RTQMシステム株式会社|放射線治療の品質管理を自動化する広島大学発の医療機器企業

RTQMシステム株式会社(アールティーキューエム)

RTQMシステム「品質管理」を研究|研究領域=放射線治療の品質管理システム/強み=測定データの自動照合で人為ミスを抑制/将来性=施設間の多施設連携を国内外へ拡大

企業紹介|RTQMシステムとは?

放射線治療の精度と安全を支える、施設ごとに閉じがちな「品質管理」。RTQMシステム株式会社は、その施設間普及を目指す、広島大学発の医療機器系ディープテック企業です。リニアック(放射線治療装置)の測定データを自動で照合するアプリケーション群を、全国の放射線治療施設へ提供しています。

キーワード「品質管理」

品質管理とは、放射線治療装置が計画どおりの線量を照射しているかを、定期的な測定で確認し続ける取り組みです。RTQMシステムは、この確認作業を自動化し、複数の施設が同じ基準でデータを比べられる仕組みを提供しています。施設間の連携協力は、国の指針でも今後の課題とされています。

市場課題|放射線治療の品質管理が施設ごとに閉じている

現状の品質管理の課題|現状は、施設内完結と手作業で確認漏れが起きやすい/施設内完結で比較できず/手作業入力でミスが残る

施設内完結で比較できず

放射線治療の品質管理は、多くの場合、各施設の内部だけで完結する運用です。リニアックの測定データや設定値は施設ごとの記録として保存され、他院と比べる仕組みが整っていません。基準となる比較対象がないまま運用が続くと、ある施設だけに生じたわずかな誤差に気づきにくくなります。

手作業入力でミスが残る

測定データの記録や照合の多くは、今も手作業の入力に頼る形です。測定機器で得た数値を担当者が転記し、基準値と見比べる作業は、施設や担当者によって手順が異なります。手作業が多いほど転記ミスや確認漏れの起こる余地が残り、担当者の負担として積み重なっていきます。

他にも、多職種間での情報共有の遅れ、緊急時に代わりを担う施設を探す難しさ、担当者の異動に伴う引き継ぎの負担、といった課題があるといわれています。

FrontJournalの解説
  • リニアック放射線治療で使われる、体の外から高エネルギーのX線を患部へ照射する装置の通称。医療現場では直線加速器とも呼ばれ、精密な線量調整が求められる。

RTQMシステムの強み|「品質管理」を研究

RTQMシステムが「品質管理」を研究|今後は、より多くの施設で自動照合が可能に/自動照合で入力ミスを抑制/標準データで施設間を比較

自動照合で入力ミスを抑制

測定値の記録や基準値との照合を手作業で行う場合、転記の誤りや確認漏れを完全には防げません。

RTQMシステム(アールティーキューエム)のアプリケーション「ST Dose」(標準計測法にもとづく計測データ管理ソフト)は、電位計(放射線の量を測る機器)から得た測定結果を自動で取り込み、あらかじめ内蔵した基準データと照合します。手入力を必要としないため、転記の際に生じる誤りを減らせるのが特徴です。データは施設内のネットワークを通じて共有され、担当者が変わっても同じ手順で確認できます。拡大・縮小できるグラフ表示で、数値の推移を一目で把握可能。確認作業にかかる時間と負担そのものを軽くできます。

標準データで施設間を比較

施設ごとに独自の記録方式で品質管理を行っていると、他の施設と測定結果を比べる手段がありません。

RTQMシステムは、標準計測法のデータをあらかじめアプリケーションに内蔵し、複数の施設が同じ基準で数値を比較できるようにしています。iPadやWebブラウザから測定結果を一括で管理でき、担当者は離れた施設のデータもリアルタイムに確認可能。対応する電位計からは測定結果を自動で取り込め、遠隔操作にも対応しています。地域の医療機関どうしが数値を比較できるようになり、第三者による評価にも対応しやすくなります。

FrontJournalの解説
  • 電位計放射線が空気中を通過したときに生じる電気量から、線量を割り出して測る計測機器。品質管理の基礎データを得る手段として使われる。

品質管理システムの未来|医療現場への広がり

広がる品質管理が変える未来|全国の施設への導入が進む/製品ラインアップの拡充/地域を越えた品質管理を目指す

全国の施設への導入が進む

RTQMシステムのアプリケーション群は、すでに全国の放射線治療施設へ提供されています。開発の起点となった広島大学病院をはじめ、県内外の施設が開発に協力してきました。ITEM2026など医療機器の展示会にも出展し、システムの内容を医療従事者へ直接伝えています。学会が開く研究大会にも参加し、現場の意見を製品の改善に反映する運用です。

製品ラインアップの拡充

同社は、品質管理の対象を広げる形で製品ラインアップを拡充しています。DICOM(医用画像の共通規格)のデータを確認する「DCM(DICOM)Verify」や、緩和ケアの患者記録を管理する「pal-CIS」など、周辺業務を支えるアプリケーションも提供中です。今後は、対応する測定機器や治療装置の種類を増やし、より多くの施設が導入しやすい形を整えていく見通しです。使う施設が広がるほど、施設間で比較できるデータも増えていきます。

地域を越えた品質管理を目指す

RTQMシステムが目指すのは、施設や地域を越えて放射線治療の品質を確かめ合える体制です。同社は「広島から世界へ」を掲げ、国内で培った多施設連携の仕組みを他地域へも広げようとする方針です。第三者による評価が当たり前になれば、患者はどの施設でも同じ水準の治療を受けやすくなります。安全で確実な放射線治療を、より広い範囲で支えることを目指しています。

会社概要|RTQMシステム株式会社の事業内容・設立背景

広島大学発の産官学連携

RTQMシステムは、2013年3月に設立された、広島大学発の医療機器システム企業です。設立の母体となったのは広島大学病院放射線治療科での研究で、県内外の施設の協力と広島県の助成を受けて品質管理システムの開発が進み、事業化のため同社が設立されました。代表取締役は、放射線治療の物理学を専門とする小澤修一氏で、日本と米国、双方の医学物理士(放射線治療の物理面を専門とする資格職)の資格を持っています。

公的助成で開発を継続

同社は、複数の公的機関から助成を受けて開発を続けてきました。設立前の広島大学での研究段階を含め、広島県などから継続して支援を受けており、2024年には「中小・ベンチャー企業チャレンジ応援助成金」を受けています。医療機器の展示会や学会での発表を通じ、医療従事者との関係も広げています。

提供料が収益の柱

RTQMシステムの資本金は、3,230万円です。事業は、放射線治療の品質管理に関わるアプリケーションの開発と販売で、対象は全国の放射線治療施設となります。アプリケーションの提供料が、施設間の比較を可能にする仕組みを支える収益の柱です。

会社情報

会社名RTQMシステム株式会社
所在地広島県広島市東区光町1丁目11-5-314
設立2013年3月15日
代表小澤 修一(代表取締役)
調達公的助成金を中心に開発(民間からの出資は非公開)
技術領域放射線治療の品質管理、医療機器システム
連携広島大学病院放射線治療科と産官学連携(2013年〜)
採択広島県 各種助成金(2012年〜2024年)/中小・ベンチャー企業チャレンジ応援助成金(2024年)
URLhttps://www.rtqm.net

編集後記|FrontJournal編集部より

放射線治療は、わずかな線量のずれが治療の効果や安全性に直結する技術です。にもかかわらず、その確認作業の多くは、今も施設ごとの手作業に支えられています。転記や照合を人の手に委ねる限り、確認漏れの余地は残り続けます。

RTQMシステムが取り組むのは、その確認作業を自動化し、施設どうしが同じ基準で見比べられるようにすることです。広島大学病院から始まった仕組みが、全国の医療現場へ広がりつつあります。地域を越えて品質を確かめ合う体制が整えば、患者が受ける治療への安心感も変わっていくはずです。

FrontJournal編集部

本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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