2026.09.11 名古屋大学 元発表:2026.09.10

名古屋大学ら、AIでメダカが平衡感覚を失う瞬間を自動検出

ニュース紹介

「AIで魚の「バランス喪失」を自動検出 温度への強さを客観的に測る新システムを開発~メダカとその近縁種で系統・種による温度耐性の違いを明らかに~」

名古屋大学 WPI-ITbMの中山友哉氏、松尾佳哉氏、福井大学長谷川達人氏、加藤拓也氏らの研究グループは、AI技術を組み合わせて魚が温度ストレスで平衡感覚を失う瞬間を自動的かつ客観的に検出するシステムを開発したと発表しました。

これまで、魚が温度ストレスで平衡感覚を失ったかどうかの判定は人の目で行われており、判定する人によるばらつきが課題でした。研究グループは、動画から動物の姿勢を自動検出する「DeepLabCut」と画像分類のAI技術を組み合わせ、判定を自動化しました。

このシステムをメダカの複数系統と近縁種(台湾産新種を含む)に適用したところ、系統や種によって温度耐性に差があること、高緯度に生息する種ほど寒冷耐性が高いこと、日本産メダカが最も高い耐寒性を示すこと、台湾産近縁種も予想以上の耐寒性を持つことが分かりました。本成果は国際学術誌『Scientific Reports』に掲載されました。

出典:科学技術振興機構JST) 2026年9月10日 プレスリリース
https://www.jst.go.jp/pr/announce/20260910/index.html

FrontJournalの解説

この研究分野について

魚は変温動物で、まわりの水温がそのまま体温に近い形で影響します。水温が急に下がったり上がったりすると、泳ぎ方がおかしくなったり、体の向きを保てなくなったりすることがあります。

この「平衡感覚を失う」現象は、魚がどこまで温度変化に耐えられるかを知る手がかりとして使われてきました。ただし、その瞬間をいつと判定するかは、長らく人の目に頼っていました。

①人の目による判定はばらつきが出る

魚が平衡を失ったかどうかは、体が傾いた、泳ぎが乱れた、といった見た目の変化から人が判断していました。同じ映像を見ても、判定する人によって「いつ失ったか」の見立ててがずれることがあります。

研究間で結果を比べるには、判定の基準がそろっている必要があります。人の目だけに頼る方法では、この基準をそろえることが難しく、種や系統をまたいだ比較精度限界がありました。

②姿勢認識AIで判定を自動化した

研究グループは、動画から動物の骨格や姿勢の動きを自動で追跡する「DeepLabCut」というAI技術に、画像を分類するAIを組み合わせました。魚の体の傾きや動きのパターンを数値化し、平衡を失った瞬間を一定の基準で検出できるようにしています。

このシステムメダカ複数系統近縁種に使ったところ、系統や種によって温度耐性に違いがあること、高緯度に生息する種ほど寒さに強いこと、日本産メダカが最も高い耐寒性を示すことが分かりました。台湾産の近縁種も、予想を上回る耐寒性を持っていました。

編集部からひとこと

判定基準を人の目からAIへ移すことで、これまで比べにくかった系統や種のあいだの違いを、同じものさしで並べられるようになりました。日本産メダカの高い耐寒性は、寒い季節をしのぐ仕組みが進化してきた結果とも読めます。気候変動で水温が変わっていくなかで、魚がどこまで対応できるかを見積もる基礎データとしても使われていきそうです。

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本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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