ミーバイオ「光制御バイオものづくり」を研究

株式会社ミーバイオ

ミーバイオ「光制御バイオものづくり」を研究

企業紹介|株式会社ミーバイオとは?

微生物に光を当てて、化学品の原料を製造する働きを切り替える「光制御バイオものづくり」。株式会社ミーバイオは、その社会実装を目指す、東京大学発のディープテック企業です。同社は、光で制御する生産システム「mii-Bioprocess」の開発を進めています。

キーワード「光制御バイオものづくり」

「光制御バイオものづくり」は、微生物の働きで物質を製造するバイオものづくりを、光で制御する技術です。光で結合と解離を繰り返す「光スイッチタンパク質」を使い、酵素(体内の化学反応を進めるタンパク質)の働きを狙ったタイミングで切り替えます。同社は、東京大学の佐藤守俊教授のアイデアをもとに、この技術の事業化を進めています。

市場課題|バイオ生産は大量生産が難しい

現状のバイオ生産の課題

従来は化合物で遺伝子を誘導

従来は、化合物を加えて遺伝子の働きを引き出す誘導技術が、実験室レベルで利用されてきました。化学製品の多くは石油を原料とする製造で支えられ、化石資源の限界から、脱炭素・脱石油への転換が求められています。植物由来の原料と微生物の力を使うバイオものづくりは、その代わりとなる生産技術として期待される分野です。

微生物への毒性が大量生産を阻む

フロログルシノールは、微生物への毒性があり、大量生産が困難でした。芳香族化合物(ベンゼン環をもつ化合物)の一つで、生産の拡大が望まれています。

他にも、石油・ナフサ(石油を精製して得る化学品の基礎原料)の取得に制限がある、脱炭素への対応が求められる、経済安全保障(重要な物資を国内外で安定して確保すること)の面で原料の調達が重要になる、といった課題があるといわれています。

FrontJournalの解説
  • バイオものづくり微生物などの働きを利用して、化学品などの物質を製造する技術である。石油ではなく、植物由来の原料を使う。

ミーバイオの強み|「光制御バイオものづくり」を研究

ミーバイオが「光制御バイオものづくり」を研究

光でタンパク質をつなぐ

光スイッチタンパク質は、化合物による誘導を代替する技術の中核です。

同社は、「光スイッチタンパク質」を用い、光を当てる・切るという操作で、微生物の中の酵素の働きをオンとオフに切り替えます。この技術は、微生物による物質生産の代謝経路を担う遺伝子の働きを、光の刺激で引き出すものです。従来は化合物を加えて引き出していましたが、光は当てる・切るを繰り返せるため、これを代替できます。必要なときだけ、狙った微生物の働きを操作でき、工業スケールへの拡大も視野に入ります。光の条件が明確な点も特徴です。

増殖と生産を光で切り替える

増殖と生産を光で切り替える手法は、毒性が大量生産を阻む課題への対応です。毒性のある物質は微生物の増殖を妨げるため、増やす段階と製造する段階を分ける発想が要ります。

同社は、光で代謝(体内の化学反応の流れ)を制御できるよう設計した微生物「光スイッチスマートセル」(狙った機能をもたせた微生物)の技術を軸に、菌体の増殖と物質生産を光で切り替える手法に取り組んでいます。この手法の基盤は、代謝や細胞増殖、細胞死などの生命機能を、狙ったタイミングで光により操作できる点です。増やす段階と、製造する段階を分けられるため、毒性の影響を抑えた生産を狙います。これまで大量生産が難しかった化学品を、脱石油で製造できるようになる可能性があります。

FrontJournalの解説
  • 光スイッチタンパク質光を当てるとくっつき、光を切ると離れるタンパク質である。つないだ酵素の働きを、光でオンとオフに切り替えられる。

光制御バイオものづくりの未来|工業規模の生産へ

ミーバイオの光制御が変える未来

大腸菌で光スイッチを検証

佐藤守俊教授は2023年10月から2024年3月に、科学技術振興機構の革新的GX(脱炭素に向けた変革)技術創出事業の課題として、光スイッチ技術を検証しました。この検証は、同社の技術の基礎に位置づけられます。教授は光スイッチ技術を大腸菌に導入し、レポーター遺伝子(働きを色や光で確認できる目印の遺伝子)を使って、試験管(mLスケール)とジャーファーメンター(培養槽・Lスケール)の培養で動作を確認しました。光の照射時間も評価しました。

光制御プラントの設計を検討

同社は2025年9月、三菱ケミカルエンジニアリングと、微生物に光を当てる仕組みを備えたバイオ生産プラントの設計・建設について、検討を進めると発表しました。光制御型バイオ生産システムの展開につなげる方針です。2025年度から2027年度には、国の支援事業の中で「光制御型バイオ生産システムmii-Bioprocessの開発」に取り組みます。あわせて、フロログルシノールの光制御による製造も研究しています。

脱石油の生産を目指す

目標は、光スイッチスマートセルと光制御型バイオ生産システムを、バイオものづくりの大量生産に役立てることです。光制御型バイオ生産システムと、環境負荷の低い化学品(グリーンケミカル)を、世界各地へ展開する方針も示しています。対象の一つは、フロログルシノールです。

会社概要|ミーバイオの事業内容・設立背景

2019年に設立

株式会社ミーバイオは、2019年4月に設立された東京大学発のスタートアップです。代表取締役は早水建祥氏です。技術のもとになる「生命現象の光操作」の発想は、東京大学大学院総合文化研究科の佐藤守俊教授のアイデアから生まれました。早水氏と佐藤教授が創設者とされています。本社は東京都江東区新木場です。

採択・連携

2025年9月に、三菱ケミカルエンジニアリングと光制御型バイオ生産プラントの設計・建設の検討を始めました。同年11月には、「起動NEXT」に採択されています。2026年4月には、ベルギーで開かれた日EUビジネス産業ウィークに参加しました。2026年8月には、産業技術総合研究所と共同で、経済産業省・中小企業庁のGo-Tech事業(成長型中小企業等研究開発支援事業)に「フロログルシノールを生産する光スイッチスマートセルの開発」が採択されています。

事業と資金調達

事業は、バイオものづくり生産プロセスの開発と、バイオ化成品原料の生産です。NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の「GX分野のディープテック・スタートアップに対する実用化研究開発・量産化実証支援事業」で、2025年度から2027年度の交付決定額は498百万円とされています。ベンチャーキャピタルのArchetype Venturesが同社の支援パートナーとされ、直近の資金調達ラウンドはプレシリーズA(事業の初期段階の資金調達)です。資本金は1億円です。

会社情報

会社名株式会社ミーバイオ(miibio, Inc.)
所在地東京都江東区新木場2-3-8 三井リンクラボ新木場1 505
設立2019年4月
代表代表取締役 早水建祥
資本金1億円
事業バイオものづくり生産プロセスの開発/バイオ化成品原料の生産
技術領域光スイッチタンパク質を用いた微生物の代謝制御(光制御型バイオ生産システム)
連携産業技術総合研究所、三菱ケミカルエンジニアリング
URLhttps://www.mii-bio.com/

編集後記|FrontJournal編集部より

微生物の働きを、光を当てる・切るという操作で切り替える発想は、バイオものづくりの課題に別の角度から取り組むものです。石油に代わる原料の製造を、微生物の側から支える点が特徴です。光の有無で酵素の働きを切り替える仕組みは、操作の条件が明確な点も、利点といえます。

とくに注目したのは、光スイッチ技術の大腸菌での検証が2024年3月に終わり、2025年9月から工業規模のプラント設計の検討が始まった点です。実用化はこれからです。脱石油の化学品製造の選択肢として、今後の展開を見守りたい取り組みといえます。

FrontJournal編集部

出典:経済産業省 大学発ベンチャーデータベース2026

出典:「Gビズインフォ」(経済産業省)(2026年9月28日に利用)を加工して作成

本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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