2026.08.30
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神戸大学・理化学研究所
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元発表:2026.08.27
神戸大学ら、RASがんの増殖信号を別の場所から止める化合物を開発
ニュース紹介
「RASがんの増殖シグナルを“遠隔操作”で遮断する新戦略」
神戸大学大学院医学研究科(当時)の島扶美教授らの研究グループは、同理学研究科の田村厚夫准教授、同医学系研究科の青井貴之教授、理化学研究所環境資源科学研究センターの小山裕雄ユニットリーダー、同研究所生命医科学研究センターの本間光貴チームディレクター、高輝度光科学研究センター(当時)の熊坂崇主席研究員らのグループとの共同研究により、がんの増殖に関わるRASシグナルを新たな仕組みで阻害する低分子化合物を開発しました。
多くのがんでは、RASタンパク質の異常により細胞増殖のシグナルが出続けます。今回開発した化合物は、RASそのものではなく、RASから情報を受け取るRAFタンパク質の、RAS結合部位とは異なる部位に結合します。これによってRAFの構造が変化し、その影響がRASとの結合面に伝わることで、RASとRAFの結合が妨げられます。この「アロステリック作用」により、RASシグナルを遠隔操作で遮断する仕組みを明らかにしました。
本化合物は、KRAS、NRAS、HRASなどさまざまなRAS変異をもつがんに加え、既存のBRAF阻害薬に耐性を示す悪性黒色腫に対しても抗腫瘍効果を示しました。本研究成果は2026年8月27日に『Nature Communications』に掲載されました。
出典:神戸大学 2026年8月27日 プレスリリース
https://www.kobe-u.ac.jp/ja/news/article/20260827-68212/
FrontJournalの解説
この研究分野について
細胞が増えるかどうかは、タンパク質から次のタンパク質へと信号が受け渡されて決まります。その入口にあたるのがRASタンパク質で、信号を受け取る側がRAFタンパク質です。
多くのがんでは、RASに異常が起きて増殖の信号が出続けます。RASは長らく薬を効かせにくい相手とされてきました。研究者が目指しているのは、この信号の流れを止める仕組みを見つけることです。
①薬の効きにくさと耐性の出現が課題だった
RASタンパク質には、KRAS、NRAS、HRASといった種類があり、がんによって変異する場所も異なります。特定の変異だけを狙う薬では、対応できる範囲が限られます。
また、BRAF阻害薬のように既に使われている薬にも、効かなくなる耐性が現れることがあります。悪性黒色腫はその例として知られています。
②RASではなく受け手のRAFの形を変えた
開発した低分子化合物は、RASそのものではなく、信号を受け取るRAFの、RASと結合する部位とは別の場所に結合します。
するとRAFの構造が変わり、その影響が結合面まで伝わってRASとの結合が妨げられます。このアロステリック作用により、KRAS・NRAS・HRASの各変異をもつがんに加え、BRAF阻害薬に耐性を示す悪性黒色腫にも抗腫瘍効果を示しました。
編集部からひとこと
狙う相手を、扱いにくいRASから、その情報を受け取るRAFへ移した点が要点です。しかも結合面を直接ふさぐのではなく、離れた場所に結合して形を変え、結合面まで影響を伝えています。特定の変異に依存しない仕組みのため、対応できるがんの幅が広がる可能性が示されています。
本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。
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