空宙技研「宇宙機器の衝撃試験」を研究|打ち上げや分離の衝撃を地上で与えて機器の動作を確かめる試験を描いたイラスト

株式会社空宙技研

空宙技研「宇宙機器の衝撃試験」を研究|研究領域=衛星の機器を・打ち上げ前に試験/強み=実際に近い衝撃で・動作を確認/将来性=九州の産学官で・好循環を目指す

企業紹介|株式会社空宙技研とは?

人工衛星やロケットの機器を、打ち上げる前に地上で実際に近い衝撃にさらして確かめる「宇宙機器の衝撃試験」。株式会社空宙技研は、その試験の受託と衝撃試験装置の開発を手がける、熊本大学発のディープテック企業です。企業や衛星開発者から依頼された試験を同社が行い、衝撃を小さくする方法の研究は大学で進めています。

キーワード「宇宙機器の衝撃試験」

「宇宙機器の衝撃試験」は、人工衛星やロケットに、打ち上げや分離のときに近い衝撃を地上で与え、機器が正常に動作するかを確かめる試験です。打ち上げや分離では非常に強い衝撃が生じ、内部の電子機器や観測装置が耐えられなければ、宇宙へ着く前に故障します。この試験は、衛星をロケットに搭載するために欠かせない工程です。

市場課題|打ち上げや分離の衝撃が、衛星の機器を故障させるおそれがある

現状の宇宙機器の課題|現状は、打ち上げの衝撃で機器が故障するおそれがある|打ち上げの衝撃で・機器が故障しうる/試験には専門の・設備と技術が必要

打ち上げの衝撃で故障しうる

人工衛星やロケットは、打ち上げのときや、機体と衛星を切り離す分離のときに、非常に強い衝撃を受けます。内部の電子機器や観測装置が耐えられなければ、宇宙へ到着する前に故障します。そのため、地上であらかじめ、機器が衝撃に耐えるかを確かめておくことが不可欠です。

試験には専門の設備が要る

衝撃試験には、専門の設備と技術が必要です。近年は小型衛星の開発が盛んになり、打ち上げや分離の衝撃に耐えられるか試験してほしいという相談が増えたと、熊本大学の広報記事は述べています。試験を担う専門の会社が求められる場面といえます。

他にも、衛星のバッテリーが破裂して生じる破片が宇宙ごみ(スペースデブリ)となって別の衛星や宇宙機に衝突する危険、航空機のエンジンへ異物が入る損傷のおそれ、航空機に鳥が衝突するバードストライクへの備え、といった課題があるといわれています。

FrontJournalの解説
  • スペースデブリ運用を終えた衛星やロケットの破片など、宇宙空間にある不要な人工物の総称で、宇宙ごみとも呼ばれる。別の衛星や宇宙機に衝突する危険がある。

空宙技研の強み|「宇宙機器の衝撃試験」を研究

空宙技研が「宇宙機器の衝撃試験」を研究|現在は、衝撃試験の受託で確認を提供|実際に近い衝撃で・動作を確認/試験は会社、・低減の研究は大学

実際に近い衝撃で動作を確認

宇宙へ到着する前の故障を防ぐには、打ち上げの前に、地上で機器の動作を確認しておく必要があります。

空宙技研は、衛星やロケットに、地上で実際の打ち上げや分離に近い衝撃を与え、機器が正常に動作することを確認する衝撃試験を受託しています。依頼した企業や衛星開発者にとっては、ロケットへ搭載する前に、機器が打ち上げの衝撃に耐えるかを確かめられる点が特徴です。この確認は、衛星をロケットに搭載するために欠かせない工程です。宇宙へ着く前に起こりうる故障を地上で先に見つけられるため、故障の有無を地上で確認したうえで、打ち上げに臨むことができるようになります。

試験は会社、低減の研究は大学

衝撃試験には専門の設備と技術が必要で、衛星の開発者が自前で試験の環境を整えることは容易ではありません。

同社は、衝撃試験装置の開発を事業とし、依頼された試験を会社で行っています。衝撃を小さくする研究は、代表の波多英寛氏が熊本大学の研究室で進めており、衝撃が機体のどこを通り、どの部分で大きくなるのかを調べ、衝撃を吸収し分散させて小さくする内容です。研究に用いる機材の一つが、JAXA(宇宙航空研究開発機構)から借用した小型実証衛星4号機の構造・熱モデルです。試験を依頼する側は、専門の設備を自前で持たなくても、搭載前の確認を任せることができるようになります。

FrontJournalの解説
  • JAXA宇宙航空研究開発機構の略称で、日本の宇宙開発と航空研究を担う国立研究開発法人。ロケットや人工衛星の開発、運用を行っている。

未来・導入事例|北九州に研究拠点を開設、九州の産学官での好循環を目指す

地域との連携が変える未来|北九州に拠点を置き好循環を目指す|北九州に・研究拠点を開設/地域企業と・宇宙分野をつなぐ/企業、大学、自治体の・好循環を目指す

北九州に研究拠点を開設

同社は2025年4月に、北九州学術研究都市の事業化支援センターに研究拠点の北九州研究所を開設しました。熊本の本社に加えて、北九州にも活動の場を持つことになります。進出の理由は、北九州市の官民による宇宙産業参入に向けた活動が活発であるためです。北九州市は、小型衛星の運用数が世界1位とする九州工業大学や、ものづくり企業の集積を生かして、宇宙産業の振興に取り組んでいます。

地域企業と宇宙分野をつなぐ

代表の波多氏は、九州航空宇宙開発推進協議会の幹事長を務めています。同協議会は、自治体、大学、企業などが連携して九州の航空宇宙産業を育てる団体です。北九州市は2025年5月22日、同月29日の北九州宇宙ビジネスネットワークの勉強会・相談会に波多氏が登壇し、宇宙環境試験などについて講演すると案内しました。波多氏は、地域の企業が持つ技術と宇宙分野の課題を結び付けることで、新しい製品やサービス、仕事が生まれると熊本大学の広報記事で述べています。

地域の好循環を目指す

宇宙分野の活動が活発になって地域の産業が成長すれば、企業から大学へ、新しい課題や共同研究の相談が持ち込まれる流れが生まれると、波多氏は熊本大学の広報記事で述べています。大学で生まれた研究成果や人材が企業や地域へ還元され、新しい技術や仕事につながる流れです。波多氏が目指すのは、企業、大学、自治体が力を高め合う好循環です。宇宙産業に関わる人が増え、企業と大学が発展することで、地域全体が豊かになる未来を描いています。

会社概要|株式会社空宙技研

熊本大学発の試験受託企業

株式会社空宙技研は、2020年4月30日に設立された熊本市の企業で、本社は熊本市中央区の熊本大学内にあります。設立の背景には、小型衛星の開発が盛んになり、打ち上げや分離の衝撃に耐えられるか試験してほしいという相談が増えたことがありました。代表取締役は波多英寛氏で、資本金は100万円(2025年5月時点)です。

試験の受託と装置の開発

事業は、衝撃試験装置の開発、衝撃試験の受託、宇宙教育教材開発です。企業や衛星開発者から依頼された試験は会社で行い、衝撃を低減する方法や新しい試験技術の研究開発は大学で進めています。熊本大学の広報記事は、同社を、見えにくくても欠かせない安全性の確認を支える役割と位置づけています。

代表は大学の研究者

代表取締役の波多英寛氏は、熊本大学大学院先端科学研究部の助教で、宇宙衝撃工学研究室に所属しています。研究室では、物体がぶつかる衝突、破片が飛び散る爆発、一瞬の力が機体の内部へ伝わる衝撃を一連の現象として捉え、安全な設計につなげる研究が中心です。対象は航空機のエンジンや人工衛星、ロケットで、その成果は企業や地域の宇宙産業にも広がっていると、熊本大学の広報記事は紹介しています。

会社情報

会社名株式会社空宙技研
所在地熊本県熊本市中央区黒髪2丁目39番1号(熊本大学内)。北九州研究所:北九州市若松区ひびきの1番8号(北九州学術研究都市 事業化支援センター304号室)
設立2020年4月30日
代表波多 英寛(代表取締役)。熊本大学大学院先端科学研究部 助教
資本金100万円(2025年5月時点)
事業衝撃試験装置の開発、衝撃試験の受託、宇宙教育教材開発
技術領域宇宙機器の衝撃試験、衝撃の伝わり方と低減方法の研究(大学で実施)
連携九州航空宇宙開発推進協議会(代表が幹事長)。北九州宇宙ビジネスネットワークの勉強会・相談会(2025年5月29日の勉強会・相談会に代表が登壇すると北九州市が案内)

編集後記|FrontJournal編集部より

ロケットや人工衛星は完成した姿が注目されますが、内部の機器が打ち上げの衝撃に耐えるかを確かめる試験は、外からは見えにくい工程です。その試験を受け持つ会社があることを、あらためて知りました。完成品の信頼性は、こうした工程が支えています。

同社は、打ち上げや分離に近い衝撃を地上で与えて、宇宙へ行く前に機器の動作を確かめます。同社が試験を担い、代表が大学で衝撃を小さくする研究を進めており、試験と研究の両方から宇宙機の信頼性に関わっています。この役割分担が、同社の特徴です。

小型衛星の開発が広がる中で、試験を引き受ける役割はこれから大きくなりそうです。北九州での活動を含め、今後の展開に注目したいと思います。

FrontJournal編集部

出典:経済産業省 大学発ベンチャーデータベース2026

出典:「Gビズインフォ」(経済産業省)(2026年9月28日に利用)を加工して作成

本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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