2026.08.28
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理化学研究所・長岡技術科学大学
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元発表:2026.08.27
理化学研究所ら、固体の仕切りなしで約200倍の圧力差を保つ窓を実現
ニュース紹介
「「超音速渦の窓」で大気と真空をつなぐための新技術」
理化学研究所仁科加速器科学研究センターの今尾浩士チームリーダー、三宅泰斗技師、奥野広樹副部長と、長岡技術科学大学技学研究院の高橋一匡准教授らの共同研究グループは、固体の仕切りのない窓でガス空間と真空空間の圧力差を保ち、物質を通せる「超音速渦の窓」で、圧力差を大幅に広げる新たな運転方法の開発に成功しました。
ガス空間と真空空間を仕切る固体の窓は、物質を通せないうえ、高出力レーザーや粒子ビームでは加熱や損傷を引き起こします。一方、超音速ガス流を利用した空力窓の一種である超音速渦の窓は、渦が生む圧力差で両空間を隔てますが、より低圧の真空空間との間に大きな圧力差を生む理想的な渦をつくれないことが課題でした。
本研究では、理想的な渦をつくろうとする従来の考え方から発想を変え、あえて両空間の圧力差を広げることで、渦が自ら流れを変えて圧力差に適応することを発見しました。この性質を利用した新たな運転方法により、15ミリメートル径の開口を保ったまま窓の両側で約200倍の圧力比を実現しています。本研究成果は科学雑誌『Review of Scientific Instruments』オンライン版に8月6日付で掲載されました。
出典:理化学研究所 2026年8月27日 プレスリリース
https://www.riken.jp/press/2026/20260827_1/index.html
FrontJournalの解説
この研究分野について
加速器や電子顕微鏡といった装置は、内部を真空に保って動かします。一方で、試料や気体を出し入れするには外の空間とつなぐ必要があります。その境目に置くのが窓です。
固体の窓は物質を通せず、強いレーザーや粒子ビームを当てると加熱や損傷が起きます。そこで、超音速のガス流そのものを壁として使う空力窓が研究されてきました。研究者が目指しているのは、穴を開けたまま大きな圧力差を保つことです。
①理想的な渦をつくれないことが壁だった
超音速渦の窓は、ガスジェットの渦が生む圧力差でガス空間と真空空間を隔てます。開口が空いたままなので、物質を通せる点が固体の窓と違います。
ただし、より低圧の真空空間との間に大きな圧力差を生む理想的な渦をつくることが難しく、扱える圧力差が限られていました。
②あえて圧力差を広げると渦が自ら適応した
共同研究グループは、理想的な渦をつくろうとする従来の考え方を変え、あえて両空間の圧力差を広げてみました。すると、渦が自ら流れを変えて圧力差に適応することが分かりました。
この性質を使う新しい運転方法により、15ミリメートル径の開口を保ったまま、窓の両側で約200倍の圧力比を実現しています。
編集部からひとこと
理想の状態をつくり込むのではなく、装置の側が状況に合わせて形を変える性質を利用した点が目を引きます。用途として挙げられているのは、重イオン加速器の装置の小型化にとどまりません。半導体製造など真空を使う装置や、宇宙船・宇宙実験装置への応用も示されています。
本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。
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