ヴィジライズ「眠気検知」を開発|カメラの前に座る人物のイラストと社名

株式会社ヴィジライズ

ヴィジライズ「眠気検知」を開発|左は目とメーターの絵で、まぶたの動きから覚醒度を推定する。中央はカメラ付きパソコンを使う人の絵で、カメラ映像から非接触で計測する。右はスマートフォン3台とクラウドの絵で、API・SDKで各社に提供する

企業紹介|株式会社ヴィジライズとは?

運転中や作業中の眠気を、カメラ映像から捉える「眠気検知」。株式会社ヴィジライズは、その社会実装を目指す、筑波大学発のディープテック企業です。カメラに映るまぶたの動きから、覚醒度(注意を保ち、すばやく反応できる状態)を推定する技術を開発しています。

キーワード「眠気検知」

「眠気検知」とは、運転者や作業者の眠気の程度を機器で自動的に見つけ、対策につなげる技術を指します。同社は、まぶたの動きから反応時間を推定し、居眠り直前に限らない覚醒度の低下も連続した値で捉えます。同社はこの推定をAPI・SDKとして提供し、運転時の眠気検知装置では試作機を作成済みです。

市場課題|眠気は本人も気づきにくく、運転中に測りにくい

現状の眠気検知の課題|現状は、眠気に気づけず標準検査も使いにくい。左は眠そうな運転者とハンドルの絵で、眠気は本人も気づきにくい。右はパソコンとストップウォッチの絵で、標準検査の精神運動覚醒度検査(PVT)は運転中に使いにくい

眠気は本人も気づきにくい

眠気は本人も気づかないうちに進み、運転や作業の安全を脅かします。覚醒度の低下は、居眠りの一歩手前の段階から始まっている点が問題です。このままでは、危険な状態に至る前に対策を打ちにくくなります。

標準検査は運転中に使いにくい

覚醒度の国際的な標準検査であるPVT(精神運動覚醒度検査)は、運転や作業をしながら測れません。PVTは反応時間を測る検査で、1回に数分から10分ほどかかります。このままでは、覚醒度の確認が運転の前後に限られ、走行中の変化を見逃したままになります。

他にも、装着の不快感や充電切れが負担になるウェアラブル端末、居眠り直前の状態に偏る検知方式、仮眠の効果を客観的に示す指標の乏しさ、といった課題があるといわれています。

FrontJournalの解説
  • 覚醒度注意を保ち、外からの刺激にすばやく反応できる状態の度合いを指す。眠気が強まると低下して反応が遅れるため、運転や作業の安全に直結する。

ヴィジライズの強み|「眠気検知」を開発

ヴィジライズが「眠気検知」を開発|現在は、覚醒度の推定を提供。左は目と覚醒度のグラフの絵で、まぶたの動きで覚醒度を連続推定する。右は人物とカメラの絵で、非接触で事前調整が不要

まぶたの動きで覚醒度を連続推定

従来の眠気検知の多くは、目を閉じている時間の割合(PERCLOS)にもとづき、居眠り直前の状態を見つける方法でした。

同社は、カメラで撮影した顔の映像から、目の開き具合(開瞼度)やまばたきなどの特徴を解析します。その特徴から、PVTの反応時間に相当する覚醒度を、連続した値で推定する方式です。撮影に使うのは、車載カメラやWebカメラ、スマートフォンのカメラなどです。軽度から中等度の低下も捉えられるため、危険な状態に至る前の予兆の段階で、運転者への声かけや休憩の提案が可能になります。客観的な数値で眠気を確かめられるため、自己申告だけに頼らない安全管理ができます。

非接触で事前調整が不要

ウェアラブル端末や電極を身につけて測る方法は、装着の不快感や充電切れが、日常の運転や業務に組み込む際の負担になります。

同社の技術は、カメラに顔が映っていれば測れるため、装着する機器が不要です。個人ごとの事前調整(キャリブレーション)も必要とせず、初めての利用者にも推定が機能するよう設計されていると、同社は説明しています。端末で顔の特徴点だけを抽出し、クラウドのAPI(ソフトウェア同士をつなぐ仕組み)には特徴点のみを送る構成で、顔画像そのものは送信しません。顔の特徴点データは、同社が解析後にすみやかに削除し、保持しないとしています。

FrontJournalの解説
  • 開瞼度目の開き具合を数値で表した指標を指す。まばたきや眠気によって値が変わるため、覚醒度を推定する手がかりになる。

眠気検知の未来|仮眠支援から運転・職場まで

眠気検知が変える未来|仮眠支援から運転・職場まで。左はスマートフォンと枕の絵で、仮眠支援の覚醒度計測に採用。中央は警報ベルを載せた車の絵で、眠気警報の搭載義務化が進む。右は机の上のパソコンと本、机の下のゲームコントローラーの絵で、運転以外の覚醒度管理を目指す

仮眠支援の覚醒度計測に採用

同社の覚醒度推定技術は、京セラのAI仮眠起床システム「sNAPout」(スナップアウト)の新機能に採用されています。この機能は、スマートフォンのカメラで約1分間顔を撮影し、まぶたの開閉動作などから覚醒度を推定する仕組みです。覚醒度の推定値が一定の基準を下回ると仮眠が推奨され、仮眠中はイヤフォン型デバイスとAI解析が最適なタイミングでの起床を促します。仮眠の前後に測ることで、眠気がどの程度軽減したかを数値で比べられます。

眠気警報の搭載義務化が進む

国土交通省の発表によると、眠気警報装置と脇見警報装置(ドライバーモニタリングシステム)の備え付けが、保安基準の改正で義務づけられました。適用時期は、新型車が2031年9月、すでに生産中の型式の車(継続生産車)が2033年9月です。国土交通省は、これらの装置で居眠り運転や脇見運転による事故の未然防止が期待されるとしています。同社は、運転時の眠気検知と覚醒度を管理するシステムの開発を進め、車載の赤外線カメラと専用の装置でドライバーの覚醒度を推定するプロトタイプを作成しています。

運転以外の覚醒度管理を目指す

同社は、覚醒度の計測を運輸に加え、睡眠改善や職場、学習、eスポーツなどへ広げることを目指しています。提供するのは、APIとSDK(開発用の部品一式)です。製品に組み込めるため、各社のアプリが覚醒度を機能として持てるようになります。睡眠の改善効果の確認や、乗務前後の覚醒度の確認といった使い方が想定されています。

会社概要|筑波大学発のスタートアップ ヴィジライズ

筑波大学発のスタートアップ

同社は、2025年8月に設立された、筑波大学発のスタートアップです。2025年12月には、筑波大学発ベンチャーの称号を取得しています。所在地は茨城県つくば市で、代表取締役社長 兼 CEOは阿部高志氏です。阿部氏は筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構の特任准教授で、睡眠科学を専門に覚醒度の評価研究に取り組んできました。取締役CTOは野口宇宙氏、取締役COOは小髙大祐氏です。

採択・連携

2025年7月に、阿部氏の提案がNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の「ディープテック分野での人材発掘・起業家育成事業(NEP)躍進コース」(躍進500)へ採択されました。2026年6月には総務省の「ICTスタートアップリーグ」(2026年度)に、同年7月には、NEDOの同事業の躍進3000にも採択されています。2026年3月には京セラのAI仮眠起床システム「sNAPout」に技術が採用され、同年8月24日にはNEDO主催の「NEP Pitch -2025躍進ファイナル-」に登壇しました。

事業内容と資本金

事業内容は、覚醒度評価とその応用技術を主体とするソフトウェアとハードウェアの研究、開発、製造、販売、保守です。製品として、クラウドAPI「VigiRise Cloud」と、iOS向けSDK「VigiRiseKit」を展開しています。資本金は500万円となっています。

会社情報

会社名株式会社ヴィジライズ
所在地茨城県つくば市天王台1-1-1 筑波大学 産学リエゾン共同研究(ILC)棟 302号室
設立2025年8月13日
代表代表取締役社長 兼 CEO 阿部 高志
資本金500万円
事業覚醒度評価とその応用技術を主体とするソフトウェア及びハードウェアの研究、開発、製造、販売、保守
技術領域覚醒度推定、眠気検知、ドライバーモニタリング
連携京セラ(AI仮眠起床システム「sNAPout」の覚醒度計測機能に技術が採用)
採択NEDO NEP躍進コース 躍進500(2025年7月)・躍進3000(2026年7月)/総務省 ICTスタートアップリーグ(2026年度)
URLhttps://vigirise.co.jp/

編集後記|FrontJournal編集部より

眠気は、本人が気づく前から進み、気づいたときには運転や作業に影響しています。ヴィジライズの取り組みは、その手前の段階を、カメラ映像から数値にする点が特徴です。数値で示されることで、対策を打つ時期の目安が明確になります。

車に眠気警報が載る流れの中で、居眠り直前だけでなく軽度の低下まで捉える考え方は、警報の前段を支える価値だと考えます。仮眠支援や職場、学習へ広げる構想も、導入先が増えるほど試されると考えます。眠気を我慢するのでなく、数値を見て先に休む。そうした習慣が、運転席にも職場にも広がる日を楽しみにしています。

FrontJournal編集部

出典:「Gビズインフォ」(経済産業省)(2026年9月28日に利用)を加工して作成

本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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