2026.09.02 科学技術振興機構(JST) 元発表:2026.09.01

大阪大学ら、量子コンピューター接続用の光配送で10多重を実現

ニュース紹介

大規模中性原子量子コンピューター向けの多重量子光インターフェースを実現~大規模ネットワーク型量子コンピューターへの新技術~」

大阪大学量子情報・量子生命研究センターの山本俊副センター長(教授)、情報通信研究機構未来ICT研究所の三木茂人室長、浜松ホトニクス電子管事業部の下井英樹グループ長らの研究グループは、大規模な中性原子量子コンピューターどうしを接続するための多重量子光インターフェースを実現したと発表しました。

複数の量子コンピューターを量子もつれで結ぶには、原子が出した光子を多数の経路へ同時に振り分ける必要があります。これまでの光多重化は数多重程度にとどまり、集積度が十分でなく、原子の間隔も広いままでした。

研究グループは集積光導波路アレイと、多チャンネルの超伝導ナノストリップ光子検出器を組み合わせ、10サイトでの空間多重の検証に成功しました。これは世界記録であり、10多重の光子配送を実現したことになります。100多重程度まで拡張して接続できる可能性も示されました。本成果は2026年8月31日付で科学誌『Optica』に掲載されました。

出典:科学技術振興機構(JST) 2026年9月1日 プレスリリース
https://www.jst.go.jp/pr/announce/20260901-2/index.html

FrontJournalの解説

この研究分野について

量子コンピューターは、原子や光の性質を使って計算する新しい計算機です。方式はいくつかあり、そのひとつが原子を1個ずつ並べて量子ビットとして使う中性原子方式です。

実用的な計算をするには量子ビットの数を大きく増やす必要がありますが、1台の装置に詰め込める数には限りがあります。そこで研究者が目指しているのが、複数台を光でつないで1つの大きな計算機として動かすことです。

①つなぐための光の通り道が足りなかった

複数の中性原子量子コンピューターを結ぶには、原子が放った光子を経路ごとに振り分ける光多重化という仕組みが要ります。

これまでの多重化は数多重程度にとどまり、集積度が足りませんでした。原子の間隔も広く、多数の量子ビットを同時に扱う配線には対応しにくい状態でした。

②導波路と検出器を集積して10本を同時に使う

研究グループは、光の通り道を1枚の素子の上に並べた集積光導波路アレイを用い、受け側には多チャンネルの超伝導ナノストリップ光子検出器を使いました。

その結果、10サイトでの空間多重を検証し、10多重の光子配送を実現しました。研究グループは、この方式が100多重程度まで拡張できる可能性を示しています。

編集部からひとこと

量子コンピューターの話題は量子ビットの数に集まりがちですが、今回の成果は台どうしを結ぶ配線にあたる部分です。1台を大きくする方向とは別に、複数台を束ねて規模を稼ぐ道筋を支える技術といえます。研究グループはデータセンター規模での誤り誤り耐性型汎用量子コンピューターの実現を見据えており、本成果はムーンショット型研究開発事業などの支援を受けています。

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本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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