2. 大学発スタートアップで採用されやすい職種
大学発スタートアップの採用職種は、企業の技術領域や事業フェーズによって大きく異なります。
たとえば、創薬・再生医療系では研究開発、薬事、品質保証、臨床開発などが重要になりやすく、AI・ロボティクス系ではソフトウェア、機械、制御、データサイエンスなどの職種が必要になることがあります。素材・エネルギー系では、研究開発に加えて、生産技術、製造、品質管理、事業開発が重視されるケースもあります。
ここでは、大学発スタートアップで比較的募集されやすい職種を、領域ごとの違いを踏まえて整理します。
研究開発職
研究開発職は、大学発スタートアップの中核になりやすい職種です。大学や研究機関で生まれた技術をもとに、再現性、性能、応用可能性、実用化への課題を検証します。評価されやすい経験は、大きく次の3つです。
- 研究を設計する力研究テーマの設計、仮説設定、実験計画など
- 技術を検証する力実験条件の改善、評価手法の構築、再現性の向上など
- 成果を外部に伝える力論文、特許、学会発表、共同研究など
ただし、論文数だけで評価されるわけではありません。企業では、「その研究が何を可能にしたのか」「事業上どの課題に使えるのか」まで説明できることが重要です。
エンジニア職
エンジニア職は、すべての大学発スタートアップで必ず募集されるわけではありません。AI、ロボティクス、宇宙、半導体、医療機器、ソフトウェアなど、技術の実装やシステム化が重要な領域で採用ニーズが出やすい職種です。評価されやすい経験は、大きく次の3つです。
- 研究成果を実装する力研究コードのプロダクト化、ソフトウェア開発、システム設計など
- 実環境で検証する力実機検証、フィールドテスト、センサー・制御・画像処理など
- 運用・改善まで見据える力MLOps、クラウド、品質改善、技術負債の解消など
一方で、創薬、バイオ、素材などの企業では、一般的なソフトウェアエンジニアよりも、研究開発、解析、装置開発、生産技術などの職種が中心になる場合もあります。応募時には、企業の技術領域と募集職種の必須要件を確認することが重要です。
事業開発・BizDev
大学発スタートアップでは、技術はあっても市場がまだ明確でないことがあります。そのため、顧客課題を見つけ、技術の用途を設計し、PoCや共同開発へつなげる事業開発人材が必要になる場合があります。評価されやすい経験は、大きく次の3つです。
- 顧客課題を見つける力顧客ヒアリング、業界理解、課題整理など
- 技術を用途へつなげる力PoC設計、共同開発、技術要件への変換など
- 社外を動かす力法人営業、アライアンス、導入提案、大企業との折衝など
大学発スタートアップのBizDevは、完成した商品を売る営業とは少し違います。顧客と一緒に「この技術をどこに使えるか」を探す仕事に近いです。
薬事・品質保証・規制対応
医療機器、再生医療、創薬、食品、素材、エネルギーなどの領域では、規制対応や品質保証の経験が重要になることがあります。研究成果が優れていても、安全性や品質の要件を満たさなければ社会実装はできません。評価されやすい経験は、大きく次の3つです。
- 規制を理解する力薬機法、GMP、GCP、GLP、ISOなど
- 品質の仕組みをつくる力QMS構築、文書管理、監査対応など
- 研究開発と実装をつなぐ力研究部門・製造部門との連携、当局対応、申請資料作成など
大学発スタートアップでは、規制や品質の仕組みをゼロから整える場面もあります。大企業で制度を運用した経験だけでなく、小さな組織に合わせて必要な仕組みを設計できる力が求められます。
コーポレート・管理部門
大学発スタートアップでは、資金調達、補助金、知財、契約、採用、人事制度、経理、法務なども重要です。特に研究開発型の企業では、売上が立つ前から資金調達や共同研究契約を進める必要があります。評価されやすい経験は、大きく次の3つです。
- 資金と契約を支える力資金調達、補助金、共同研究契約、投資家対応など
- 知財・法務を整える力特許管理、ライセンス契約、契約審査など
- 組織づくりを支える力採用、人事制度、経理、労務、管理体制づくりなど
大学発スタートアップのコーポレート職は、単なる事務処理ではありません。研究開発と事業化を支える基盤をつくる役割です。