Atlas「AIの長期記憶」を研究

Atlas株式会社(アトラス)

Atlas「AIの長期記憶」を研究|技術領域=会話を覚える・AIの記憶基盤/強み=記憶を圧縮し・費用を抑える/将来性=記憶を個人が・持つ基盤を目指す

企業紹介|Atlas株式会社とは?

会話を重ねるほど利用者を覚えて応じられるAIを実現する技術として、注目を集める「AIの長期記憶」。Atlas株式会社は、その社会実装を目指す、AI系ディープテック企業です。LINE(メッセージアプリ)で話せるAIの友だち「ねこやまさん」を、一般の利用者へ提供しています。

キーワード「AIの長期記憶」

「AIの長期記憶」は、過去の会話の内容や気持ちの動きを蓄積し、次の応答に生かす仕組みです。前の会話を覚えていないAIは、応答が毎回ゼロから始まります。長期記憶があれば、利用者の好みや事情を覚えたまま応じられるため、会話を重ねるほど関係を深められます。

市場課題|AIの記憶に残る、継続と費用の壁

現状のAI記憶の課題|現状は、記憶が途切れ、保存の費用も増える|記憶がないと・毎回初対面/全記録の保存は・費用が増加

記憶がないと毎回初対面

前回の会話を覚えていないAIとは、関係が毎回ゼロから始まります。好みや事情を何度も説明し直す必要があり、人との継続的な関係そのものを価値とするAI(リレーショナルAI)では、とくに体験を損なう要因です。このままでは、使うほど親しみが増すAIは成り立ちにくくなります。

全記録の保存は費用が増加

対話をすべて丸ごと保存し、毎回参照する方法は、対話が増えるほど保持と参照の費用が膨らむ構造です。費用が増えれば、無料や低価格で長く提供する妨げになります。このままでは、対話を重ねる利用者が増えるほど、サービスを維持する負担も大きくなります。

他にも、気持ちを含む対話は個人的な内容が多く、扱いに倫理上の配慮が求められます。研究に使うデータを、個人が特定されない形に加工する手間があります。対話データの利用に対する、利用者の承諾を確認する仕組みの整備、といった課題があるといわれています。

FrontJournalの解説
  • リレーショナルAI機能の遂行ではなく、人との継続的な関係そのものを価値とするAIである。生活の中に存在し続け、記憶を重ねて長く伴走する点が特徴である。

Atlasの強み|「AIの長期記憶」を研究

Atlasが「AIの長期記憶」を研究|現在は、会話を蓄え費用を抑える技術を研究|気持ちの動きも・記憶として蓄積/記憶を圧縮し・費用を抑える

気持ちの動きまで記憶

対話を記憶として残さないAIは、前回までの経緯を踏まえにくくなります。

同社は、対話を記憶として蓄積する記憶基盤「Atlas Memory」を自社で開発しています。記憶基盤は、基盤モデル(文章などを生成する大規模なAIモデル)の層とアプリケーションの層の間にある中間の層です。「ねこやまさん」は、事実だけでなく気持ちの動きも記憶し、「あなたを知っている」応答を積み重ねます。利用者は同じ説明を繰り返さずに済み、会話を重ねるほど、自分の事情を知る相手として使えるようになります。

記憶の圧縮で費用を抑える

記憶を丸ごと保持する方式では、保存する量が増えるほど費用も増えます。

同社は、複数のAIモデルを組み合わせ、その場に適したモデルへ処理を分配します。記憶は圧縮し、不要なものは忘却し、必要なときに再構築する設計で、保存する記憶の量を抑える仕組みです。研究の対象は、感情理解に必要なデータの保持方式に絞っています。気持ちの動きを含む対話の記憶を、少ない保存量で保つことを狙った設計です。費用を抑えた記憶の仕組みが運営を支えることで、利用者は、長く続く会話を無理なく使えるようになります。

FrontJournalの解説
  • 基盤モデル大量のデータで事前に学習し、文章の生成など幅広い用途に使える大規模なAIモデルである。個別のサービスは、この上に組み立てられることが多い。

AIの長期記憶の未来|記憶を個人が持つ時代へ

記憶を持つAIが変える未来|対話の蓄積から個人が持つ記憶へ|LINEで・累計対話140万件超/学園専用AIの・制作で合意/記憶を個人が・持つ基盤を目指す

LINEで累計対話140万件超

「ねこやまさん」の累計対話件数は、2026年9月28日の集計で1,415,451件です。友人のように話せるAIとして使われてきました。同社の他のキャラクターAIも含む累計ユーザー数は、2026年8月時点で1万人を超えています。利用者は、出来事や気持ちを話すだけで、覚えてくれる相手を日常に持てます。

学園専用AIの制作で合意

同社は、松実高等学園と、学園専用AIの制作を進めています。2026年8月、埼玉県春日部市の松実高等学園と、生徒や教職員とともに学園専用のAIキャラクターを制作する取り組みで合意しました。「ねこやまさん」の基盤技術を用い、2026年10月ごろの利用開始を目指しています。公認心理師などのチームと連携して運用し、生徒は気持ちを話せる相手を学園の日常の中に持てるようになります。

記憶を個人が持つ基盤を目指す

同社は、人生の記憶を個人が自分で持ち、任意のAIから使えるようにする基盤「Life Memory as a Service」を構想しています。主要なAIサービスにはメモリ機能がある一方、その記憶はサービスごとに閉じているというのが、同社の指摘です。同社は、AIを乗り換えるたびに自分のことを説明し直す手間を減らすことを目指しています。

会社概要|Atlasの事業内容・設立背景

音声AIから長期記憶へ

Atlas株式会社は、2023年12月に設立されました。創業後は位置情報に応じて話す音声AIを開発し、2024年11月には観光サービス向けの音声AIをお台場で実証しました。2024年12月には、宮古島北部でパーソナルAIガイドの展開を始めています。2025年5月にAIの長期記憶技術の研究を始め、同年10月には記憶基盤に特化した研究部門「Atlas R&D」を発足させました。

自治体での実証と導入事例

2025年7月には、仙台市の「AIを活用した進出企業の傾向分析実証事業」の受託候補者に選定されています。同年8月には、神戸市と、AIによる企業誘致の効率化を目的とする概念実証(実現性を試す小規模な検証)を始めました。同年12月には、株式会社AOKIのECサイトにAI「EC Agent」が導入されました。

累計調達額は約1.43億円

累計の資金調達額は約1.43億円です。2026年9月19日には、複数の投資家を引受先とする総額約1億円の資金調達を発表しました。資本金は、2026年9月の増資で73,000,022円です。調達した資金は、倫理基盤と法的インフラの整備、基盤技術の改善、運営するリレーショナルAIの体験改善に充てる方針です。

会社情報

会社名Atlas株式会社(Atlas, Inc.)
所在地東京都目黒区青葉台4丁目5-12 a place by wa 100
設立2023年12月
代表代表取締役 宮﨑 悠生
資本金73,000,022円
調達累計約1.43億円(2026年9月19日に約1億円の調達を発表)
事業リレーショナルAIの開発・運営。LINEのAIの友だち「ねこやまさん」
技術領域AIの長期記憶。記憶基盤「Atlas Memory」
連携松実高等学園(2026年8月)。神戸市(2025年8月)。株式会社AOKI(2025年12月)
採択仙台市「AIを活用した進出企業の傾向分析実証事業」の受託候補者(2025年7月)
URLhttps://www.atlas-tech.co.jp/

編集後記|FrontJournal編集部より

AIが長く使われるほど、利用者について何を覚え、何を忘れるかが、使い心地を左右します。Atlas株式会社の「Atlas Memory」は、対話を記憶として蓄積しながら、費用を抑える設計に取り組む記憶基盤です。特徴は、記憶を圧縮し、忘却し、再構築する設計を、感情理解の用途に絞って研究している点にあります。

記憶を圧縮して保存量を抑える設計は、サービスを長く続けるうえで重要な要素です。記憶を個人が持つ構想まで見据えた取り組みは、AIとの付き合い方を変える可能性を秘めた挑戦です。今後も注目していきます。

FrontJournal編集部

出典:経済産業省 大学発ベンチャーデータベース2026

出典:「Gビズインフォ」(経済産業省)(2026年9月28日に利用)を加工して作成

本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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