2026.08.30
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名古屋大学
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元発表:2026.08.28
名古屋大学ら、フラーレンに匹敵する電子輸送材料を安価に合成
ニュース紹介
「特異な非平面形状を有する電子輸送材料を開発」
名古屋大学大学院工学研究科の福井識人准教授らの研究グループは、京都大学化学研究所の若宮淳志教授、中村智也准教授、梶弘典教授、京都大学大学院工学研究科の浦谷浩輝助教、東京都立大学大学院都市環境科学研究科の石割文崇准教授との共同で、「キラルX形」という特異な分子形状を有する電子輸送材料を開発しました。
電子輸送材料はさまざまな有機電子デバイスの基本的な構成要素です。特にペロブスカイト太陽電池では、溶液を塗って膜にできる電子輸送材料が必要で、現在はフラーレン系電子受容体が広く用いられています。しかしフラーレンは材料コストが高く、分子の設計性が限られることが課題でした。
本研究では、研究グループが独自に開発した8の字型π共役分子(CBBC)の変換によって新規材料を開発しました。複雑にねじれた分子形状を持つにもかかわらず、分子内結合開裂法という独自の合成技術により、高価な原料を用いずに簡便に合成できます。この材料を電子輸送層として含むペロブスカイト太陽電池素子は、フラーレン系材料から成る素子に匹敵する光電変換効率を示しました。さらに、片方のスピン状態を持つ電子だけを選択的に流すキラル誘起スピン選択性も、優れた選択率で示しています。本研究成果は2026年8月26日付で国際学術誌『Angewandte Chemie International Edition』に掲載されました。
出典:科学技術振興機構(JST) 2026年8月28日 プレスリリース
https://www.jst.go.jp/pr/announce/20260828-2/index.html
FrontJournalの解説
この研究分野について
ペロブスカイト太陽電池は、溶液を塗って作れる次世代の太陽電池です。発電した電気を取り出すには、電子を運ぶ電子輸送材料の層が要ります。
現在この層に広く使われているのがフラーレン系の材料です。ただし材料の値段が高く、分子の形を設計する自由度が限られます。研究者が目指しているのは、安く作れて設計の幅も広い代わりの材料を見つけることです。
①フラーレンは高価で設計の自由度が低い
溶液を塗って膜にできる電子輸送材料として、現在はフラーレン系の電子受容体が広く使われています。
しかしフラーレンは材料コストが高いうえ、分子の設計性が限られることが課題でした。性能を保ったまま安く作れる材料が求められていました。
②ねじれた形なのに簡便に合成できた
研究グループは、独自に開発した8の字型π共役分子(CBBC)を変換して新材料を作りました。複雑にねじれたキラルX形でありながら、分子内結合開裂法により高価な原料を使わず簡便に合成できます。
この材料を電子輸送層に用いたペロブスカイト太陽電池は、フラーレン系に匹敵する光電変換効率を示しました。加えて、片方のスピン状態の電子だけを流すキラル誘起スピン選択性も優れた選択率で確認しています。
編集部からひとこと
性能が同等でも、材料費と作りやすさが変われば量産の前提が変わります。加えてこの材料は、太陽電池の部材としてだけでなく、電子のスピンを選んで流す性質も示しました。スピントロニクスは電子の自転の向きを情報として使う分野で、1つの材料が2つの用途にまたがる点が特徴です。
本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。
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