2026.10.27 │ 科学技術振興機構(JST) │ 元発表:2026.10.26

九州大学ら、ダマラランドデバネズミの強い発がん耐性を世界で初めて実証

ニュース紹介

「ダマラランドデバネズミの強い発がん耐性を世界で初めて実証~近縁のハダカデバネズミと共通する「がんになりにくさ」、異なる防御戦略~」

九州大学大学院医学研究院の三浦恭子教授、岡香織助教、熊本大学大学院医学教育部博士課程の関口功記氏(研究当時)らの研究グループは、長寿動物ダマラランドデバネズミが、近縁種のハダカデバネズミと同様に、化学物質による発がん誘導に強い耐性を持つことを世界で初めて実証しました。一方、発がん刺激に対する免疫応答は両種で大きく異なっていました。

本研究では、ダマラランドデバネズミに2種類の方法で化学発がん誘導実験を行い、最長で3年を超える期間にわたり追跡しました。その結果、観察期間中に腫瘍発生は一例も認められませんでした。成果は2026年10月26日(日本時間)に、米国の学術誌「GeroScience」に掲載されました。

出典:九州大学・熊本大学・科学技術振興機構(JST) 2026年10月26日 共同発表(掲載誌:GeroScience/DOI: 10.1007/s11357-026-02576-2)
https://www.jst.go.jp/pr/announce/20261026-2/index.html

FrontJournalの解説

ハダカデバネズミと「がんになりにくさ」

今回のテーマは、アフリカに生息するデバネズミの仲間の発がん耐性です。ハダカデバネズミは、極めて長寿でがんになりにくい動物として注目されています。しかし、近縁の長寿動物であるダマラランドデバネズミが発がん耐性を示すかどうかは、明らかではありませんでした。

①3年超の追跡で腫瘍は発生せず

研究グループは、化学発がん(発がん物質を与えて腫瘍をつくる実験)をダマラランドデバネズミに行いました。最長で3年を超えて追跡した結果、観察期間中に腫瘍発生は一例も認められず、ハダカデバネズミと同様の強い耐性が示されました。

②免疫応答は両種で異なる

発がん物質による免疫細胞の集積が起こりにくいハダカデバネズミとは対照的に、ダマラランドデバネズミでは組織中の免疫細胞が顕著に増加しました。遺伝子発現の解析では、ハダカデバネズミで非炎症的なストレス応答経路の活性化が示唆された一方、ダマラランドデバネズミでは免疫の活性化と抑制に関わる遺伝子の両方の発現が増加していました。

両種は強い耐性を共有しながら、防御戦略が異なることが示唆されます。この共通点と相違点を調べることで、がんの予防や治療の新たな手がかりが得られると期待されています。なお、本研究はJSTの創発的研究支援事業などの支援を受けて行われました。

編集部からひとこと

同じ「がんになりにくさ」でも、近縁の2種で免疫の使い方が違うという結果は、防御の仕組みが一つではないことを示しています。複数の戦略を比べる研究が進めば、がんの予防を考える材料が増えます。基礎研究の段階ですが、今後の展開に注目したい成果です。

FrontJournal編集部

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