2026.10.14 │ 京都大学・北里大学・産業技術総合研究所・JAXA │ 元発表:2026.10.06

京都大学ら、コンプトンカメラで天の川銀河中心のガンマ線スペクトルを取得

ニュース紹介

「世界初、天の川銀河中心の低エネルギーガンマ線放射の直接撮像に成功―ガンマ線天文学のギャップを埋める成果―」

北里大学の谷森達教授(京都大学名誉教授)、産業技術総合研究所の池田智法研究員、京都大学大学院理学研究科の高田淳史准教授、JAXA宇宙科学研究所の水村好貴助教らの研究グループは、谷森教授が2022年まで京都大学理学研究科で代表を務めた低エネルギーガンマ線の観測実験「SMILE-2+」のデータを解析し、天の川銀河中心の陽電子消滅ガンマ線のスペクトルを高精度で求めることに成功したと発表した。観測には電子飛跡型コンプトンカメラ(ETCC)を載せた大気球が使われ、2018年にオーストラリア中央部から打ち上げられて約1日間の観測を行った。光学・電波・X線などで標準となる幾何光学の原理に基づく線形画像解析を用いており、低エネルギーガンマ線天文学における成果として、Natureの Research Highlight でも取り上げられた。

出典:京都大学 2026年10月6日 プレスリリース(掲載誌:Physical Review D, 114, 4, 043026/DOI: 10.1103/h89s-4p7q)
https://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research-news/2026-10-06

FrontJournalの解説

この研究分野について

ガンマ線は、X線よりもエネルギーの高い電磁波で、天体で起きる高エネルギー現象を調べる手がかりになります。今回の論文の題名にあるサブMeV帯(1MeV未満のエネルギー帯)は、観測の難しい領域で、発表の見出しでも「ガンマ線天文学のギャップを埋める成果」と表現されています。

陽電子消滅ガンマ線は、電子の反粒子である陽電子が電子と出会って消えるときに出るガンマ線です。天の川銀河の中心付近からこの種のガンマ線が出ていることは以前から知られており、そのスペクトル(エネルギーごとの強さの分布)を調べる観測が行われてきました。

①電子の飛跡まで測るコンプトンカメラ

電子飛跡型コンプトンカメラ(ETCC)は、ガンマ線が装置の中でコンプトン散乱を起こしたときに生じる電子の飛跡を測り、ガンマ線の到来方向を決める装置です。発表では、ETCCではガンマ線の方向が画像上の一点になるため、点状の線源が光学レンズで撮った像と同じように一点として写る、と説明されています。研究グループは、この性質を生かして、幾何光学の原理に基づく線形画像解析を用いました。

②大気球観測のデータからスペクトルを求める

解析に使われたのは、JAXA宇宙科学研究所が提供する大気球の飛翔機会を利用した観測実験SMILE-2+のデータです。2018年にオーストラリア中央部から打ち上げられ、約1日間、観測を行いました。この約1日分のデータから、天の川銀河中心の陽電子消滅ガンマ線のスペクトルを高精度で求めています。スペクトルの具体的な数値は、発表ページには記載されていません。論文は『Physical Review D』に2026年8月に掲載されました。

編集部からひとこと

約1日の気球観測で得たデータを、光学・電波・X線の天文学で標準的な画像解析の考え方で読み解いた成果です。発表では今後の展望は示されていませんが、観測の空白とされてきた帯域を、気球に載せた装置で調べられることを示した点は、ガンマ線天文学の観測手法として注目されます。詳細な数値は、掲載論文をご参照ください。

FrontJournal編集部

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本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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