省 大学発ベンチャーデータベース2026

出典:「Gビズインフォ」(経済産業省)(2026年9月28日に利用)を加工して作成

本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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