2026.09.21 京都大学 元発表:2026.09.10

京都大学ら、顔料を使わず白さと撥水性を出す発泡構造技術を開発

ニュース紹介

「色ではなく、構造で白くする 自然に学んだ、白さと撥水性を生み出す新しい材料技術」

京都大学アイセムスのイーサン・シバニア教授が率いる研究チームは、東京都立大学、東華大学の研究者とともに、二酸化チタン顔料フッ素系コーティングを使わず、発泡構造によって白さと水をはじく性質を実現する技術を開発したと発表しました。光照射と弱溶剤処理だけで微細な多孔質が形成され、この構造が光を強く散乱するため、顔料を使わなくても高い白色度が得られます。条件を制御すると表面にハスの葉のような極めて細かな凹凸が生まれ、高い撥水性を発揮します。研究チームはこの技術をDeep Foam Photolithographyと名付け、20,000 DPIという超高解像度で微細構造の形成に成功しました。成果は日本時間の9月10日に英国誌Natureに掲載されています(DOI: 10.1038/s41586-026-10968-9)。

出典:京都大学アイセムス 2026年9月10日 ニュース/掲載誌:Nature
https://www.icems.kyoto-u.ac.jp/news/11676/

FrontJournalの解説

顔料やフッ素系の被膜への懸念

白色の包装材、フィルム、コーティングでは、明るさや不透明度を得るために二酸化チタンが広く使われています。二酸化チタンは、安全性への懸念から、欧州連合では食品添加物としての使用が禁止されています。水や油をはじくために広く使われてきた有機フッ素化合物のPFASにも、高い残留性や環境・健康への影響への懸念があり、代替技術の開発が世界各地で進められています。

①光と弱溶剤でつくる多孔質

研究チームは、自然界の光を散乱して白く見える仕組みに着目しました。光によってポリマーが小さな分子断片に分解され、この断片が溶媒と相互作用して材料が膨潤し、多孔質の発泡構造が生まれます。この構造が光を強く散乱するため、顔料を使わなくても高い白色度が得られます。条件を適切に制御すると、表面にハスの葉のような極めて細かな凹凸が生まれ、高い撥水性を発揮します。

②印刷や繊維にも適用できる

光で構造をつくるため、印刷のプロセスにも適用できます。研究チームは20,000 DPIという超高解像度で微細構造を形成しました。印刷可能なポリマーフィルムだけでなく、東華大学の繊維研究者との共同研究で、繊維や布地にも適用できることを実証しています。この工程のために新しい特殊化学物質を開発する必要はなく、すでに複数の市販ポリマーで実現を確認しています。

編集部からひとこと

今回の成果は実験室での技術実証であり、製品化の時期や製造コストには言及していません。顔料やフッ素系の被膜を足さず、材料そのものの構造で色と表面の機能をつくる考え方は、包装繊維の分野で注目されます。詳細は京都大学アイセムスの公式発表およびNature掲載論文をご参照ください。

FrontJournal編集部

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本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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