パワーレーザー「宇宙デブリ除去」を研究

株式会社パワーレーザー

パワーレーザー「宇宙デブリ除去」を研究|研究領域=地上のレーザーで・小型デブリを除去/強み=対象の動きに合わせ・照射を調整/将来性=将来は出力を高め・軌道修正も視野

企業紹介|株式会社パワーレーザーとは?

地上から照射するレーザーで、軌道上の小さな宇宙ゴミを監視し、取り除く技術として研究が進む「宇宙デブリ除去」。株式会社パワーレーザーは、その研究開発を進める大阪大学発のディープテック企業です。小型デブリの除去技術と監視技術の2件が、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の宇宙戦略基金に採択されています。

キーワード「宇宙デブリ除去」

「宇宙デブリ除去」は、地球の周りの軌道に残る不要な人工物(宇宙デブリ)を取り除き、衝突の危険を減らす取り組みです。特徴は、地上に置いたレーザーの照射で、小型のデブリに対処しようとする点にあります。除去と監視のどちらも開発の途中にあり、実用化すれば衛星や宇宙ステーションを守る場面で役立てられます。

市場課題|小型デブリへの対処手段の不足

現状の宇宙デブリ対策の課題|現状は、小型デブリへの対処手段が限られる|危険なデブリの大半は・1〜10cmの小型/捕獲型は大きな・物体が中心

危険なデブリの大半は小型

衛星や国際宇宙ステーション(ISS)にとって危険な宇宙デブリのうち、約90%は1〜10cmの小型デブリだとされています。小型デブリは数が多く、1cm級の物体を地上から捉えるには、細かく見分ける性能(分解能)が必要です。見つけられないデブリは、衝突を避ける判断の材料にできません。

捕獲型は大きな物体が中心

デブリの除去では、ロボットアームなどで捕らえる方式が、大きな物体を対象に開発されています。ClearSpaceのように、ロボットアームで捕らえた物体を軌道から外す計画もあります。小型デブリは個数が多く、1つずつ捕らえる方法は手間の大きい対処です。

他にも、デブリの位置の把握、衝突回避の判断、軌道上の混雑、といった課題があるといわれています。

FrontJournalの解説
  • 宇宙デブリ役目を終えた人工衛星やロケットの破片など、地球の周りの軌道に残る不要な人工物である。秒速数kmで周回するため、小さな破片でも衛星に衝突すれば損傷を与える。

パワーレーザーの強み|地上レーザーで除去と監視

パワーレーザーが「宇宙デブリ除去」を研究|現在は、地上レーザーでの除去と監視を研究|適応型の制御で・小型デブリを除去/地上から・1cm級デブリを監視

適応型の制御でデブリを除去

従来のデブリ対策は、衝突を避ける運用や、大きな物体の捕獲が中心で、小型デブリを減らす手段は現在も限られています。

パワーレーザーは、地上から照射する高繰り返しのパワーレーザーで、1〜10cmの小型デブリの軌道をレーザーで修正し、除去する技術を開発しています。高繰り返しとは、レーザーを短い間隔で何度も照射できる性質のことです。その技術の核は、デブリの動きに合わせて照射を調整する適応型の予測制御です。高繰り返しの光源と制御を組み合わせた装置の開発が進んでいます。実現すれば、衛星の運用者は、小型デブリへの対処を地上から実行できるようになります。

1cm級デブリを地上から監視

小型デブリは軌道上を高速で動くため、地上からの観測では位置や形を詳しく捉えにくい面があります。

パワーレーザーは、追尾型の地上レーザーでデブリを監視する技術も開発しています。その仕組みは、レーザーの照射、位置と形のリアルタイムの測定、軌道の予測の3つで構成されます。対象は、高度約600kmにある1cm以上のデブリです。レーザーの焦点を自動で制御する技術や、位置と形を細かく捉える超解像の手法を組み合わせ、軌道の予測にはAIを使います。得られた情報は、衛星の運用者が衝突を避ける判断に使えるようになると期待されます。

FrontJournalの解説
  • 適応型の予測制御対象の動きを測って先を予測し、その予測に合わせて動作の指示を自動で調整する制御の方式である。動く対象へレーザーを当て続ける場面で使われる。

宇宙デブリ除去の未来|地上から広がる安全な宇宙利用

地上レーザーが変える未来|デブリ除去から広がる安全な宇宙利用|JAXAの基金で・2件の開発に採択/核融合用の・光源の開発を進める/安全な宇宙利用の・実現を目指す

JAXAの基金で2件が採択

同社の2件の開発が、宇宙戦略基金(第二期)の「空間自在利用の実現に向けた技術」に採択されました。宇宙戦略基金は、宇宙分野の技術開発を支援する、JAXAの基金です。2件とも代表は山本和久で、1件は軌道上物体除去技術、もう1件は宇宙状況把握技術の課題です。実現すれば、小型デブリの除去と監視を、地上の設備から進められるようになります。

光源の開発と応用検証を進める

パワーレーザーは、小型デブリを対象とした宇宙状況把握(SSA)事業と、レーザーフュージョン(レーザーで核融合反応を起こす方式)用のパワーレーザー光源の開発を進めています。2026年9月2日には、第三者割当増資などで総額約12億円を調達したと発表しました。光源は、1パルス当たりのエネルギーが大きく高繰り返しで動作できる点が特徴です。応用検証が進めば、レーザーフュージョンなど高出力レーザーを使う分野で、使える光源の選択肢が広がります。

安全な宇宙利用を目指す

パワーレーザーは、地上のレーザーで小型デブリに対処する仕組みの、実用化を目指しています。除去の側では、地上レーザー除去システムのプロトタイプ設計が、次の目標です。監視の側では、将来的にレーザーの出力を高め、デブリの軌道を修正する地上からの除去も視野に入れています。実現すれば、衛星に支えられる通信や観測の安全性を、地上の設備から守れるようになります。

会社概要|パワーレーザーの事業内容・設立背景

大阪大学発の研究成果ベンチャー

パワーレーザーは、2024年5月20日に設立されました。代表取締役は山本和久です。同社は、大阪大学レーザー科学研究所発のスタートアップです。

大阪大学内に置く所在地

パワーレーザーの所在地は、大阪大学テクノアライアンス棟C棟です。資本金は6億5,498万円余りで、設立から2年余りの企業です。英文名は Power Laser Technology Inc. となっています。

デブリ除去の先にも広がる応用

公式サイトの技術のページには、応用先として、宇宙デブリ除去のほか、全天フラッシュライダー、太陽光励起レーザー、月面基地の建設、レーザー給電、リモートセンシング、レーザーフュージョンなどが挙がっています。社員数は26名です。

会社情報

会社名株式会社パワーレーザー(英文名 Power Laser Technology Inc.)
所在地大阪府吹田市山田丘2番8号 大阪大学テクノアライアンス棟C棟803
設立2024年5月20日
代表代表取締役 山本 和久
資本金654,981,593円
事業パワーレーザーとそのシステムの開発
技術領域宇宙デブリ除去。宇宙状況把握。レーザーフュージョン用の光源
採択JAXA 宇宙戦略基金(第二期)「空間自在利用の実現に向けた技術」に2件が採択
URLhttps://powerlaser.co.jp/

編集後記|FrontJournal編集部より

衛星を使う通信や観測が増えるほど、軌道上の安全をどう守るかが問われます。1〜10cmの小さなデブリは、見つけるのも取り除くのも難しい対象です。パワーレーザーは、その両方に、地上のレーザーで取り組む企業です。

特徴は、除去と監視の両方を、地上のレーザーを使う技術で進めている点にあります。JAXAの基金に2件が採択され、2026年9月に約12億円を調達しました。研究の段階から、設計と検証の段階へ進む時期にあるといえます。

宇宙デブリの除去では、ロボットアームで捕らえる方式を研究するスイスのClearSpaceなど、別の手段を探る企業もあります。地上から小型デブリに対処する取り組みが、どこまで実用に近づくのか、今後も注目していきます。

FrontJournal編集部

出典:「Gビズインフォ」(経済産業省)(2026年9月28日に利用)を加工して作成

本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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