SQRIE「オンライン歯科健診」を開発

株式会社SQRIE(スクリエ)

SQRIE「オンライン歯科健診」を開発|技術領域=口内撮影ミラー・画像で歯科健診/強み=自撮りで撮影・角度を固定/将来性=酸を扱う人の健診・遠隔で実施

企業紹介|株式会社SQRIEとは?

口の中をスマートフォンで撮影し、その画像で歯科の健診を行う仕組みである「オンライン歯科健診」。株式会社SQRIE(スクリエ)は、その社会実装を目指す、京都大学発のヘルスケア系ディープテック企業です。口の中を自撮りできるミラー「HAKKENミラー」と、撮影した画像を歯科医院が管理するアプリを提供しています。

キーワード「オンライン歯科健診」

「オンライン歯科健診」は、口の中の写真を撮影して歯科医師へ送り、離れた場所から口の状態を確認してもらう健診の方法です。撮影は職場など歯科医院の外でも行え、画像はスマートフォンのアプリを通じて、離れた歯科医師へ届けられます。歯科医師は、届いた画像をもとに口の状態を確認する流れです。

市場課題|歯科健診を受けにくい人と職場がある

現状の歯科健診の課題|現状は、約4割が未受診で健診の手間も大きい|約4割が・受けていない/特殊健診は・手間が大きい

過去1年に未受診の人が約4割

過去1年間に歯科健診を受けていない人は、約4割にのぼります。令和4年の歯科疾患実態調査では、過去1年間に歯科健診を受けた人は58.0%でした。口の状態を確認する機会が少ないままでは、変化に気づくきっかけも得にくくなります。

1人ずつ診察する手間が大きい

塩酸・硝酸・硫酸など、歯に有害な物質を発散する場所で常時働く労働者には、労働安全衛生法に基づき、歯科医師による歯科特殊健診が事業者に義務づけられています。2022年10月1日からは、労働者の数にかかわらず、その結果を労働基準監督署へ報告することが必要です。歯科医師が1人ずつ診察する方法は手間が大きく、歯科医師が出向きにくい小規模な事業場では、実施の負担が重くなります。

他にも、撮影の器具と補助者の確保、撮影した画像の管理、健診の結果の報告、といった課題があるといわれています。

FrontJournalの解説
  • 歯科特殊健診塩酸・硝酸・硫酸など、歯や歯ぐきに有害な物質を扱う労働者に対し、歯科医師が行う健康診断である。労働安全衛生法に基づき、事業者に実施が義務づけられている。

SQRIEの強み|「オンライン歯科健診」を開発

SQRIEが「オンライン歯科健診」を開発|現在は、スマホ撮影で歯科健診を提供|スマホで口内を・自撮りできる/酸を扱う人の・健診を遠隔化

スマホ自撮りで口内を撮影

口の中を5枚の写真で記録する5枚法は、口腔内(口の中)ミラーと一眼レフカメラに加え、ミラーを湯で温める準備と、空気を送る補助者が必要です。

同社は、ミラーとスマートフォンの角度を固定した撮影器具「HAKKENミラー」を製品化しました。受診者がスマートフォンで自撮りする形で上下の歯を撮影でき、子どもも使えます。ミラーには、曇りにくいデンタルミラーと同様のフィルムを使い、曇りを抑えます。対応するスマートフォンの幅は5.9cmから8.6cm、ミラーは最大横幅7.5cmの大と5.8cmの小の2種類です。一眼レフカメラや補助者を用意しなくても、口の中の写真を撮影できるようになります。

特殊健診を画像でオンライン化

歯科医師が現地で口の中を直接診察する方法は、対象者が増えるほど、歯科医師の拘束時間が延びます。

同社は、撮影した口の中の画像で歯科特殊健診を行う「HAKKEN for company」を、酸を扱う労働者のいる事業場へ提供しています。受診者がHAKKENミラーで自撮りする形と、歯科衛生士が事業場を訪れて撮影する形があり、画像は離れた場所の歯科医師が確認します。画像から、酸による歯の損傷(酸蝕症)を検出する仕組みの開発も進行中です。歯科医師が事業場へ出向く回数を抑えられるため、小規模な事業場でも、定期の歯科特殊健診を続けやすくなります。

FrontJournalの解説
  • 酸蝕症酸の作用で歯の表面が溶ける症状である。酸を扱う作業で起こることがあり、歯科特殊健診では、早期に見つけることが重視される。

オンライン歯科健診の未来|医院から職場、日常の健診へ

オンライン歯科健診が変える未来|医院から職場、日常の健診へ|医院の画像を・クラウドで管理/職場の健診を・遠隔で実施/手軽な口腔健診を・目指す

医院の画像をクラウドで管理

歯科医院向けには、撮影した画像をクラウドで管理するスマートフォンアプリ「HAKKEN for dentist」を提供しています。アプリで撮影した写真は、クラウドへ送る仕組みです。画像は、パソコンのWebシステムで管理でき、マウスピース型矯正装置「インビザライン」の処方書への画像連携にも対応します。医院は、患者ごとの画像をそろえて管理できるようになります。なお、同社の公式サイトによると、同サービスは現在改修中です。

職場の健診を遠隔で実施

職場の歯科特殊健診に、撮影した画像を使うオンラインの形が加わっています。2023年6月、山陰酸素工業で実証実験が行われ、従業員15人が参加しました。歯科衛生士がHAKKENミラーとスマートフォンで口の中を撮影し、別の場所にいる歯科医師へ画像を送って、オンラインで診察を受けました。歯科医師が出向きにくい職場でも、定期の歯科特殊健診を受けやすくなります。

手軽な口腔健診を目指す

同社は、「お口の健康から生きるを変える」をビジョンに掲げ、口の中の写真による健診を広げることを目指しています。経済産業省の大学発ベンチャーデータベースには、開発中の技術として、画像による歯科健診のAIが挙げられている点も特徴です。通院の機会が限られる人や、職場の健診を受けにくい人にとって、自宅や職場で撮影した画像が、口の変化に気づく入口になり得ます。こうした健診が広がれば、口の状態を知る機会が増えます。

会社概要|SQRIEの事業内容・設立背景

京都大学の教職員等が設立

株式会社SQRIE(スクリエ)は、2018年4月に設立されました。社名は、「Square」と「create」を組み合わせた造語です。代表は岡本孝博氏です。経済産業省の大学発ベンチャーデータベースは、同社を、京都大学の教職員等によるベンチャーとして掲載しています。

採択・受賞・提携を重ねる

2022年7月、「オンライン歯科健診AIの開発」がものづくり補助金第10次に採択されました。2023年2月にはAIビジネス創出アイデアコンテスト2023で人工知能技術コンソーシアム会長賞を、同年3月には第10回京信・地域の起業家アワードで優秀賞を受賞しています。2023年4月には、「HAKKEN for dentist」が京都府のチャレンジ・バイ認定商品になりました。2024年4月には、ギークス株式会社のITフリーランス向け福利厚生サービス「フリノベ」との提携を始めています。

製品販売とサービスが事業

事業は、撮影器具「HAKKENミラー」、歯科医院向けの「HAKKEN for dentist」、法人向けの「HAKKEN for company」、口の健康の情報メディア「Your Dentist」です。HAKKENミラーのミラー部分は一般医療機器の歯鏡として届け出られ、スマートフォンを取り付けるホルダーは医療機器ではありません。

会社情報

会社名株式会社SQRIE(スクリエ/SQRIE Co.,Ltd.)
所在地京都府京都市下京区中堂寺南町134番地 ASTEM棟8階8C03
設立2018年4月
代表岡本 孝博
資本金1,600万円(資本準備金を含む、2023年11月時点)
事業口腔内撮影ミラー「HAKKENミラー」の販売。歯科医院向けアプリ・クラウド画像管理「HAKKEN for dentist」。法人向けオンライン歯科健診「HAKKEN for company」。情報メディア「Your Dentist」
技術領域口腔内撮影。画像によるオンライン歯科健診
連携ギークス株式会社(2024年4月、「フリノベ」との提携)。三菱総合研究所 未来共創イニシアティブ(2023年11月、ベンチャー会員)
採択ものづくり補助金第10次(2022年7月)。京信・地域の起業家アワード優秀賞(2023年3月)。京都府チャレンジ・バイ認定(2023年4月)
URLhttps://sqrie.jp/

編集後記|FrontJournal編集部より

歯科健診を過去1年間に受けた人は、58.0%でした。株式会社SQRIEの「HAKKENミラー」は、スマートフォンで口の中を撮影し、その画像を歯科医師へ届けるオンライン歯科健診の入口となる製品です。特徴は、歯科医院の外でも使える撮影器具から出発し、職場の歯科特殊健診へ広げてきた点にあります。

口の中の写真が手軽に撮れれば、健診を受けにくかった人と、歯科医師が出向きにくい職場の双方に、受診の道が開けます。画像を診断に生かす技術の開発も続いており、今後も注目していきます。歯科分野では、歯科医師の情報収集を支える株式会社デンタルアローも、あわせて読みたい企業です。

FrontJournal編集部

出典:経済産業省 大学発ベンチャーデータベース2026

出典:「Gビズインフォ」(経済産業省)(2026年9月28日に利用)を加工して作成

本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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