2026.10.20 │ 東京農工大学ら │ 元発表:2026.10.19

東京農工大ら、強害雑草タイヌビエの形質転換系を世界で初めて確立

ニュース紹介

「世界初、稲作の強害雑草タイヌビエの形質転換系を確立~雑草自身で遺伝子の働きを直接証明へ~」

東京農工大学大学院農学研究院の岩上哲史准教授、宮崎大学の権藤崇裕助教、秋田県立大学の保田謙太郎准教授らの研究グループは、水田強害雑草のタイヌビエで、遺伝子導入と植物体再生を可能にする形質転換系を世界で初めて確立した。これまで主要な農耕地雑草の遺伝子解析は、実験が容易なモデル植物に遺伝子を導入して間接的に調べるしかなく、雑草本来の生理・代謝機能を正確に評価できないことが壁になっていた。今回の技術により、雑草自身で遺伝子の働きを直接解明できるようになり、将来的な新規除草剤の開発や持続可能な農地管理への貢献が期待されるという。

出典:東京農工大学・宮崎大学・秋田県立大学・科学技術振興機構(JST) 2026年10月19日 発表(掲載誌:Plant Cell Reports/2026年10月14日付/DOI: 10.1007/s00299-026-03978-4/JST戦略的創造研究推進事業 さきがけの支援)
https://www.jst.go.jp/pr/announce/20261019/index.html

FrontJournalの解説

この研究分野について

除草剤抵抗性雑草は、もともと除草剤が効いていた雑草集団の中で、通常なら枯れる量を散布しても生き残る性質を獲得した雑草です。従来有効だった除草剤での防除が難しくなるため、農業上の大きな問題になっています。

DNA配列の解読技術の進歩で、抵抗性の原因とみられる遺伝子や変異が次々と見つかっています。ただし、それらが本当に原因かを確かめるには、雑草自身に遺伝子を導入して調べる必要があり、これが技術的に難しいことが課題でした。

①種子由来のカルスから、遺伝子導入と植物体の再生までを構築した

プレスリリースによると、研究グループはタイヌビエの種子から誘導した複数種類のカルス(未分化な細胞のかたまり)で、遺伝子の導入効率と植物体への再生能力を比べ、形質転換に適したカルスを見いだしました。そのうえで、DNAを付着させた微小な金属粒子を植物細胞へ打ち込む「パーティクルガン法」で遺伝子を導入し、健全な植物体へ再生させる一連の技術体系を構築したとしています。

②導入した遺伝子が再生した植物体で働くことを確認した

遺伝子が働いているかを確かめる目印のレポーター遺伝子(GUS遺伝子)と、遺伝子が導入された細胞を選び出す薬剤選抜マーカー遺伝子(bar遺伝子)をタイヌビエに導入しました。再生した植物体で外来遺伝子が組み込まれ、正常に発現していることを確認できたと説明しています。今後は、除草剤抵抗性や環境適応の鍵となる遺伝子をタイヌビエ自身に導入または破壊し、機能を直接証明することで、抵抗性雑草の発生を抑える新たな雑草管理技術や次世代型除草剤の開発につなげるとしています。

編集部からひとこと

今回の成果は、雑草の遺伝子の働きを、モデル植物を介さず雑草自身で確かめる入口を開いたものです。導入したのは目印となる遺伝子で、除草剤抵抗性そのものの遺伝子の機能解明はこれからの段階です。新たな除草剤や雑草管理技術の実用化の時期は、発表では触れられていません。抵抗性の原因遺伝子をタイヌビエで直接検証した成果が、今後どう出てくるかが注目点です。

FrontJournal編集部

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本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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