日本発ディープテックを世界へ|NEC・大阪大学 GSE2026参加レポート

日本発ディープテックを世界へ|NEC・大阪大学・MWCC・さくらインターネットが語ったこと

日本発のディープテックを世界市場へ広げるには、大学の研究、スタートアップ、大企業、国の支援をひとつの流れにつなぐ仕組みが必要です。このセッションでは、その仕組みを大阪・関西からどうつくるかが議論されました。

Front Journal編集部は、2026年10月6日・7日に大阪で開かれたスタートアップの国際イベント「Global Startup EXPO 2026」に参加しました。本記事では、10月6日のセッション「日本発のDeep Techが世界市場へ出ていくために何が必要か」で語られた、研究と事業をつなぐスタートアップの役割、大企業との協創、大学のある地域の役割を紹介します。

セッション概要:日本発のDeep Techが世界市場へ出ていくために

セミナー概要・登壇者

タイトル日本発のDeep Techが世界市場へ出ていくために何が必要か― 起業家・大企業・アカデミアをつなぎ、大阪・関西から日本の成長を牽引する ―
日時・会場2026年10月6日 17:25〜18:10/コングレスクエア グラングリーン大阪
登壇者吉野 巌氏(MWCC株式会社 代表取締役社長CEO)、北岡 康夫氏(国立大学法人 大阪大学共創機構 機構長補佐)、和田 茂己氏(日本電気株式会社 Corporate SVP 兼 みらい価値共創部門長/一般社団法人 日本経済団体連合会 スタートアップ委員会委員)、田中 邦裕氏(さくらインターネット株式会社 代表取締役社長)

出典:Global Startup EXPO 2026 公式セッションページ

内容

セッションは2026年10月6日、大阪のコングレスクエア グラングリーン大阪で行われました。MWCCの吉野 巌氏、大阪大学共創機構の北岡 康夫氏、NECの和田 茂己氏、さくらインターネットの田中 邦裕氏が、起業家・大学・大企業それぞれの立場から語り合いました。

背景には、政府が2026年5月に取りまとめた「スタートアップ総力創出パッケージ」があります。パッケージは、スタートアップのスケールアップ、ディープテック・スタートアップの支援、地域のスタートアップの創出・育成を柱に掲げています。本セッションは、これらを日本発のディープテックを世界企業へ育てる一連の課題として捉え、大阪・関西から世界へつなぐ流れをどうつくるかを議論しました。大学や大企業でスタートアップとの連携に関わる人、関西で事業を立ち上げる人にとって、手がかりの多い内容でした。

【POINT①】スタートアップが、大学と企業の間の「死の谷」を埋める

大学の研究と企業の事業化の間をつなぐ役割は、今はスタートアップが担っています。北岡氏は、かつて密接に連携していた大学と企業の間に「死の谷」と呼ばれる断絶が生まれ、それをスタートアップが埋めていると分析しました。死の谷は、研究成果が事業になる手前で、資金や担い手が途切れる段階を指す言葉です。

北岡氏は、スタートアップを大きく育てるには、大企業の力と国の研究開発費が必要だと語りました。成功している分野の例として、宇宙や核融合に関わるスタートアップを挙げました。

【POINT②】大企業の販路とスタートアップの技術を組み合わせる「協創」

大企業とスタートアップは、互いの強みを組み合わせる「協創」の段階に入っています。和田氏は、企業が単独で研究開発を進めることが難しくなった今、大企業の販路とスタートアップの技術を組み合わせることが重要だと語りました。政府調達もスタートアップの追い風になっていると指摘しました。

和田氏は、NECが米国シリコンバレーで運営する「NEC X」も紹介しました。NEC Xは8,000人の起業家ネットワークを持つ協創の場に成長しており、和田氏はこの仕組みを日本にも取り入れたいと述べました。経団連のスタートアップ委員会の一員として、「スタートアップ躍進ビジョン」を通じた政府への提言も進めていると語りました。

【POINT③】世界で事業を大きくする環境と、大学のある地域の役割

世界へ出る段階での課題は、事業を大きく育てる環境の違いにあります。吉野氏は、海外へ進出すること自体の壁は低く、ディープテックをスケールさせるエコシステムに日米で違いがあると語りました。吉野氏は、その違いのなかで試行錯誤を続けていると述べました。

田中氏は、ディープテックの土台は大学の長年の研究の積み重ねにあり、大学のある地域に企業や投資家が集まる形が合理的だと語りました。田中氏はまた、企業がスタートアップとともに市場をつくるパートナーとして、連携への意欲を高めていると指摘しました。

まとめ:研究から事業へつなぐ役割分担

本セッションでは、日本発のディープテックを世界企業へ育てる道筋として、大学の研究成果をスタートアップが事業として引き受け、大企業が販路や共同開発で加わる形が示されました。大学と企業の間に生まれた死の谷をスタートアップが埋め、その成長を大企業の力、国の研究開発費、政府調達が支える構図です。ディープテックの土台が大学の研究の蓄積にあることから、大学のある地域に企業と投資家が集まる形も合理的な選択として示されました。

編集部の感想

起業家、大学、大企業がそれぞれの立場から、研究を事業へつなぐ役割分担を語ったセッションでした。シリコンバレーで育ったNEC Xの仕組みを日本に取り入れる構想と、大学のある地域に企業と投資家が集まる形は、関西で研究を事業にする人にとって具体的な道筋になります。引き続きイベントの現場から技術と事業の動きを伝えていきます。

作成:FrontJournal編集部

本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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