株式会社Quastella|細胞の状態を画像で数値化する名古屋大学発のバイオベンチャー

株式会社Quastella(クオステラ)

Quastella「細胞画像解析」を開発|画像から細胞の状態を数値化/記録をつなげて比較できる/再生医療の品質管理を支える

企業紹介|Quastellaとは?

再生医療や細胞製造の品質を支える技術として、注目を集める「細胞画像解析」。Quastellaは、その社会実装を目指す、名古屋大学発のバイオ系ディープテック企業です。顕微鏡画像から細胞の状態を数値化する品質管理システム「Cytometa」を、再生医療企業や細胞培養加工施設などに提供しています。

キーワード「細胞画像解析」

細胞画像解析は、顕微鏡で撮影した細胞の画像から、増え具合や形の変化を数値で読み取る技術です。「Cytometa」は、染色(細胞に色素をつけること)をしない画像から状態を読み取ります。細胞を扱う再生医療や創薬の現場で、品質のそろった細胞づくりに役立ちます。

市場課題|細胞培養の判断は人により異なる

現状の細胞培養の課題|現状は、培養の判断が個人でばらつく/培養判断が個人でばらつく/記録が別々に散らばる

培養判断が個人でばらつく

細胞の培養では、状態の見極めが担当者の経験に左右され、判断が個人でばらつくことが課題です。培養の現場には、細胞の見た目から増え方や状態を判断する場面があります。判断の基準が人により異なると、同じ手順でも、ロットごとの細胞の品質に差が出やすくなります。

記録が別々に散らばる

培養の画像、条件、作業記録、品質データが別々の場所に保存され、つなげて比べられないことも課題です。紙の実験ノートやExcelに記録が分かれると、条件ごとやロットごとの違いを見比べにくくなります。判断の理由を共有して後から追う手段がないままでは、培養方法を別の施設へ引き継ぐ技術移管の確認でも、比較の材料が足りません。

他にも、培養の途中で品質を管理する指標を探す手間、紙やExcelの既存データを移す作業、といった課題があるといわれています。

FrontJournalの解説
  • ロット同じ条件でまとめて作った製品や細胞の1まとまりを指す。ロットごとに品質を比べることで、製造のばらつきを調べられる。

Quastellaの強み|「細胞画像解析」を開発

Quastellaが「細胞画像解析」を開発|今後は、同じ物差しでの培養判断が可能に/画像から細胞の状態を数値化/記録をつなげて比較できる

画像から細胞の状態を数値化

従来は、細胞の状態を担当者が目で見て判断するため、基準が人により異なっていました。

同社の「Cytometa」は、アップロードした顕微鏡画像から、コンフルエンシー(培養皿の底面を細胞が覆う割合)を数値にするシステムです。日ごとの値とその変化を並べて表示し、標準サンプルとの比較は、正常・警戒・異常の表示で示す仕様です。判断の根拠が数値で残るため、担当者が替わっても、同じ物差しで状態を確認しやすくなります。個人の経験で行っていた見極めを、チーム全体で同じ基準を確認できるようになります。

記録をつなげて比較できる

従来は、画像や条件、作業記録が別々に保存され、条件やロットをまたいだ比較が難しい状況でした。

「Cytometa」は、細胞画像、培養条件、作業記録、品質データを整理して結びつけ、条件別・ロット別・時系列で比べられるようにするシステムです。目標の細胞数と回収した細胞数も記録でき、評価の作成・編集・削除の履歴も、あとから追えます。紙の実験ノートやExcel、画像といった既存のデータも、整理してデータ化し、登録する支援の対象です。記録がつながることで、条件の違いを読み取り、判断の理由を後から確認できるようになります。

FrontJournalの解説
  • コンフルエンシー培養皿の底面のうち、細胞に覆われている面積の割合を指す。細胞がどれだけ増えたかを示す目安で、培養の進み具合の確認に使われる。

細胞培養の品質管理の未来|再生医療と細胞製造への応用

細胞培養の品質管理が変える未来|再生医療の品質管理が広がる/再生医療の品質管理を支える/受託製造の現場へ広げる/細胞品質の標準づくりを目指す

再生医療の品質管理を支える

細胞の状態を数値で評価できれば、細胞製造の品質をそろえやすくなります。「Cytometa」は2024年8月に公開され、再生医療企業、細胞培養加工施設(医療用の細胞を培養・加工する施設)などが導入先です。オリヅルセラピューティクスの画像解析ソリューション導入の事例では、iPS細胞(さまざまな組織に育つ人工の細胞)について、培養1日目の画像の指標が、後に測るフローサイトメトリー(細胞を1個ずつ調べる検査)の値と相関(一方が変わると、もう一方も変わる関係)することが示されています。培養の初期から状態を数値で押さえられる事例です。

受託製造の現場へ広げる

今後は、医薬品の開発と製造を請け負うCDMO(開発製造受託機関)の現場へ広げる方針といわれています。2026年6月には、Go-Tech事業(成長型中小企業等研究開発支援事業)の令和8年度分に、細胞製造技能の評価AIシステムの研究開発計画が採択されました。画像で細胞の状態を評価するAIと、作業動画で手技を評価するAIを扱う内容です。作業そのものも評価できれば、製造の標準化に向けた材料が増えます。

細胞品質の標準づくりを目指す

同社は、培養データで細胞の状態を測り、品質管理の標準化を目指しています。「細胞を、すべての人に。」をミッションに掲げ、ビジョンには「細胞品質のあたりまえを創り、ミライの産業を拓く」を置いています。社名は、品質を意味するQualityと、ラテン語で星を意味するStellaを組み合わせた造語です。

会社概要|Quastellaの事業内容・設立背景

名大の20年の研究を事業化

Quastellaは、2019年12月に設立された、愛知県名古屋市のバイオ系ベンチャーです。名古屋大学大学院創薬科学研究科の加藤竜司准教授の研究室で続けた20年にわたる研究成果を、事業として展開するために創業しました。2023年10月には、名古屋大学発ベンチャーの称号を受けています。事業は、データ解析、プラットフォーム開発、プラットフォームに関するコンサルティングです。

採択と受賞の実績

2023年6月に、Go-Tech事業に、株式会社アステックとともに採択されました。2026年3月には、第16回(2024年度)JAACT技術賞(日本動物細胞工学会の賞)を、細胞製造安定化のための画像情報解析を用いた品質管理システムの開発で受賞しています。同月には、J-Startup CENTRALの第6期にも選ばれました。

シード調達と増資を実施

2023年8月に、シード資金(会社の立ち上げ期に入れる資金)の調達を実施しました。出資者は、SSS Capitalとインキュベイトファンドです。Dual Bridge Capitalが主導し、NOBUNAGAキャピタルビレッジが参加する第三者割当増資(特定の投資家に新株を発行する方法)を実施しています。

会社情報

会社名株式会社Quastella(クオステラ)
所在地愛知県名古屋市西区那古野2丁目14番1号 なごのキャンパス1階
設立2019年12月
事業データ解析、プラットフォーム開発、プラットフォームに関するコンサルティング(品質管理システム「Cytometa」の提供)
技術領域細胞画像解析、細胞培養、品質管理、再生医療
連携名古屋大学
URLhttps://quastella.com/

編集後記|FrontJournal編集部より

細胞を使う医療や創薬では、培養の出来が最終的な品質を左右します。その見極めを、人の目から数値へ移そうとする発想が目を引きます。経験を共有できる形に変える点が、この分野の面白さです。

同社の「Cytometa」は、顕微鏡画像から細胞の状態を数値で示す点と、施設全体で同じ基準を使える点が特徴です。画像と記録を結びつけて比べられるため、培養の振り返りにも使えます。熟練者の勘に加えて、数値で品質を確かめる選択肢が広がっています。

細胞をすべての人へ届ける道のりには、安定した品質の裏づけが欠かせません。培養の判断を施設の基準へ変える取り組みは、再生医療の品質管理を支える土台になります。同社の今後の事業の展開が注目されます。

FrontJournal編集部

出典:経済産業省 大学発ベンチャーデータベース2026

出典:「Gビズインフォ」(経済産業省)(2026年9月28日に利用)を加工して作成

本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

この企業の方へ

内容に誤り・更新が必要な点があれば、可能な限り速やかに修正します。お気づきの点はお問い合わせまでご連絡ください。

掲載情報の修正・写真の追加・更新はこちら

この企業について、
もっと深く知りたい方へ

パートナーシップ・お問い合わせはこちらから。