アデノプリベント「コリバクチン検査」を開発

株式会社アデノプリベント

アデノプリベント「コリバクチン検査」を開発|研究領域=がんに関わる毒素の産生菌を便で調べる/強み=蛍光で酵素を測り多数の検体を処理/将来性=検診へ普及し予防行動へ応用

企業紹介|株式会社アデノプリベントとは?

便から将来の大腸がんリスクを調べる技術として、注目を集める「コリバクチン検査」。株式会社アデノプリベントは、その普及に取り組む、静岡県立大学発のバイオ系ディープテック企業です。便検体から調べる検査サービスを、医療機関や健診施設で受けられる形で提供しています。

キーワード「コリバクチン検査」

「コリバクチン検査」は、DNAを傷つける毒素「コリバクチン」を腸内で作る菌(産生菌)が、便に含まれるかを調べる検査です。特徴は、大腸がんの要因に近い菌を調べ、将来のリスクを知らせる点にあります。便から調べられるため、検診の場で将来のリスクを早めに知る手がかりになります。

市場課題|大腸がんの要因となる腸内細菌を、調べにくい

現状の大腸がん検査の課題|患者が増え発症前の把握が難しい/産生菌の検出は専用の分析が要る

患者が増え発症前の把握が難しい

日本では大腸がんの患者が増加傾向です。便潜血検査は便に混じる血を測るため、痔などの出血でも陽性となり、血を伴わないポリープ(こぶ状の隆起)は陰性になる場合があります。早期に治療すれば高い確率で治癒できますが、発症前のリスクを把握できなければ対応が遅れる恐れがあります。

産生菌の検出は専用の分析が要る

産生菌の検出には、専用の分析が使われてきました。11か国981症例の解析(国立がん研究センターなどが参加)では、日本人28症例の5割に、コリバクチンによる変異パターン(DNAの傷のつき方の特徴)が見つかっています。この産生菌を多くの人で調べるには、分析の手順を広げる必要があり、検診の普及が進みにくい恐れがあります。

他にも、世界的に問題視される若年者の大腸がん、患者増加の背景の解明、他の発がん要因の解明、といった課題があるといわれています。

FrontJournalの解説
  • コリバクチン腸内の大腸菌の一部が作る、DNAに損傷を与える遺伝毒性物質である。細胞のDNAに二本鎖の切断などを起こし、細胞のがん化に関わると考えられている。

アデノプリベントの強み|「コリバクチン検査」を開発

アデノプリベントが「コリバクチン検査」を開発|産生菌を調べて将来のリスクを判定/蛍光で産生菌を選択的に検出

産生菌を調べ将来のリスクを判定

従来の便潜血検査や内視鏡検査は、大腸がんの病巣や初期状態を調べる方法です。

同社の「コリバクチン検査」は、便に含まれる産生菌の有無を調べ、将来の大腸がんのリスクを判定します。産生菌がいると、大腸で炎症が起きたときにコリバクチンがDNAの損傷を引き起こし、大腸がんにつながると考えられています。疫学研究(集団を対象に病気の要因を調べる研究)では、大腸がん患者の67%、健常者の27%が産生菌を保有しており、保有は発症の確定でなくリスクの目安です。発がんの原因に近い要因を調べるため、病変が見つからない段階でも把握できます。陽性なら、生活習慣の見直しや精密検査へ進めます。

蛍光で産生菌を選択的に検出

産生菌の検出に使われてきたHPLC分析(成分を分離して測る方法)やPCR法(遺伝子を増やして調べる方法)は、専用の装置を使う分析です。

同社の検査は、コリバクチンの生合成酵素(コリバクチンを作る反応を進める酵素)のClbPを認識して蛍光を発する分子プローブ(目的の物質に結合して信号を出す分子)を使います。便検体の中のこの酵素を蛍光で測り、産生菌の有無を選択的に調べる仕組みです。この検査は、ハイスループットスクリーニング(多数の検体を一度に処理する方式)を構築しています。検診で多くの人を対象にしやすくなり、リスクを知る機会が広がると見込まれます。

FrontJournalの解説
  • 分子プローブ特定の物質だけに結合し、蛍光などの信号を出すように設計した分子を指す。混ざり合った試料の中でも、目的の物質の有無を調べられる。

コリバクチン検査の未来|大腸がんの予防行動への応用

コリバクチン検査が変える未来|医療機関や健診施設で受検/便潜血検査と併用し早期受診に期待/検診の普及と対処の研究

医療機関や健診施設で受検

コリバクチン検査は、医療機関や健診施設で受けられる検査サービスとして、すでに提供されています。受検者は、便潜血検査と同様に、自宅で少量の便を採取する方式です。採便だけで受けられるため、受検者の負担が小さく、検診の場に組み込みやすくなります。陽性なら、生活習慣の指導や精密検査につなげる流れです。

便潜血検査との併用で早期受診へ

コリバクチン検査は、便潜血検査との併用で、一層の早期受診が期待される検査です。便潜血検査は出血を、コリバクチン検査は産生菌の有無を調べるため、両方を実施すると、検診で見つけられる範囲が広がると期待されています。検診で複数の指標を併用する動きが広がれば、出血だけを手がかりにしていた検査に、発症の要因を調べる視点が加わります。受検者は、自分のリスクを多面的に知ったうえで、受診や生活習慣の見直しを判断しやすくなる見通しです。

検診の普及と対処の研究を目指す

同社は、コリバクチン検査による大腸がんリスク検診の普及を目指しています。同社の取締役らを含む研究グループは、2026年9月の学会で、産生菌を高感度で検出できるモノクローナル抗体(特定の物質だけに結合するタンパク質)の獲得について発表しました。別の学会では、取締役の渡辺賢二教授らが、産生菌に対する抗生物質の開発も発表しています。産生菌の検出に加えて対処の研究が進めば、リスクを知るだけでなく、リスクを下げる手段の選択肢が広がる可能性があります。

会社概要|静岡県立大学の研究から生まれたアデノプリベント

静岡県立大学の研究から事業化

同社は、2019年5月に設立された、静岡県立大学発のベンチャーです。静岡県立大学薬学部の渡辺賢二教授らの研究で生まれた、コリバクチンを蛍光で検出する検査法をもとに「コリバクチン検査」を開発しています。代表取締役は瀧本陽介氏、取締役は渡辺教授で、本社は愛知県名古屋市、静岡県立大学内に静岡ラボがあります。

連携と受賞、論文発表を重ねる

同社は、株式会社ヘルスケアシステムズを関連会社とし、静岡県立大学薬学研究院の生薬・天然物化学研究室を関連機関としています。渡辺教授らは、コリバクチンの生合成の理解を深める成果を2021年に『Journal of the American Chemical Society』で、コリバクチンを作る過程で働く酵素ClbPの阻害剤を探す方法を2023年に『Genes and Environment』で発表しました。取締役の渡辺教授は、個人としても、日本薬学会の2025年度日本薬学会賞を受けています。

検査提供と受託研究を事業化

事業の柱は、コリバクチン産生菌検査と、受託分析・受託研究です。検査事業は、静岡県立大学で生まれた蛍光プローブ法を、実際の検診サービスにしたものです。受託事業では、コリバクチンに関する分析や研究に加えて、NMR(核磁気共鳴)による構造解析も請け負っています。

会社情報

会社名株式会社アデノプリベント(Adenoprevent Co., Ltd.)
所在地愛知県名古屋市昭和区白金一丁目14番18号(ヘルスケアシステムズ内)。静岡ラボは静岡県静岡市駿河区谷田52-1 静岡県立大学内
設立2019年5月7日
代表代表取締役 瀧本陽介。取締役 渡辺賢二(静岡県立大学薬学部教授)
資本金2,100万円
事業コリバクチン産生菌検査(便検体を用いた検査サービス)。受託分析・受託研究(NMRによる構造解析を含む)
技術領域コリバクチンの生合成酵素を認識する蛍光プローブによる、コリバクチン産生菌の検出
連携株式会社ヘルスケアシステムズ(関連会社)。静岡県立大学薬学研究院 生薬・天然物化学研究室(関連機関)
採択日本薬学会 2025年度日本薬学会賞(取締役の渡辺賢二教授の個人受賞)
URLhttps://www.adenoprevent.jp/

編集後記|FrontJournal編集部より

大腸がんの検査は、出血や病変が見つかってから調べる方法が中心でした。アデノプリベントのコリバクチン検査は、その手前にある腸内細菌という要因を、便から調べる試みです。病気になる前の段階で手を打つ検診へ、選択肢が広がる点に期待します。

大学の研究室で生まれた蛍光プローブの技術が、医療機関や健診施設で受けられる検査になった点に、大学発の研究が社会へ広がる過程を感じました。単なる検査の追加でなく、病気の原因に近い側から将来を見る指標だと考えます。検査結果が、受診や生活習慣を見直すきっかけになる点にも意義があると思います。

検査が広がれば、リスクを知ったうえで生活習慣や受診を見直す人が増えることを期待します。腸内細菌の研究は、理化学研究所らが肝疾患の重症化に伴う腸内細菌叢の入れ替わりを解明した研究のように、さまざまな病気で進んでいます。

FrontJournal編集部

出典:経済産業省 大学発ベンチャーデータベース2026

出典:「Gビズインフォ」(経済産業省)(2026年9月28日に利用)を加工して作成

本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

この企業の方へ

内容に誤り・更新が必要な点があれば、可能な限り速やかに修正します。お気づきの点はお問い合わせまでご連絡ください。

掲載情報の修正・写真の追加・更新はこちら

この企業について、
もっと深く知りたい方へ

パートナーシップ・お問い合わせはこちらから。