2026.08.31 東京大学 元発表:2026.08.28

東京大学ら、創薬標的GPCRの構造を高分解能で解く手法を開発

ニュース紹介

「薬剤が結合した受容体の立体構造を迅速かつ高精度に決定する手法を開発」

東京大学大学院総合文化研究科の小島朝翔大学院生、東京大学先端科学技術研究センターの加藤英明教授、川上耕季特任准教授、小林和弘特任助教、奈良先端科学技術大学院大学の小林直也助教らによる研究グループは、Gたんぱく質共役型受容体(GPCR)の高分解能構造を効率的に決定する、汎用的な構造解析パイプラインを開発しました。

本研究では、たんぱく質の立体構造予測技術を活用して有望な実験条件を選定するプログラム「NOAH」と、人工設計たんぱく質「ARK1」を組み合わせました。GPCRは小さく、クライオ電子顕微鏡の画像中で向きや位置を判別しにくいため、従来は高分解能での解析が困難でした。

本パイプラインにより、複数のGPCRについて薬剤が結合した状態の構造を、水分子やイオンを含む結合ポケットの詳細まで高分解能で決定することに成功しています。得られた構造からは、薬剤が受容体のどこに結合し、どのように働きを制御するかを理解する知見が得られました。本研究成果は2026年8月28日付で科学誌『Nature Structural & Molecular Biology』に掲載されました。

出典:科学技術振興機構(JST) 2026年8月28日 プレスリリース
https://www.jst.go.jp/pr/announce/20260828/index.html

FrontJournalの解説

この研究分野について

Gたんぱく質共役型受容体GPCR)は、細胞の表面にあって外からの信号を受け取るたんぱく質です。多くの医薬品がこの受容体を標的にしており、創薬の中心に位置しています。

薬をより効くように改良するには、薬が受容体のどこにどう結合しているかを立体的に知る必要があります。そのための代表的な手法がクライオ電子顕微鏡です。研究者が目指しているのは、この構造をより速く、より細かく決めることです。

①GPCRは小さく向きを判別しにくい

クライオ電子顕微鏡では、多数の粒子の画像を集めて向きをそろえ、立体構造を組み立てます。

ところがGPCRは分子が小さいため、画像の中で向きや位置を判別しにくいという難しさがあります。そのため、従来は高分解能での解析が困難でした。

②AIで条件を選び人工たんぱく質で目印を付けた

研究グループは、立体構造予測技術を使って有望な実験条件を選ぶプログラムNOAHと、人工設計たんぱく質ARK1を組み合わせた解析の流れを作りました。

これにより、複数のGPCRについて薬剤が結合した状態の構造を、水分子やイオンを含む結合ポケットの細部まで高分解能で決定しています。薬剤がどこに結合し、どのように受容体の働きを制御するかを理解する知見が得られました。

編集部からひとこと

注目したいのは、装置そのものではなく手前の工程を変えた点です。AI実験条件を絞り込み、人工のたんぱく質を目印として付けることで、同じ顕微鏡でも見える細かさが変わります。薬剤候補を比べて改良する構造ベース創薬では、1つの構造を決める速さがそのまま開発の速さに効いてきます。

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本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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