2026.08.30 慶應義塾大学・理化学研究所 元発表:2026.08.28

慶應義塾大学ら、音波で二次元半導体の発光が変わる様子を可視化

ニュース紹介

「音響波で揺れ動く原子層二次元半導体の励起子発光を多次元的に可視化」

慶應義塾大学大学院理工学研究科の高橋悠太、山本拓海、神澤英寿の各氏、慶應義塾大学理工学部物理学科藤井瞬専任講師、および理化学研究所光量子工学研究センターの加藤雄一郎チームディレクターらの共同研究グループは、原子3個分ほどの厚さしかない原子層二次元半導体に音響波の一種である表面弾性波を伝えることで、光励起によって生じる発光が音響波の動きに合わせて変化する様子を可視化することに成功しました。

研究グループは、光パルス列と表面弾性波のタイミングを精密に同期させることで、約2.65ナノ秒という短い一周期を細かく切り分けて観察しました。その結果、電子と正孔が結び付いてできる「励起子」からの発光において、発光の色、明るさ、スペクトルの広がりが、音響波がもたらすわずかなひずみに応じて周期的に変化することを明らかにしています。

さらに、発光測定と基板表面の微小な振動の測定を組み合わせることで、最大約0.045%という小さなひずみが、励起子のエネルギー状態と発光過程を制御していることを確認しました。本研究成果は科学雑誌『Science Advances』に2026年8月22日付で掲載されました。

出典:慶應義塾大学 2026年8月28日 プレスリリース
https://www.keio.ac.jp/ja/press-release/20260828-press-01/

FrontJournalの解説

この研究分野について

原子層二次元半導体は、原子数個分の厚さしかない薄い材料です。光を当てると、電子と、電子が抜けた穴である正孔が結び付いた励起子ができ、これが光を出します。

薄いぶん外からの力を受けやすく、わずかなひずみでも性質が変わります。この性質を逆に使えば、外から発光を操れることになります。研究者が目指しているのは、量子光デバイスのように光を細かく制御する部品への応用です。

①変化が速すぎて追いきれなかった

表面弾性波は材料の表面を伝わる音波で、通り道の材料をわずかに伸び縮みさせます。その周期非常に短く、発光変化を捉えるには時間の分解能が要ります。

色・明るさ・寿命といった複数の量が同時に変わるため、それらをまとめて追いかけることも難しい課題でした。

②光のパルスと音波を同期させて切り分けた

研究グループは、光パルス列と表面弾性波タイミングを精密に同期させ、約2.65ナノ秒という一周期を細かく切り分けて観察しました。

その結果、励起子の発光の色・明るさ・スペクトルの広がりが、音波によるひずみに応じて周期的に変わることを示しています。最大約0.045%という小さなひずみが、励起子のエネルギー状態と発光過程を制御していることも確認しました。

編集部からひとこと

0.045%という値は、1メートルあたり0.45ミリメートル相当するごく小さな伸び縮みです。それだけで発光様子が変わることは、裏を返せば音波で光を細かく操れることを意味します。電気や磁場ではなく音を使う制御は、配線を増やさずに済む点で装置の作り方に関わってきます。

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本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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